シネマトゥデイ

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今月の5つ星

エディ・レッドメインがわずか33歳で第87回アカデミー賞主演男優賞に輝いた『博士と彼女のセオリー』、ベネディクト・カンバーバッチが同賞主演男優賞にノミネートされた『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』、ロビン・ウィリアムズさんの遺作『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』など、良作ぞろいの春映画を選びました!

『パリよ、永遠に』

『パリよ、永遠に』
©2014 Film Oblige-Gaumont-Blueprint Film-Arte France Cinema

国の存亡をめぐる外交官と将校の舌戦に圧倒される83分
もしもパリが壊滅していたら……? エッフェル塔、オペラ座、ルーヴル美術館、ノートルダム大聖堂、ポンヌフを除く市内33本の橋……。「芸術の都」パリを代表する名所の数々だが、これらは全て、第2次世界大戦末期1944年のヒトラーによる「パリ壊滅作戦」の爆破標的となった場所。本作は、そんな知られざる歴史の一幕を描いたフランスの大ヒット舞台を、『ブリキの太鼓』などで知られるドイツの名匠フォルカー・シュレンドルフが83分というコンパクトな尺で映画化したサスペンス。家族を人質にとられパリの壊滅を命じられたドイツ軍将校と、パリを守ろうとするパリ育ちのスウェーデン総領事の舌戦がスリリングだ。劇中のほとんどがホテルの一室ながら、飽きるどころかのまれていくのはアンドレ・デュソリエニエル・アレストリュプという、2人のベテラン俳優の名演ゆえ。国の命運を背負った外交官、軍人としての駆け引きから、やがて個人としての話し合いに転じていく展開が面白い。とりわけ、アンドレ演じる外交官が「難攻不落」と思われるかたくななナチの将校を、辛抱強く、真摯(しんし)かつ巧みな話術で説き伏せていくさまを観ていると、政治をつかさどるのはこういう人であってほしい、としみじみ思わされる。(編集部・石井百合子)

映画『パリよ、永遠に』は3月7日より公開

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『博士と彼女のセオリー』

『博士と彼女のセオリー』
©UNIVERSAL PICTURES

25年難病と闘った夫婦を体現した2人の名演が胸を打つ
イギリスの天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士の難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)発症前と発症後の生活を、愛する人ジェーンとの日常を通して描いたラブロマンス。難病と闘う実在の人物を演じたエディ・レッドメインは、下あごを突き出して話すしぐさや声の出し方など卓越した演技力を見せつけ、今年のアカデミー主演男優賞を手にした。エディの良さもさることながら、ジェーン役のフェリシティ・ジョーンズの名演も見逃せない。二人が出会ったときの初々しさに目を奪われ、愛をもって苦難を乗り越えようとする純真さに胸を打たれる。舞踏会の場面では、後世に残る超ロマンチックな名シーンも登場。結婚後の描写で若干の作りや編集の粗さは否めないが、約25年連れ添ったホーキング博士とジェーンを、年の経過と共に表現し切ったエディとフェリシティは一見の価値あり。(編集部・小松芙未)

映画『博士と彼女のセオリー』は3月13日より公開

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『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
©2014 BBP IMITATION, LLC

「普通の人生」を送れない天才の生きざまが感動的
第2次世界大戦時、ドイツ軍の暗号エニグマを解読するマシンを開発した天才数学者アラン・チューリングをめぐる人間ドラマ。戦争終結を早め、現代コンピューターの概念を生んだといわれながら、その功績を英国政府によって隠され続けた彼の秘密が明かされる。天才ゆえに周囲から理解されないチューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)の生涯を、仲間たちと友情を育みながらエニグマ解読に取り組んだ戦時中、ある秘密のため取り調べを受ける戦後、そして、その秘密に関連する少年時代に分けて描写。チューリングの秘密をひもとく過去のエピソードを巧みに織り交ぜながら、暗号解読に至るまでの戦いをユーモアたっぷりに描く展開にぐいぐいと引き込まれる。またそれだけに、エニグマを解読した後も続く彼らの非情な戦いと、チューリングがたどった運命が明かされるクライマックスには、誰もが胸を締め付けられるはず。世間に理解されず、「普通の人生」を送れない人の力で世界は大きく変わるかもしれない。異端を受け入れ、理解することの大切さを考えさせられる、感動的な知的エンターテインメント。(編集部・入倉功一)

映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は3月13日より公開

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『イントゥ・ザ・ウッズ』

『イントゥ・ザ・ウッズ』
©2015 Disney Enterprises, INC. All Rights Reserved.

登場人物の感情の高ぶりを表現したダンスが見もの
『シカゴ』『NINE』などを手掛けてきたロブ・マーシャル監督とディズニーがタッグを組み、スティーヴン・ソンドハイムのミュージカルを映画化。魔女(メリル・ストリープ)にかけられた呪いを解くため、四つのアイテムを手に入れるべく森に入ったパン屋の夫妻が、さまざまなおとぎ話の主人公たちと出会うさまを描く。マーシャル監督のミュージカル映画といえば、ショーアップされたダンスが見どころの一つだったが、今回は俳優たちの動きをあくまでも感情の高ぶりからくる“踊り”までに制限。そのことによってキャラクター一人一人の個性をより際立たせることに成功している。またVFX技術で細部までカバーするのではなく、舞台チックな演出を残すことにより、原作ミュージカルへのリスペクトや、“ミュージカル作品の映画化”ではなく、“スクリーンを使用した舞台作品への昇華”という試みに挑戦しようとするマーシャル監督の意気込みも感じられる。今作で19回目のアカデミー賞ノミネートを果たしたメリルの演技は、さすがのひと言。またこれが映画デビューとなったリラ・クロフォード『レ・ミゼラブル』ダニエル・ハットルストーンら少年少女の歌声も、ほかの俳優たちに劣らず伸びやかに響き渡り、ミュージカル映画の未来は明るいと思わせられる一作だ。(編集部・井本早紀)

映画『イントゥ・ザ・ウッズ』は3月14日より公開

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『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』

『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』
©2014 Twentieth Century Fox Film Corporation

今は亡き2人の名優の存在の大きさを感じさせられる
前2作とは異なるオープニングで、初っぱなからいまだかつてないスケールの大きさと物語の終わりを感じさせる本作。ミニチュア人形による無音のアクション、猿デクスターのビンタといったシリーズのお約束が効果的に使われていることに加え、夜警ラリー(ベン・スティラー)と息子、エジプト王と息子、ラリーと展示物たち、テディことセオドア・ルーズベルト大統領とラリーという“見守る親”と“子”の関係・別れが畳み掛けるように描かれるさまに泣き笑いさせられることは必至。『6才のボクが、大人になるまで。』でも取り上げられた巣立つ息子と残される親の姿だが、違うのは本作にはそこにロビン・ウィリアムズさん演じるテディが居てくれること。彼の笑顔と言葉は唯一無二だ。ロビンさん、そして夜警3人組の一人であるガス役を務めたミッキー・ルーニーさんという今は亡き2人の大きな存在が本作を特別なものにしている。(編集部・市川遥)

映画『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』は3月20日より公開

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  5. 第70回:『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』『博士と彼女のセオリー』『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』『イントゥ・ザ・ウッズ』『パリよ、永遠に』