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今週のクローズアップ 女優・前田敦子の魅力を徹底検証!

 昨年、AKB48を卒業し、かねてから夢だと語っていた、女優への道を歩み始めた前田敦子。そんな彼女の最新出演作『クロユリ団地』が5月18日(土)に公開されるのを機に、女優・前田敦子のこれまでの歩みを振り返るとともに、その魅力に迫る。

「将来は女優になりたい」

 もはや説明不要の国民的アイドルグループAKB48で、「絶対的エース」の中心メンバーとして7年間活動し、昨年8月に卒業。「女優」という夢に向かって本格的に歩み始めた前田敦子。少女の頃から「将来は女優になりたい」と語っていた彼女は2007年、市川準監督『あしたの私のつくり方』で映画デビュー。その後も、山下敦弘監督『苦役列車』、そして最新出演作『クロユリ団地』ではホラー映画界の巨匠・中田秀夫監督といった名だたる監督の作品に出演してきた。

 

第5回沖縄国際映画祭で行われた『クロユリ団地』舞台あいさつでの様子
©2013 沖縄国際映画祭/よしもとラフ&ピース

 前田は、2010年に日本テレビ系で放送されたテレビドラマ「Q10」で演技の楽しさに目覚めたといい、「もし、Q10役が自分じゃなかったらと考えてみると……嫉妬すると思います。それくらいわたしにとって大切な作品になりました」とコメント。しかし同時に、グループのエースとしての生活は多忙を極め、同世代の俳優のように全力で演技に取り組めないというジレンマも感じていた。「周りが同い年くらいでお芝居にしっかり取り組んでいる子たちで、ついていけなかった。すごく焦りました。皆はお芝居のことだけ考えているのに、わたしはそうじゃないんじゃないかって」。

 

©2013 沖縄国際映画祭/よしもとラフ&ピース

 2011年には『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』で映画初主演。2012年に公開された『苦役列車』では、大ファンだったという山下作品への出演を果たす。このことは彼女にとって掛け替えのない経験となったようで、「自分にとって間違いなく、新しい世界に一歩足を踏み込めた作品。自分の中で、何かきっかけはもらえたのかな、という気はしています」と語っている。

 そして昨年、グループを卒業後は、以前のように仕事に追われることもなくなり、時間に余裕もできた。現在は月に50作品以上の映画を鑑賞するなど、自身が理想とする「女優」へ少しでも近づくため、貪欲に努力を続けている。

 

Q10(キュート) DVD-BOX
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17,010円(税込み)
発売元・販売元:バップ

女優・前田敦子の魅力

 グループ卒業から1年近くがたつ今でも、前田敦子=AKB48という世間のイメージは強く、彼女を女優として見ないというような否定的な意見も少なくはない。それでも前述したように、著名監督からラブコールを送られていることも事実だ。

 「人生のおよそ3分の1をアイドルとして生きてきた器の大きさもあって、先輩俳優の芝居にも全然動じず、堂々と受け止める。前田敦子はただ者ではないですね」(山下敦弘監督)、「感心したのは、集中力の高さ。なおかつ持続力もある。テイクを重ねるたびに良くなるので最後のテイクを採用する場合がかなりの確率でありました」(中田秀夫監督)と証言するなど、彼女を起用したクリエイターたちからは高い評価を受けている。

 
第5回沖縄国際映画祭オープニング・レッドカーペットでの1枚
©2013 沖縄国際映画祭/よしもとラフ&ピース

 役者には自分から役に近づくタイプと、自分に役を引き寄せるタイプがいるといわれるが、前田は明らかに後者だ。彼女自身に近い役を演じたときに、より魅力を発揮する。彼女は自分のことを、「引っ込み思案で前に出るタイプの人間ではない」と語っているが、確かに『もしドラ』やフジテレビ系ドラマ「花ざかりの君たちへ ~イケメン☆パラダイス~2011」で演じた明るく活発なキャラクターより、『あしたの~』『苦役列車』、TBS系ドラマ「最高の人生の終り方 ~エンディングプランナー~」で演じたような、どこか陰があったり、ミステリアスだったりする人物を演じたときに、より輝きを放つ。

 加えて、長年トップアイドルとして多くの人に見つめられ続けた前田には、「スター性」がある。AKB48総合プロデューサー秋元康に「天才的なオーラがある」と言わしめた彼女には、人の目を引く力がある。これは女優として大きな武器だ。女優業に専念するようになってから撮影に挑んだ作品は、現在フジテレビ系で放送中のドラマ「幽かな彼女」のみ。(『クロユリ団地』はAKB48在籍中に撮影)本当の意味で女優としての力を試されるのは、これからだ。今後の彼女の活躍に期待したい。

 
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
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3,990円(通常版・税込み)
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前田敦子を観る3作品
『あしたの私のつくり方』

2007年 / 市川準監督

 『トニー滝谷』の市川準監督が、少女たちの心の成長を繊細な映像で描いた青春映画。主演は成海璃子で、前田は準主演。本作で映画デビューを果たした彼女は、公開当時16歳で、見た目も幼い。AKB48もまだ世間からほとんど認知されていなかった。優等生から一転していじめの対象となった少女・日南子を演じた前田は、言葉にはできない悩みを抱えた、内向的な少女の雰囲気をうまく表現している。市川監督いわく当時の前田は「とにかく怖くて仕方がないっていうか、震えているような子」だったという。女優・前田敦子の原点として観ておきたい1作。

あしたの私のつくり方
DVD発売中
4,935円(税込み)
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販売元:株式会社ハピネット
前田敦子を観る3作品『苦役列車』

2012年 / 山下敦弘監督

 芥川賞作家・西村賢太の同名小説を、『マイ・バック・ページ』などの山下敦弘監督が映画化した青春ムービー。前田は、森山未來演じる主人公・貫多が恋をする、ヒロイン康子を演じる。溲瓶(しびん)を使って男性老人の下の世話をしたり、下着で海に飛び込んだりと「トップアイドルがそこまで!?」と面食らう場面多数。どしゃぶりの雨の中で貫多に迫られ、ずぶ濡れになった揚げ句、頭突きを食らわして別れを告げるシーンは必見。一見何を考えているのかわからない康子のキャラクターが、前田のイメージとマッチし、魅力ある人物になっている。本作で日本映画プロフェッショナル大賞・主演女優賞を受賞。

苦役列車
DVD発売中
3,990円(通常版・税込み)
発売元・販売元:キングレコード
前田敦子を観る3作品『クロユリ団地』

2013年 / 中田秀夫監督

 『リング』『仄暗い水の底から』などで知られる、Jホラーの名匠・中田秀夫監督が、オリジナル脚本で挑む最新作。女子大生・明日香が、幼い男の子の霊にとりつかれ、次第に精神をむしばまれていく恐怖を描く。撮影は脚本のシーン順に撮り進める「順撮り」で行われ、明日香を演じた前田は撮影後半、ずっと泣き叫ぶシーンが続いたという。ラスト近くで、明日香の精神が完全に崩壊し、半狂乱になって、泣き、絶叫するシーンは特にすさまじい。顔面に青白いメイクを施して髪を振り乱し、声がかれそうになるほど叫ぶ姿に、女優・前田敦子の底力と本気を感じる。

映画『クロユリ団地』より
©2013「クロユリ団地」製作委員会
映画『クロユリ団地』より
©2013「クロユリ団地」製作委員会
文・構成 シネマトゥデイ編集部 堀達夫

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