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強盗殺人事件で無罪を勝ち取ってから1年…『ショージとタカオ』がアンコール上映

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(左から)杉山卓男、井手洋子監督、桜井昌司
(左から)杉山卓男、井手洋子監督、桜井昌司

 1967年に起こった強盗殺人事件「布川事件」の元容疑者・桜井昌司さん(65歳)と杉山卓男さん(65歳)を追ったドキュメンタリー『ショージとタカオ』が、2人が昨年6月に再審無罪を勝ち取ってから1周年になることを記念し、東京・オーディトリアム渋谷でアンコール上映が決まった。このほど会見を行った桜井さんは「この1年の月日の中で、検察や警察が行った証拠隠しなどは絶対に許せないという怒りが大きくなった。こういう実態を許したままでいいのか? と思う」と訴え、近く県や国を相手に国家賠償請求訴訟を起こすことを明かした。

映画『ショージとタカオ』場面写真

 布川事件とは茨城・利根町布川で当時62歳の男性が殺害され、町で有名な“やんちゃ坊主”だった2人が逮捕された。一審で無期懲役刑が言い渡されたが、任意性のない自白だったのと物的証拠が何もなく、2人は一貫して無罪を主張。昨年ようやく身の潔白が証明されたが、2人は獄中29年、仮釈放14年の計約43年間も犯罪者として生きていた。 映画は仮釈放からの14年間に密着し、2010年キネマ旬報社文化映画部門で1位を獲得したほか、釜山国際映画祭アジア部門で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど高い評価を受けている。

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 桜井さんは改めて闘いの日々を振り返り「昔は杉山の方が武勇伝を持っていたけど、社会に出てからは自分の方が心に修羅があり、それを抑えて再審に向かっていた。今度は(国賠訴訟の)裁判の中で、警察や検察が行った不正行為を明かして行きたい。刑務所の中で両親が死に、人間として味わった苦痛は金(賠償金)では解決出来ないですから」と新たな闘志を燃やしていた。

 その一方で念願の料理教室参加に加え、夢だった歌手デビューを目指してレコーディングに励んでいるという。「でも先月録音したら思ったより下手だった(苦笑)。来月、もう一度チャレンジして、それでダメだったら諦めます」と法廷同様、アグレッシブに活動しているようだ。

 杉山さんは国家賠償請求をする意向は「全くない」そうだが、29年間の奪われた青春を謳歌しつつ、これまで通り冤罪事件の支援活動を行なっていくという。杉山さんは「真面目な夢があるんです。カッコイイ事を言っちゃうようですけど、いま、獄中に捕らわれている冤罪の人を全部救い出してあげたい。そして彼らと一緒に酒を飲むのが一番の夢」と胸の内を明かした。

 2人を追い続けた井手洋子監督は「2人は20歳と21歳の時に逮捕されました。こうした冤罪を生む社会があるということを若い人にも関心を持って欲しい」とアピールした。(中山治美)

映画『ショージとタカオ』のアンコール上映は5月19日~25日の連日18時より東京・オーディトリアム渋谷にて

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