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マイク・リー監督、喜歌劇「ミカド」はナンセンス!「日本については何も語っていない」

マイク・リー監督、喜歌劇「ミカド」はナンセンス!「日本については何も語っていない」
映画『トプシー・ターヴィー』が日本公開されていないことが本当に残念だというマイク・リー監督 - Photo:Yukari Yamaguchi

 マイク・リー監督の映画『トプシー・ターヴィー』(1999)がロンドンフィルムスクールで上映され、リー監督が質疑応答を行った。今回の上映会は、リー監督による「ペンザンスの海賊」がイングリッシュ・ナショナル・オペラで上演されることに寄せて開催されたもの。リー監督はロンドンフィルムスクールのチェアマンで、卒業生でもある。同校は、『パブリック・エネミーズ』のマイケル・マン監督、『ミッション:8ミニッツ』のダンカン・ジョーンズ監督などを輩出していることでも知られる。

 「ペンザンスの海賊」は、ヴィクトリア時代の劇作家ウィリアム・S・ギルバートと作曲家アーサー・サリヴァンによる喜歌劇。同作を現代によみがえらせた理由についてリー監督は、「1970年代から自分の中にあるものは何でもやってきました。今回も、どんなことになるか、見てみたかったのです。19世紀の素晴らしい作品自体に語らせたかった」と説明した。

 『トプシー・ターヴィー』は、そのギルバート&サリヴァンを主人公にしたリー監督初の時代物で、第56回ベネチア国際映画祭男優賞(ジム・ブロードベント)や、第72回アカデミー賞衣装デザイン賞、メイクアップ賞などさまざまな賞をさらった。

 「めちゃくちゃ」とも訳される「topsy turvy」という言葉が、『トプシー・ターヴィー』ではギルバート&サリヴァンの作風と、二人が作品を生み出す状況の混乱と重ねられる。リー監督は「翻って考えれば、わたしたちも同じです。別のレベルでは、アイデンティティーについてともいえます。興味深いことに、ギルバート&サリヴァンの作品の多くは、仮面を着け、アイデンティティーを変え続ける人の話でもあります」と核心に触れた。

 二人の代表作となった「ミカド」完成までが大きな部分を占める本作だが、リー監督は「ミカド」について「全くナンセンスで、日本については何も語っていません。ヴィクトリア時代の人々の認識は差別的ですらあります」として、「『トプシー・ターヴィー』は日本では劇場公開されていません」と残念そうに語った。

 ギルバート&サリヴァンが主人公だが、悲しい女性の姿で終わる本作は、画家ターナーを主人公としながら、やはり最後は女性の姿で締めた『ターナー、光に愛を求めて』とも重なる。「言ってみれば男性有名人の映画ですが、この女性たちも彼らの人生に関わったのです。彼女たちだって自分の足で立ち、自分の問題と闘っていた。拍手喝さいを浴びて終わりではなく、生活は続いていくのです」と意図を述べた。

 リー監督の次作となる『ピータールー(原題) / Peterloo』は、ピータールーの虐殺を描くもので、時代物3作目となる。その後の映画や舞台のきっかけとなった『トプシー・ターヴィー』が、リー監督を語る上でかかせない作品であることは間違いない。過去にテレビ放映されたのみの日本でも、遅ればせながらの劇場公開、せめてDVD発売を望みたいところだ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)


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