街中で映画のネタ集め!?カンヌ・パルムドール受賞作監督、創作の裏側語る
第70回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(4月28日公開)の監督・リューベン・オストルンドと音楽家の菊地成孔が11日、ヒューマントラストシネマ渋谷で行われた本作の先行プレミア上映会に出席。監督は身振り手振りを交えたパワフルな口ぶりで創作の裏側を明かした。
第70回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作!映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』予告編
本作は、権威ある有名美術館のキュレーター・クリスティアン(クレス・バング)が行ったささやかな復讐が、やがて彼の人生を追い込んでいくさまを描き出した問題作。本編上映後に登壇したオストルンド監督は、観客からの質問に応じた。「人間観察がお好きなんですか?」という女性客からの質問に対し、監督は「映画に出てくるエピソードは自分自身の経験もあれば、友人、知人から聞いた経験なども混じっている」と語った。続いて、「例えるならスタンダップ・コメディアンが街でネタ集めをするようなもの。いろんな人に会い、『こういうテーマで映画を作っているんだ』という話をすると、それを聞いた人が『実はこういう面白い状況があるんだよね』と話してくれる。それを集めて映画に使うということもあります」と創作の一端を明かした。
そしてイベント後半には、音楽家の菊地成孔が登壇。菊地は本作に対し「最近のヨーロッパの映画は、我々がいかにヨーロッパの現状を知らないか、ということを思い知らせてくれる。ネオナチがいて、ショッピングモールにホームレスが普通にいて……。我々のコンサバティブな感覚を覆してくれるんですよ」と感想を述べた。
最後に、次回作について監督は「妻がファッション業界のカメラマンなんで、次はファッション業界について、美について描きたいと思います」とコメント。「男性モデルを主人公にしようと思っているんです。実はモデルになったのは妻の友人の男性でね。彼はトップモデルだったんだが、最近は髪の毛が抜けてきて、はげてきました。新作も悲喜劇になると思います」と作品の構想を明かす。そのタイトルは『Triangle of Sadness』(トライアングル・オブ・サッドネス)となるそうで、監督は「『眉間のしわ』という意味なんですが、心配しないでください。ボトックスを受ければ15分で解決しますから」とジョークを付け加えて、会場を沸かせた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、4月28日よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ他ほか全国順次公開