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塚本晋也監督「どんな思想があってもいい」戦争描く『野火』に込めた思い(1/2)

塚本晋也監督「どんな思想があってもいい」戦争描く『野火』に込めた思い
『野火』がソフト化される塚本晋也監督

 映画『鉄男 TETSUO』『悪夢探偵』などの塚本晋也監督が、昨年7月25日に公開されてから、現在も劇場上映が続く映画『野火』のブルーレイ&DVD発売決定(5月12日発売)にあたり、改めて同作に込めた思いを語った。

 作家・大岡昇平が1951年に発表した同名小説を映画化。第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島を舞台に、部隊を追われた1等兵が雄大な自然の中で目にした、むごたらしい戦争の現実を描く本作。極限状態におかれた兵士たちが見せる狂気は、イデオロギーをこえて、戦争のおろかさ、恐ろしさを訴えかけてくる。

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主人公の田村1等兵は塚本監督自身が演じた (C) 2014 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

 「そういう社会的な思想みたいなものを映画の中に入れるつもりが最初からないんです」という塚本監督は、「とにかく大岡昇平さんの素晴らしい小説になるべく近いものを作り、お客さんにも追体験してもらいたいというのがあった。ただ、戦争は絶対に嫌だなっていう思いは強くあって。そのことに対しては誰も文句は言えないはず。そして、観た後でどう考えるのかは皆さんの自由」と語る。その思いは、渋谷ユーロスペースでの凱旋上映を告知するチラシにも掲載されている、「映画は一定の思想を押し付けるものではありません。感じ方は自由です」という言葉からも伝わってくる。

 製作中は、塚本監督を「反日」と非難する声も見られたといい、「そういう映画を作ったというだけで簡単にカテゴライズするというのは、今の一番よくない状況のシンボル。その状況自体に一石を投じることはしてもいいなと思いました。イデオロギーといった問題ではなくて、どんな思想があってもいいのに……ということを言っているわけですから」と吐露。その狙いは多くの観客に伝わったようだ。実際に映画が公開されると、そんな声も聞かれなくなった。「戦争には近づきたくないという前提の下に、いろいろ考えるようになってほしいという願いで作ったものです。そうしたら、自分の想像以上に嫌だなと思う人が多かったので、よかったなと思いましたね」。

 かつては、日本版『地獄の黙示録』のような大規模な作品を希望していたが、「こういう映画を作りにくくなっているっていう時期が来て、やらざるをえなくなった」という塚本監督。出資会社の賛同を得られなかったこともあり自主製作に踏み切ったが、「しょうがなくやったように見えて、必然だったなと。今作らないといけない映画だったし、大規模でって夢のようなことを言ってもありえないわけで。主役以外は全部思ったように、きちっとできています。いつもそうなんです。最初は小さく始めるんですけど、結局そうなっちゃうというか。わりと大きな規模でちゃんと出来上がりました」と満足そうに語った。


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