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ヒトラーの忘れもの (2015):映画短評

ヒトラーの忘れもの (2015)

2016年12月17日公開 101分

ヒトラーの忘れもの
(C) 2015 NORDISK FILM PRODUCTION A / S & AMUSEMENT PARK FILM GMBH & ZDF

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 5

中山 治美

史実の重さと共に、向き合わされる己の心根

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

『JSA』や『善き人のためのソナタ』など、
特殊な状況下で敵対関係にあった者同士の友情を描いた秀作はある。
本作はさらに、己の本性とか潜在意識と向き合わされることとなるだろう。
ナチスがデンマーク海岸沿いに埋めた地雷を除去する為に、駆り出された独の少年捕虜。
これは当然の報いか? はたまた残酷な報復と思うのか?
少年兵が体調を崩した際、近隣農家の主婦が笑いながら放った言葉が胸に突き刺さる。
「いい気味だわ」と。
戦争は確実に人を変える。
それでも地雷は未だに世界中にあり、暴力と憎悪の連鎖は止む事ない。
そんな世界で自分は正気を保つことができるのか?
本作が今に放ったテーマは実に重い。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

国家の代わりに贖罪を強いられた少年たちの悲劇

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 第二次世界大戦が終結した直後のデンマークを舞台に、捕虜になったドイツ人の少年兵たちが、ドイツ軍によって埋められた無数の地雷を撤去するために駆り出されたという史実を基にした映画だ。
 まだまだ無邪気であどけない少年たちが、ドイツ人というだけで激しい憎悪の目を向けられ、戦勝国側の大人の兵士たちから理不尽な暴力と虐待を受け、過酷な強制労働の中で一人また一人と命を落としていく。それでもなお故郷へ帰る日を夢見て耐え続ける彼らの姿に、胸がズキズキと痛む。
 国家の罪と個人の罪は別物として捉えられるべきだが、しかし憎しみは人間の理性をたやすく曇らせる。それもまた戦争の罪深さだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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