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「一方的に日本側を責めない」ヤン・ヨンヒ監督 韓国・北朝鮮の問題省みる

「一方的に日本側を責めない」ヤン・ヨンヒ監督 韓国・北朝鮮の問題省みる
映画作りの心掛けを語ったヤン・ヨンヒ監督

 29日、テアトル新宿で映画『かぞくのくに』の大ヒットを記念したティーチインが行われ、安藤サクラ、井浦新、ポカスカジャンの省吾、ヤン・ヨンヒ監督が登壇、公開4週目ながら満席となった劇場でトークを繰り広げた。

 ドキュメンタリー映画『Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン』がベルリン国際映画祭で受賞するなど、世界でも高い評価を受けるヤン監督が、実体験をもとに初のフィクション映画に挑んだ本作。1959年12月より20数年にわたって行われた北朝鮮への集団移住「帰国運動」によって引き裂かれた兄と家族の、25年ぶりの再会が描かれる。

 当時北朝鮮は、社会主義体制のもと急速な復興を実現した「地上の楽園」と宣伝されており、日本社会で差別や貧困に悩んでいた9万人以上の在日コリアンが新天地を目指し渡っていったと言われている。現実は楽園とは程遠かったが、日本と北朝鮮との国交が樹立されていないため、現在も彼らの再入国はほとんど果たされていない。

 在日コリアン2世であるヤン監督の3人の兄は「帰国運動」によって北朝鮮に渡った。それゆえ監督は、本作で北朝鮮について描くことについて「誰もやらないアンタッチャブルなテーマ。もしそういう作品を手掛けると(北朝鮮にいる)家族に迷惑がかかったり、わたしのように北朝鮮に入国禁止となったりと、常にリスクがあるんです。それでも誰かがあえてやらないといけない」と決意を語る。さらに作品を作る心掛けとして「一方的に日本側を責めないこと」と切り出したヤン監督は、「それは日本人自らがやった方がいい。在日コリアンの立場としては、韓国や北朝鮮に何か問題がなかったのだろうかと省みた上で、あなたにも問題があるんじゃないですかと言わないと何も解決しない。まぁ今アホな大統領がゴチャゴチャやっていますが、最悪なパターンになるのはお互いに責め合うから。そういうことはしたくない」と付け加える。

 本作は日本と北朝鮮との政治的な問題を背景としているが、描かれているのは普遍的な家族の問題だ。「この映画で北朝鮮を責めようという意識はまったくありません」というヤン監督自身、本作が北朝鮮の政治的な話と受け取られてしまうかは賭けだったというが「役者の皆さんのおかげで家族の温かさが非常によく伝わってきました。今回は大きなチャレンジでしたが、役者さんたちに救われました」と晴れ晴れとした表情で振り返った。(取材・文:壬生智裕)

映画『かぞくのくに』はテアトル新宿ほかにて公開中


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