大塚明夫、盟友・田中敦子さんを偲ぶ『攻殻機動隊』通して「一緒に年をとってきたんだな」

声優の大塚明夫が2日、TOHOシネマズ新宿で行われた映画『イノセンス』(2004)の公開20周年記念トークイベントに押井守監督と登壇、『攻殻機動隊』シリーズの主人公・草薙素子の声を担当した故・田中敦子さんを偲んだ。
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「攻殻機動隊」は、人々の意識が“電脳”につながれた近未来で、多発するサイバーテロなどに対抗するため結成された、全身義体のサイボーグ・草薙素子が率いる超法規特殊部隊「公安9課」の活躍を描いた作品。『イノセンス』は、士郎正宗のSFコミックを原作に押井監督が手がけた『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995)から3年後が舞台の続編となる。大塚は本作で、素子を支える公安9課メンバーの一人・バトーの声を担当した。
本作で素子を演じていた田中さんは、残念ながら昨年、他界した。大塚は「『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のとき、僕もまだ声優を初めてそこまで経過していない時期だったのですが、音響監督を務めた若林(和弘)さんから、この作品のオーディションの話を聞いたんです」と明かすと「そのとき若林さんが『素子役がいないんだよね』と話していたので、うち(の事務所)にいた田中敦子を推奨したんです」と振り返る。
その後オーディションを勝ち抜き、素子役を射止めた田中さん。大塚は「そんなことを思い出すと、本当に『攻殻機動隊』という作品を通して、一緒に年をとってきたんだなという感じがします。もちろん山ちゃん(山寺宏一)もそうなのですが」と懐かしそうに語っていた。
そんな大塚は、会場に詰め掛けた満員の観客に向かって「こんなにたくさんの人が20年前の作品に集まっていただいて、胸が熱くなります」と感無量な表情を浮かべると「いきなり『イノセンス』から観た人は、この話はなんだろう……と思うかもしれません。僕自身もどう演じたらいいのか、当時、押井監督に質問しました。そのとき監督が『簡単です。バトーの恋の物語なんです』と答えてくれたんです。それから映画の作りが見えてきました」と語っていた。
さらに大塚は『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』を観たあとに『イノセンス』を観ると「とてもいいスパイスになります」と連続して作品を観ることを推奨すると「『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』でバトーの寂しさを引きずったまま『イノセンス』を観て、在りし日の田中敦子のことを思い出していただければ」と客席に呼びかけていた。(磯部正和)


