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今週のクローズアップ /アンディ・ウォーホルで芸術家を気取ろう!

ポップアートの祖、アンディ・ウォーホルのミューズとなり、その美ぼうとファッションセンスでアメリカ中をとりこにしたイーディ・セジウィック。彼女が活躍した1960年代と彼女を取り巻く環境や人間模様、そしてイーディ自身の短い人生を描いた映画『ファクトリー・ガール』が4月19日より公開される。ここでは映画制作にも積極的に取り組んできたアンディの、押さえておきたい作品&関連作品をピックアップ!

『チェルシー・ガールズ』(1965)

 眠る男を映し続けた映画『スリープ』(原題)や、同じくエンパイア・ステートビルを延々と映し続けた映画『エンパイア』(原題)など、60本以上の実験的映画を撮り続けていたアンディの商業作品第一弾であり、監督作品として唯一、興行的に成功した作品と言われている本作。


 イーディをはじめ、当時のスーパースターと呼ばれた人種(アンダーグラウンド・アーティストやグルーピー、芸術家の卵、売人)たちご用達の“チェルシー・ホテル”を舞台に、それぞれの部屋で繰り広げられるスターたちのエピソードやケンカ、悲喜こもごもが淡々と描かれていく。本来は一本の映画として制作された作品ではなく、アンディが撮りためていたチェルシー・ホテル内の映像を、さまざまな事情があって『チェルシー・ガールズ』として完成させた経緯がある。


 共同監督として名を連ねているのは、アンディの芸術工房であり、さまざまな人々が集まるアナーキーな文化的サロン“ファクトリー”に出入りしていた、ポール・モリセイ。舞台となったチェルシー・ホテルでは、2008年3月に亡くなったアーサー・C・クラークが「2001年宇宙の旅」を執筆し、ウィリアム・S・バロウズが「裸のランチ」を執筆。パティ・スミスが暮らし、シド・ヴィシャスが恋人のナンシー・スパンゲンを殺害した場所であるなど、ニューヨークの伝説的ホテルとして有名だ。

 

わたしがアンディ・ウォーホルです。
Nancy R. Schiff / Getty Images

『悪魔のはらわた』(1973)

 詩人であり映像作家でもある、ポール・モリセイ監督がアンディのバックアップを受けて作り上げた、斬新なフランケンシュタイン物語。ポール監督は初期のころからアンディの映像制作活動に深く関与しており、右腕的存在といえる。


 本作は人造人間男女2人を交わらせ、完ぺきな新人類を誕生させようとするフランケンシュタイン男爵の姿を描く変態ホラー映画。チープながらもドギツイ描写やインモラルな登場人物たちの行動に目を背けたくなるが、役者たちの熱の込もった芝居やロケーションの美しさなど、魅力的な部分も多い作品。


 コミカルなホラー映画を目指したのか、所々にユーモアを挿入するなど違和感ある展開もしばしば。ただそれが余計にアングラ度を高めることに一役買っているのも確か。オリジナルは立体上映だったため、画面にいろいろなものが突き出てくる演出が目立つ。日本での人気も根強く、公開から約20年経った1995年にリバイバル上映された。フランケンシュタイン男爵を演じたウド・キアは、なぜか日本の某メーカーのCMに奥菜恵と共演し、独特なポジションの国際俳優として活躍していることをアピールした(?)。

 

どうも。変態監督ポール・モリセイです。
Brian Hamill / Getty Images

『I SHOT ANDY WARHOL』(1996)

 1968年6月30日に起こったアンディ狙撃事件の犯人であるヴァレリー・ソラナスの半生を軸に、1960年代のカルチャーやファクトリーの光と影を描いた作品。襲撃犯ヴァレリーを演じるのは映画『酔いどれ詩人になるまえに』で高い演技力を披露したリリ・テイラー。本作を監督したメアリー・ハロンはこれ以降も独特の視線でポップ・カルチャーを描き続けている女性監督だ。


 ヴァレリーはファクトリーによく現われ、アンディの映画にも出演。自分が書いた台本を渡すなど積極的にアンディに接近していたが、徐々に男たちへの異常な不信感から被害妄想にとらわれ、その行動は次第に常軌を逸していったという。ヴァレリーは犯行後すぐに逮捕されたが、精神異常と診断され無罪に。その後、刑事精神病院に収監された。


 狙撃されたアンディは奇跡的に一命を取り留めたが、この事件を“ファクトリーの崩壊”ととらえる評論家も少なくない。1988年、ヴァレリーは52歳で孤独のまま死亡。彼女が提唱し、書き上げた「男性抹殺団(SCUM)マニフェスト」は今ではフェミニズム運動の古典的論文とされているそうだ。

ハロー。演技派のリリ・テイラーよ。
Jeff Vespa / wireimage.com

『ファクトリー・ガール』(2006)

 1965年、アンディはとあるパーティー会場で1人の少女に出会う。少女の名前はイーディ・セジウィック。アメリカで知らぬものはいない、由緒ある名家セジウィック家の令嬢だった。イーディを気に入ったアンディは自分の映画に出演させ、彼女は瞬く間にメディアをとりこにしていった。


 アンディとカルチャー・シーンを2分していたボブ・ディランとの出会いや、家族との深い亀裂。イーディはその不安定な精神状態から拒食症を患い、1971年に28歳という若さでこの世を去った。彼女を取り巻き、飲み込んでいったアメリカの1960年代とは何だったのか……。その片りんが本作で描かれていく。


 ヘイデン・クリステンセン演じるロックスターは誰が見てもボブ・ディラン。ボブは劇中でイーディの死の理由が、自分にあるかのように描かれているとして本作のプロデューサーに公開中止を求める手紙を書き、話題となった。自由奔放なイーディをシエナ・ミラーが奇抜なファッションとメイクで完全に再現。監督は映画『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』など1960年代を回顧するようなドキュメンタリーを数多く制作しているジョージ・ヒッケンルーパー


 以上がアンディ系イチ押し作品。そのほかにも、映画『アンディ・ウォーホールのヒート』や『アンディ・ウォーホル/スーパースター』などなど、押さえておきたい作品はたくさん。こちらもチェケラッ!


わたし、シエナ・ミラー。イーディやってます。
 (C) 2006 Factory Girl,LLC

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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