沈没家族 劇場版 (2018):映画短評
沈没家族 劇場版 (2018)ライター2人の平均評価: 3.5
より一層謎が募る、家族って何だ⁉︎
シングルマザーの母親の発案で、共同保育で育てられた監督が自身の生い立ちを辿るセルフドキュメンタリーだ。大学の卒業制作で、育ててくれた母への感謝状でもある。
監督は、いわば共同保育の成果物。実に大らかに屈託なくカメラを回す監督の姿に、誰もが新たな家族の形態に心動かされるだろう。
だが父の登場が、理想郷に疑問を投げかける。
母親の選択で、図らずも子育ての機会を奪われた父の胸の内と幼き母子を写した写真の数々は、血縁者ならではの慈愛に溢れていた。なのに暮らすことが出来なかった家族って?
この辺り、森達也監督や河瀬直美監督だったら両親を対面させてガチンコ勝負させていたかも。
さらなる追究を期待したい。
共同保育という考え方も間違いではないかも?
‘90年代、テレビなどで取り上げられて話題になった「沈没家族」。離婚したシングルマザーが、仕事と両立させながら幼い息子を育てるため、募集した見ず知らずの男女たちと共同保育を実践した。これは、成長した息子本人が監督として当時を振り返り、「沈没家族」とは何だったのかを紐解くドキュメンタリーだ。確かに赤の他人(それも複数)に子供を託すことは、まあ、冷静に考えずともリスクが大きいものの、ただでさえ育児環境の不便や困難が叫ばれる昨今、ひとつの解決策のヒントにはなるかもしれない。また、血の繋がりに囚われない家族のかたちや、現代日本から失われつつある助け合いの精神についても考えさせられる。