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山路徹「相手のことがわからないと、怖いから戦ってしまう」イスラエル人監督が語る平和への思いに賛同

山路徹「相手のことがわからないと、怖いから戦ってしまう」イスラエル人監督が語る平和への思いに賛同
報道の力で、相互理解を深める大切さを語った山路徹

 1日、映画『いのちの子ども』の監督で、テレビジャーナリストでもあるイスラエル人のシュロミー・エルダールが来日し、APF通信代表の山路徹、映画監督の森達也、ラジオパーソナリティとして活躍する小島慶子、キャスターのピーター・バラカンを迎え、京橋テアトルでトークイベントを行い、本作に込めた平和への思いを真摯(しんし)に語った。

 映画『いのちの子ども』は、紛争の絶えないイスラエルとパレスチナを舞台に、余命を宣告されたアラブ人の赤ん坊が、封鎖されたパレスチナ・ガザ地区よりイスラエルの病院に運び込まれるところから始まるドキュメンタリー作品。その病院のイスラエル人医師、ソメフがエルダール監督と共に、民族や宗教の対立を超えて「この小さな命を救いたい」と立ち上がる姿を追っている。

 ガザ地区を取材している最中、紛争に巻き込まれて同行のカメラマンが負傷したり、パレスチナ人の組織に拉致されそうになったりと、危険な目に何度も遭遇しながら本作品を作り上げたというエルダール監督。戦乱の最中に生きる当事者のイスラエル人でありながら、本作を作った意義について、「わたしは自分にとっての真実を伝えようとした。その真実とは、命は何にも増して尊いということ」と断言。パレスチナとイスラエル両方に堂々と批判を行う同氏の姿勢に対して、イスラエル市民からは、ときに「裏切り者」と批判されることもあるそうだが、「それはわたしにとってどうでもよく、真実を伝えることが大事。イスラエル人の多くはガザの現状を知りたいと思っていないが、わたしはそうした状況の中で人間的なストーリーを伝えようとしている。相手を恐れることが和平の障害になっているので、お互いが人間同士として出会うことが和平への第一歩になると信じている」と作品を通し、平和の実現を願い続けていると明かした。それを受けた山路は「対立を飛び越えて、一人の子どもの命を守ろうという、人類の普遍的なテーマがある。宗教や民族の違いが大きな壁として立ちはだかっているが、お互いが理解し合えたときに一つの未来が築ける可能性を提示してくれた」とコメント。ほかの登壇者たちも、共に心を動かされたかのように賛同していた。

 実際、本作がテレビで放映された際は大変反響が大きかったらしく、エルダール監督のもとには、イスラエル人から「日々家に向かってロケットミサイルが飛んできて、子どもが危険にさらされているので、ガザなどなくなればいいと思っていた。けれど映画を観て、ガザにもわたしたちのような家族が住んでいると知りひどく恥じた。このメッセージをガザの人々に掲げてください」というメールが届いたことを明かすと、登壇者たちも感無量の表情。山路は「相互理解のためにこういうドキュメンタリーは大事。相手のことがわからないと、怖いから戦ってしまうが、お互いが理解しあう努力をすることができれば、共通の未来や平和が築ける。それが和平に繋がる近道だと思うし、(本作の製作に)勇気を持って携わった皆さんに心から敬意を表したい」とコメントし、改めて報道の持つ力の大きさをかみしめていたようだった。(肥沼和之)

映画『いのちの子ども』は7月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町にて公開


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