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荒井晴彦・森達也・白石和彌・井上淳一が押しかけトーク隊結成!リモートでミニシアター応援

ミニシアター押しかけトーク隊 「勝手にしゃべりやがれ!」
ミニシアター押しかけトーク隊 「勝手にしゃべりやがれ!」

 今月1日から首都圏でも営業が再開されはじめた、ミニシアターを応援するため、荒井晴彦森達也白石和彌井上淳一ら、4人の映画監督・脚本家が、劇場からのリクエストに応じて、上映されている映画のトークショーにオンラインで出演する”ミニシアター押しかけトーク隊” 「勝手にしゃべりやがれ!」を結成した。

 徐々に全国で上映を再開しはじめたミニシアターだが、感染予防策を徹底するため、座席数は前後左右を空けて販売、ロビーの混雑を避けるため休憩時間は長く、上映毎に換気・消毒をするなどの対応に追われ、通常運転までには時間が必要となる。

 そこで、少しでもミニシアターの助けになろうと立ち上がったのが、「SAVE THE CINEMA『ミニシアターを救え!』プロジェクト」の呼びかけ人でもある4人。全国のミニシアターから「この映画のトークをやって」とリクエストされれば、自分たちの映画に限らず、日本映画、外国映画、ドキュメンタリー、アニメなど、どんな映画でもリモートでトークをするという。

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 地方の映画ファンも4人の映画談義を楽しめる機会となり、トーク配信の有無や方法などは全て映画館の希望を最優先、配信の料金も劇場に任せる。そのため、無料でも構わないという「勝手にしゃべりやがれ!」は「映画館で生身のゲストが舞台挨拶やトークが出来る日まで、いや、コロナが収束する日まで、試行錯誤を続けていきたいと思っています」としている。(編集部・入倉功一)

「勝手にしゃべりやがれ!」4人のコメントは以下の通り

荒井晴彦コメント
予備校に行くのがイヤで、新宿で途中下車して、喫茶店で映画館が開くのを待った。喫茶店ではモーニングサービスが付いたが、朝食を食べて、家を出てきている。無理して食べていたのか。53年前だ。ミニシアターなんて無い。日活名画座、シネマ新宿、トイレでつながっている新東地下劇場、丸井の裏にあった新宿ローヤル。映画が好きだったわけではない。時間潰しで、受験からの逃避だった。しかし、やましかったのか、娯楽映画は見なかった。このままじゃ受験戦争の敗者で社会の負け犬になると思い、スクリーンの中に、落ちこぼれた人間の生き方を探すようになった。立派な人、強い人、偉い人が主人公の映画は避けた。
 高校同期の子が、ライバルだった一橋現役合格とアニエス・ヴァルダの『幸福』を見に行ったと聞いて、俺は、トニー・リチャードソンがプロデューサーの『みどりの瞳』に誘った。ニュー東宝シネマ。初めて女子と見た映画だった。その彼女と最後に見たのは『卒業』、東急名画座だった。
 いつ、どこの映画館で、誰と見たのかという思い出と共に、映画は記憶される。スマホやパソコンで映画を見るなんて、他人事ながらイヤだなあ。と言っていたら、いまや、映画活動家の井上淳一に、コロナに怯えている老人が引っ張り出されたのです。

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森達也コメント
 これを機会に映画について考える。リュミエール兄弟がシネマトグラフを使って上映会を行ってから100年とちょっと。決して古い伝統に支えられた文化ではない。
 ならば僕自身が初めてスクリーンで映画を観たのはいつだろう。子供時代は怪獣映画の全盛期。ゴジラやキングギドラやガメラはすべてスクリーンで観た。同じころに先生に引率されて『サウンド・オブ・ミュージック』を観に行った記憶がある。ディズニーの『砂漠は生きている』もこの頃に観た。
つまりほとんどが怪獣・アニメ映画か文部省推薦映画。そして高校受験が終わった中学生最後の春休み、今は札幌で牧師をやっている映画好きのクラスメート池田君から、新潟市内の名画座「ライフ」に一緒に行こうと誘われて、『イージー・ライダー』と『いちご白書』を観た。おおげさではなく腰が抜けた。上映が終わってからもしばらく椅子から立ち上がれなかった。それから映画館通いが始まる。高校時代はほぼ毎週のように「ライフ」に通った。『気狂いピエロ』に『スケアクロウ』、『真夜中のカーボーイ』に『フレンチ・コネクション』、『赤い鳥逃げた?』に『青春の蹉跌』、『燃えよドラゴン』に『追憶』。『狼たちの午後』に『アメリカの夜』。
 ......ここに挙げたのはほんの一部。たくさん観た。観るだけでは飽き足らず、8ミリカメラを親に買ってもらったクラスメートの長谷川君が脚本を書いて映画も撮った。僕のポジションは助監督。監督の長谷川君以外はみんな助監督。制作とか美術とかの発想はなかった。
 それから長い月日が過ぎた。人生についてほとんど、は言い過ぎだけど、少なくとも半分近くは映画から学んだ。もちろん映画は疑似体験だ。現実と混同はしない。示唆とか補助線とか暗喩とか、呼び方は何でもいい。そして今思えば、あの時代に観て刺激を受けた作品のほとんどは、今ならばシネコンでは上映しない映画だ。
 ハリウッドや巨大資本に支えられた映画ばかりではなく。小さな映画を守りたい。小さな映画館は必要だ。そしてそのためには、できるかぎりの声をあげます。

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白石和彌コメント
 ミニシアターの戦いはまだまだ続きます。少しでも力になれないかと模索する中、井上先輩からこんなアイデアが。自作だけではなくどんな映画でも語るという趣旨が楽しい。プロレスでいうとバトルロワイヤル。荒井さんがいる中、アニメとかゾンビ映画とか語りたい。劇場の皆さん、是非呼んでください。

井上淳一コメント
 苦しいのはミニシアターだけじゃないのは分かっている。居酒屋だってパチンコ屋だって風俗業界だって旅行会社だって、外国人技能実習生だって学生だってフリーランスだって、映画に限って言えば、スタッフだって役者だって配給会社だって宣伝会社だってポップコーンを納入している業者だって苦しい。それは分かっている。分かっているけど、それでも自分の映画をずっと上映してくれているミニシアターをどうにかしたいという想いはどうしようもない。普段から決して経営が楽ではないミニシアター。50席を半分にしたら25席だ。地方では平日にそれだけ入れば、御の字だろう。でも、それだって、土日や入る映画で50人近く入って、トータルすればだ。満席が半分じゃキツい。客足だって完全に戻っていない。いくら感染対策に気を遣っても、映画館が「映画館に来い」とは言いにくい。ならば、我々が代わりに言えばいい。映画館に映画を観に行くことこそが #SAVE the CINEMA だと。次に映画を作った時、それを上映するミニシアターがなくなっていて、一番困るのは我々だ。だから、これは自分自身を救うことでもあるのだ。

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【トークショーのルール】
1.トークする映画は、映画館側の希望によります
2.配信の有無、方法も劇場に任せます。
3.配信の料金も劇場に任せる。無料でも構いません。
4.上記、映画選択、配信方法、料金設定以外には、劇場には迷惑はかけません。
5.トークの進行、トーク時間などは、その都度、劇場と話し合いながら決めていきます。
6.劇場に来た観客は、4人と質疑応答することが出来ます。
7.常に4人が揃うとは限りません。
8.トークは4人に拘らず、随時ゲストの参加も可能です。
9.4人が脚本、監督、プロデューサーとして関わる映画は、1人だけの参加でもこのイベントの一環とします。
10.トークの受付は、太秦株式会社(小林三四郎)と井上淳一が担当します。
11.期間はコロナ収束までとし、生の舞台挨拶&トークショーが可能になっても、劇場側から求められれば、トークします。
12.4人の願いは、一日も早くミニシアターに観客が戻ること。そして、映画の様々の見方を提示し、映画館で観る映画の面白さを知ってもらうことです。
13.ギャランティーは一切派生しません。

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