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連載第2回:ディズニーで働く日本人が語る「ここがすごいよ!ディズニー」

 「ディズニーのすごいところって、ずばり何?」ウォルト・ディズニー・アニメーションで働く日本人アーティストたちに、アメリカで大ヒット中の新作『ズートピア』のことを含めて聞いてきました。(取材・文:編集部・井本早紀)

斉藤千佳さん 部署:モデラー(セット・キャラクター製作)

(C)KaoriSuzuki

ディズニーのインターンシッププログラムで1年間仕事について学び、『ベイマックス』に参加。その後は経験を積むために違うスタジオに向かい、新作『ズートピア』から再びウォルト・ディズニー・アニメーションで働く。

ここがすごいよ!ディズニーポイント
 社員全員の顔がパッと変わる瞬間があるんです。今は仮社屋で仕事しているのですが、いっぱいコンピューターがあるので、停電とかが起きてしまうんですね。システムが整ってからは大丈夫になりましたが、夏に停電が起きてしまったときには、保存していないファイルもあって。みんな焦っていましたけど、おもちゃとかラジコンを持って、外に遊びに行っちゃったんです。突然バトミントン大会を始めたり、その一つ一つの状況をすごく楽しむんですよ。そして復旧したら、みんなプロの顔にパッと戻って作業する。その“楽しむ姿勢”がやはり、ほかのスタジオとは違う気がします。

 大人が子供になって、子供が大人になるような瞬間をよく見ますね。ディズニーは、やっぱり楽しみながら仕事をしている。みんなディズニーが好きで入ってきているし、自分の仕事に誇りを持っているし、自信を持っている。仕事ですが、やっぱり好きでしているんだなということが伝わってきます。

『ズートピア』で関わったところ・見どころ
 かわいいかわいいと言いながら作った、ジュディの子供時代のお祭りのセットがあるんです。でも全部で560個ちょっとあるおもちゃを少しずつ修正しなければならなくなったときは、すごくかわいいけれども、ちょっとコノヤロって思っちゃいました(笑)。それから博物館のセットもメインで担当しまして。全部の動物が入れるように設計されているのですごく大きくて、空間を埋めるのがすごく大変なんです。大きい机とかを置いちゃえばスペースは埋まるんですけれども、(小さいウサギの)ジュディらと比べると違和感が出てしまう。なので彼女のサイズに合わせたものをたくさん置いて、自然に見えるようにしないといけないんです。「なんでこんなに大きく作っちゃったんだろう」って思っちゃいましたけど、すごく楽しかったです。大変な思いをしたものほどかわいくて、自分の子供のような思いで観てしまいます。

土井香織さん 部署:ライティング(照明)&コンポジティング(合成)

(C)KaoriSuzuki

ビデオゲームや映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』などに関わった後、2012年にウォルト・ディズニー・アニメーションに入社。関わった作品は『シュガー・ラッシュ』『ベイマックス』『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』など。

ここがすごいよ!ディズニーポイント
 アニメーション会社なのでキャラクターに関しては、ものすごいこだわりがあります。もういいんじゃないかって思っちゃうくらい、いつも大変で(笑)。絶対にゴール地点までたどり着かないとOKが出ないんです。たぶんこのスタジオに限らず、日本でもアメリカでもだと思うのですが、CGやテクノロジーはすごく進歩しています。同じことの繰り返しだととてもついていけないですよ。常に新しいものを自分で勉強しないといけない。真面目にやっていれば大丈夫ですけれども(笑)。

『ズートピア』で関わったところ・見どころ
 いろんなショットを担当していますが、一番自分の中での目玉はクリプサイド・アサイラムという滝が流れている場所です。屋内のライティングでレンダリングという写真を現像するような工程があるんですが、室内ってさまざまな理由でものすごくノイズが出るんです。それを取り除くのが大変でした。水のエフェクトも複雑で、CGをやっている人とってはイケているショットなんです。

成田裕明さん 部署:ビジュアル・エフェクト(視覚効果)

(C)KaoriSuzuki

サンフランシスコにある大学院でコンピューターグラフィックスについて学び、『オズ はじまりの戦い』『アメイジング・スパイダーマン』などの作品でエフェクツ・テクニカル・ディレクターを務める。大学院時代の同級生の誘いを受け、ディズニーに入社。『ベイマックス』からディズニー作品に携わる。

ここがすごいよ!ディズニーポイント
 ディズニーは2Dの手描きアニメーションからきているので、エフェクトを観てその動きがどうこうというよりも、画(え)やデザインとしてどうなのかとサポートしてくれるエフェクトデザイナーという役職があるんです。ディズニーの過去の作品では水はこういうふうに表現されていたので、3Dで表現するとこうかもしれないとか、アドバイスしてくれます。リアリスティックに見えつつも、アーティスティックに見える。そのバランスを取りながら画を作り上げていくんです。

 また全ての部署が一つのビルの中にいるので、自分の部署以外の人たちの意見を直接聞いて、彼らの意図を理解することができる。外注してしまうと、今作業がどのようになっているのかわからなくなりますが、一つ屋根の下で働いているので作業を共有できるし、映画をみんなで作っているという勢いを感じます。また自分はこういうふうに作りたいから、ちょっと変えてもらえないかと交渉することもできる。全ては最後の画を作るためなので、全ての部署と連携することが必要なんです。

『ズートピア』で関わったところ・見どころ
 レインフォレストという場所で、キャラクターたちが水たまりをぴちゃぴちゃ踏みながら走り回るチェイスシーンがありまして。その水しぶきの上がり方は、動物のサイズや体重や動き方に合わせて一つ一つ変えています。この大きさ・体重の動物が水たまりを踏んだらどれくらい水しぶきが飛ぶか、ということを計算しているんです。さらにカメラを通した画について、エフェクトデザイナーと「これだとやっぱり迫力にかける」とか、「ここのシルエットはこうした方がいい」とか相談しながら作り上げていきました。

マット鈴木さん 部署:プレビジュアリゼーション(初期映像化)&レイアウト

(C)KaoriSuzuki

パサテナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインでデザインについて学び、ルーカスフィルムのインターンを経験。1997年にウォルト・ディズニー・ピクチャーズに入社。『アトランティス/失われた帝国』『塔の上のラプンツェル』『シュガー・ラッシュ』などの数々のディズニー作品に携わる。

ここがすごいよ!ディズニーポイント
 映画製作では、最初のうちはかけた時間とお金に対して質が比例するんですけれども、途中からいくら頑張っても10パーセントくらいしか質が上がらなくなるポイントがくるんです。ビジネスとして映画をやっている人は、普通はここで止めちゃうんですけれども、ディズニーは止めずに、ぐいぐい行きます。その体力というかスタミナがあるところが素晴らしい。ここで止めちゃった人たちは、次にこれ以上のものは作れない。大変だった10パーセントが次の映画の教訓になりますから。この差はすごく大きくて。ビジネスとしては止めた方が、効率がいいのはもちろんわかりますが、ディズニーの会社自体がここで止めないと言っているのに、アーティストが妥協したらダメじゃないですか。妥協せずに自分のベストなものを出したいと思うのが、アーティストの特性ですし。自分との闘いの毎日です。

『ズートピア』で関わったところ・見どころ
 一番作り込んだのは、レインフォレストです。砂漠の町や雪の町とかもやりましたけど、ディテールの量が飛び抜けて違いますよ。植物が生い茂っていながらその植物の形でおおまかなカーブを作っている。その中に家がたくさんあって、川が流れていて……ようするにエレメントがめちゃくちゃ多いんです。しかもいろいろな形の微妙な問題があったので、わたしとしてはめちゃくちゃ時間がかかりました(笑)。

映画『ズートピア』は4月23日より全国公開

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