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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 (2022):映画短評

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 (2022)

2023年9月15日公開 103分

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊
(C) 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.2

ミルクマン斉藤

こういう小品を選ぶのもセンスってものだけど。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

K.ブラナー監督自身が演じるポアロ3作目。全2作に比べるとずいぶんスケールが小さいが、それもまた一興。戦後、探偵を引退しベネチアで隠棲する、亡霊というものなど信じないポアロが降霊会に招待されるところから物語は始まる。ミシェル・ヨーが演じる主賓の降霊術師は、どう見ても西洋人に見えないのだが、お膳立て自体が芝居がかっていることもあり、その怪演でなんとなく成立しているのが面白い。ただ個人的に、誰それが犯人で終結するというフーダニットものにひどく非映画的なものを感じる僕としては、いくら趣を 凝らそうが多少鼻白む。ま、本作にはちょっとした理性越えの要素もあるのであって、そのあたりがブラナーの悪戯心か。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

オカルト的事象を科学で究明するミステリーの妙

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アガサ・クリスティ原作の名探偵ポアロものである以上、オカルトはありえない。しかし、オカルト的な出来事が次から次へと起こる。その秘密を解き明かしていくのが、本作の妙味。

 原作を大胆に翻案し、ベネチアの古い屋敷に舞台を限定。そこでは殺人事件が起こるばかりか、幽霊が現われたり、怪現象が起こったり。いったいポアロは、それらをどうやって科学的に解明するのか? 最後まで、そんな興味は潰えない。

 ホラー風の演出も効いており、ブラナーのハリウッドデビュー作『愛と死の間で』を連想させるタッチ。怖い映画好きとしては、こんなポアロも大歓迎だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

ブラナー演じるポアロはどんどんしっくりしていく

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」は、過去にも映像化されている人気小説。ゆえに結末を知っている観客も多かったが、今回ケネス・ブラナーは、あえてアガサ・クリスティがキャリアの後期に書いたあまり知られていない作品を選ぶという手に出た。しかも大きく変えているので、まっさらな状態で見ることができる。ホラーの要素は新しく、ビジュアルの雰囲気も過去作と違う。ただ、豪華キャストが揃うのもこの手の映画の醍醐味なので、回を重ねるごとにそこが地味になっていくのはやや残念。一方でブラナー演じるポアロは毎回ニュアンスと奥行きを増し、ますますしっくりしてきた。次もあるのかどうか楽しみだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

シリーズ円熟期!一気に駆け抜ける濃密な一夜

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

禿頭でないケネス・ブラナーのポアロもすっかり馴染んだ感のあるシリーズ第3弾。前2作はゴージャス感が売りでしたが、今回は物語の密度で勝負しつつ、展開はちょっと変化球という”遊び”も感じる一本。スーパーナチュラルな要素にもギリギリのラインでフェアに踏ん張って見せてくれました。
撮影自体はおそらく受賞前だったと思いますが、このタイミングでミシェル・ヨーをキーパーソンに据えられたのはラッキーでしたね。
アガサ・クリスティーの原作はまだまだ名作、大作が続くのでこのシリーズも続いて欲しいところです。

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平沢 薫

水の都ベネチアで、ポアロの信念が揺らぐ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ケネス・ブラナー監督が本作でやろうとしたのは、水の都ベネチアの幻想的な夜の中にポアロを置き、彼の前に亡霊を出現させて"灰色の脳細胞"への信頼を揺るがし、自信家ポアロが戸惑うさまを描くことなのではないか。画面は、ブラナー監督作には珍しいホラー映画の質感。影絵芝居、失楽園が題材の絡繰り時計など、妖しい小道具も続々。

 脚色的にもかなりの異色作。これまでのブラナー監督版のポアロ2作も、原作小説をアレンジしてきたが、今回は原作小説「ハロウィン・パーティ」をまったく新たなストーリーに再構築。ただし、"水"や"子供"など、原作の印象的なモチーフは使っているので、原作の読者には脚色の妙技が楽しめる。

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斉藤 博昭

大胆に改変しつつエッセンスを取り込み、原作映画化の巧みな例

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

アガサ・クリスティの中でもマイナーと位置付けられる原作を、かなり改変。しかも原作とは関係のないベネチアに舞台が移されたが、そのベネチアの特徴、つまりカーニバルや運河が事件に見事に生かされ感心してしまった。しかも登場人物の特性や、カギとなるアイテム、非現実の魔術的要素など、原作のさまざまな面を別アングルから取り込んだりして、このあたりは映画化の醍醐味。

しかも今回は瞬間のショッキング描写など、スリラーとしてケレン味たっぷりの演出を用意し、けっこう怖かったりも。
もうちょい豪華キャストだったら…と夢想しつつ、3作目となったブラナーのポアロ、今回は馴染んだせいか存在感がやや薄く、そこも好印象。

この短評にはネタバレを含んでいます
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