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伊勢谷友介「死刑制度を考えるきっかけになれば」 何度も殺される役を通じて気づき

伊勢谷友介&若葉竜也
伊勢谷友介&若葉竜也

 若葉竜也伊勢谷友介が13日、都内の公益社団法人日本外国特派員協会で行われた映画『ペナルティループ』(3月22日公開)記者会見に荒木伸二監督とともに出席、タイムループのあだ討ちをテーマにした本作について思うところを語った。

【画像】若葉竜也&伊勢谷友介、会見の様子

 ミステリー映画『人数の町』などの荒木伸二監督がメガホンをとった本作は、恋人を殺害した犯人への復讐(ふくしゅう)を繰り返すタイムループから抜け出せなくなった男を描くサスペンス。若葉は恋人・砂原唯(山下リオ)を殺された主人公・岩森淳に、伊勢谷は唯を殺した素性不明の男・溝口登を演じる。

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 大学の卒論は映画監督のジャック・リヴェットについて研究していたという荒木監督。タイムループであだ討ちを描くにあたり、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)、『恋はデジャ・ブ』(1993)、『ミッション:8ミニッツ』(2011)といった過去の名作において、何分にどういった要素が登場するのかといったことを分析し、過去作とは違ったものをつくり出そうと心がけたという。そんなひと筋縄ではいかない物語は役者陣を魅了したようで、若葉は「ちょうど僕がオファーをいただいたときはコロナのまっただ中で。俳優業界も、エンタメ業界も、何かを発言すれば揚げ足をとられ、批判にさらされるような空気があって。そこに対しての怒りや、破壊衝動みたいなのが蓄積していた状態でした。そこに荒木監督からの台本が届きまして。このわけの分からなさがとても魅力で。一緒に日本映画を壊してみませんかという招待状をもらったような、そこに手を差し伸べてもらったような気持ちになりました」と出演を決めた理由を語る。

 一方、伊勢谷はタイムループで何度も殺されるという役柄に「基本的に僕のやっているキャラクターは、社会の仕組み、ルール、規制というところに流されるように生きてきたキャラクターだと思ったんです。そういう生き方は、日本の人ならみんなやっていること。だから僕の役は自分でも想像しやすいところで演じさせていただいた」と前置きすると、「基本的に日本人って世の中に引っ張られるように生きていて。だから民主主義を変えようという気はさらさらないし、変えようというモチベーションもない」と役柄のバックグラウンドを説明。タイムループであだ討ちが繰り返される仕組みを溝口が受け入れてしまっているという描き方に「今の日本人を体現しているのが僕のキャラクターかなとも思いますし、逆に言うと死刑のアンチテーゼとして考えるきっかけになれば」と呼びかけた。

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 そうしたチャレンジングな役柄に「怖いと思わなかったのか?」といった質問も。若葉は「怖いとか不安とかは一切なかった」と一蹴し、「基本的に僕はこういう役をやってみたい、ああいう役にチャレンジしたいという感覚を持ち合わせてなくて。でも今回、岩森に求めるものはありました。よく子どもが虫とかを残虐に殺す遊びをしているのを見た時に人間の本質が見えるということはあると思うんですが、そうした、生きていく上で押さえ込まれた人間が本来持つ凶暴性、残虐性のようなものがこの映画であぶり出されたらいいなというところに注力しました」と答える。

 続いて伊勢谷は「やはり何度も殺されるということが怖かった」と述懐。「死刑という制度があることがどれだけ恐怖なのかということを、日本で生活することよりも、この映画に出てみて感じることも多かった」と言い、「つまり何が言いたいのかというと、ルールを変えるのではなく、ルールにのみ込まれて生きているということを役の中で体現していることが怖かった、と認識したわけです。だから今われわれが抱えている、死刑というルールに対して考えるきっかけになったらいいな、というのは映画が完成してから考えるようになりました」と力強く語った。(取材・文:壬生智裕)

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