日向坂46、それぞれの“改名”への思い
人気アイドルグループ・日向坂46の初ドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』が劇場公開中。欅坂46のアンダーグループであるけやき坂46(ひらがなけやき)からの“改名”を経て、スターダムへと駆け上がっていく姿が映し出される本作をめぐって、グループの中核を担ってきた一期生の佐々木久美と佐々木美玲、そしてセンターを務める二期生の小坂菜緒が思いを赤裸々に語った。
さまざまな試練を乗り越えながら、アイドルグループとして着実に力をつけてきた日向坂46。なかでも2019年2月に動画配信サイトにて発表された、現在のグループ名への改名は、メンバーにとってターニングポイントとなった。
「間違いなく人生最大のサプライズ」と語るキャプテンの佐々木久美は「あのとき、私の頭のなかに『改名』という文字が完全に抜けていたので心底驚きました。しかも、『日向坂46』という予想もしなかった可愛い名前! ずっと『ひらがなけやき』としてやってきたので、淋しい気持ちもあったのですが、この名前をいただいたことで本当の意味で『坂道シリーズの一員になれた』という喜びがジワジワと湧いてきました」と声を弾ませる。
一方、佐々木久美とともに初期からグループを支え、ひらがなけやき時代には「期待していない自分」などの楽曲でセンターも務めた佐々木美玲は「初の単独アルバム『走り出す瞬間』のリリースが決定したときが一番の衝撃でした。それまでは欅坂46のカップリングとして参加したものしかなかったので、単独というのが本当に嬉しかった」と振り返る。一方、改名に関しても同期の齊藤京子たちとずっと気にかけていたということで「京子は『ひらがなけやき』という名前に愛着はあるけれど、グループの未来を考えたら『絶対に改名しないとダメ』と言い続けていたので、発表を誰よりも待ち望んでいたはず」と思いを寄せる。
そして、改名によって一番大きな人生の転機を迎えたのが、二期生の小坂。「デビューシングル『キュン』の発売が決まって、みんなと一緒に喜びに浸っていたのですが、フォーメーションが発表された瞬間、一気にドーンと(気持ちが)落ちちゃいました。まさか自分がセンターを務めるなんて思ってもみなかったので……」と本音を吐露。その日からプレッシャーで押しつぶされそうになり、メンバーとも距離を置いてしまったそう。「ドキュメンタリーを観ながら『私、こんなに壁を作ってたんだ!』とびっくりしちゃって(笑)。改めて申し訳ない気持ちでいっぱいになりました」と苦笑い。
そんな小坂を救ってくれたのは、他の誰でもない日向坂46のメンバーたちだった。「私がここ(センター)に立っていることをプレッシャーに感じないよう、変に気を遣わず、普段通り自然に接してくれたんです。『一人で気持ちを追い込みすぎちゃダメ』というみんなの思いがヒシヒシと伝わってきて、日増しに『メンバーがいるから、私がいる』という気持ちが強くなり、気がついたらダンスの振り入れやライブのリハーサルを心から楽しめるようになりました。今でも自信はないのですが、いつでもメンバーに頼れるという安心感がすごく支えになっています」と感謝する。
小坂の思いを頷きながら聞いていた佐々木美玲は「一期生の私でもきつかったのに、二期生でセンターを務めるなんて、絶対にいづらかっただろうなと。でも、それを乗り越えてカッコよく立っている姿を見たときは、本当にすごいなと思いました。もう、なんていうか……抱きしめてあげたいなって。照れくさいから、まだできていないんですが、そのうちに……ね!」と最後は満面の笑顔で後輩の頑張りを称えていた。(取材・文:坂田正樹)
映画『3年目のデビュー』は全国公開中