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大林宣彦監督作『花筐/HANAGATAMI』主演俳優を直撃!

『花筐/HANAGATAMI』に主演した窪塚俊介
『花筐/HANAGATAMI』に主演した窪塚俊介

 ニューヨークのジャパン・ソサエティーで開催されたイベント「ジャパン・カッツ!」で、クロージングナイトを飾った大林宣彦監督作『花筐/HANAGATAMI』について、7月29日(現地時間)、主演の窪塚俊介がインタビューに応じた。

【作品写真】常盤貴子の赤いドレスが印象的な『花筐/HANAGATAMI』

 本作は、作家・檀一雄の原作を大林監督が映画化したもの。1941年春、叔母(常盤貴子)が住む佐賀県・唐津に移り住んだ17歳の俊彦(窪塚)は新学期を迎え、美少年の鵜飼(満島真之介)、病気がちの吉良(長塚圭史)、お調子者の阿蘇(柄本時生)らと友情を深める一方、肺病に苦しむ従妹の美那(矢作穂香)に恋心を抱いたり、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)と交流を深めるなど青春を謳歌していた。だが、そんな彼らにも徐々に戦争の影が忍び寄る。

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 「オールスタッフ、オールキャストがどうなるの? みたいな感じになった」。そう窪塚が振り返ったのは、大林監督が撮影開始1日前に肺がんで余命宣告を受けた時のことだ。「大林監督が一番前向きだったんです。監督がいない中、撮影に入りました。でも、結局監督が(その映像を)どう思うか? 一度意見を聞こうということになったんです。監督は(その撮影した映像を観て)『最高だね』と言い、後でそのときのカットをほとんど使ってくれたんです。今となっては、監督も治療がうまくいきましたし、僕らはみんなものすごい経験をしたんだなぁと思いましたね」と大林組のスタッフが一丸となって奮起した様子を語った。

 そんな大林監督の現場では、俳優はマネージャーを連れずに、監督と直接に会話する環境にあるという。「僕は、演技を始めた頃から大林監督に教えてもらったことがいっぱいあるので、もともと現場にはあまりマネージャーを呼びません。ただ、役者によっては、マネージャーがいないのは大きなハードルになるかもしれません。僕自身は、大林監督とは5本やらせて頂きましたが、大林組にいるときはマネージャーがいたらなぁと思ったことは一度もありませんでしたね」と窪塚。いつも大林組に守られている感じがあるのだそうだ。

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花筐/HANAGATAMI
イラストが印象的なポスター - (C) 唐津映画製作委員会/PSC 2017

 その後、がん治療から撮影現場に戻ってきた大林監督だが、長年タッグを組んできた窪塚ならではの印象の変化があるという。「10数年前に初めてお会いしたとき、とても穏やかな方だと思いました。その穏やかさは変わらないのですが、最近よりシャープになって、切れ味鋭い印象があるんです」。また、素晴らしい人格者であると同時に、大林監督の中には確固たるものがあり、彼の言ったことはおのずと正論に聞こえてしまう、そんな魅力があると語った。

 大林監督の戦争観については、監督の頭の中にある戦争の全体像はわからないと前置きしながらも、「監督の考え方には僕が否定する部分は1ミリもなかったです。戦争に関しては、俳優陣も個人でそれぞれ考えましたが、それを全部包みこんだうえで、戦後世代のわれわれに教えてくれる感じで、僕自身も『戦後の人たちだから』と言われることに、(知らなければいけないこととして)ドキっとさせられました」と身の引き締まる思いになったことを明かした。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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