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今週のクローズアップ /ハリウッドに嵐を巻き起こせ!

26日に公開される映画『ミラーズ』はフランス人監督、アレクサンドル・アジャによるミステリック・残忍ホラー! 今週は、ハリウッドに嵐を巻き起こすこと間違いなしのヨーロッパ人監督が手掛けた注目作品をクローズアップ!
ジャウマ・バラゲロ監督 『REC/レック』

 1980年代に映画『ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり』『フロム・ビヨンド』など、傑作ホラーを生み出したプロデューサー、ブライアン・ユズナが発掘したスペイン人監督のジャウマ・バラゲロ。長編デビュー作映画『ネイムレス 無名恐怖』は、叙情的でありながら怪しげな映像の中にオカルトとナチスを絡ませたカルト教団の存在を描き、高く評価された。


 その後も映画『ダークネス』『機械じかけの小児病棟』と順調にホラー監督としてのキャリアを築いていくが、ビジュアルインパクトよりも、プロットやストーリーを重視するスタイルはかなり地味で古典的なスタイルであった。しかし、映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『クローバーフィールド/HAKAISHA』などで用いられたPOV演出(主観映像演出)で製作された映画『REC/レック』で、その評価は一転する!


 夜勤の消防士たちのドキュメンタリー取材のために、レポーターとカメラマンは消防士たちに同行し、古びたアパートでのレスキュー活動をカメラに収めようとするのだが……。謎のウイルスに感染し、凶暴なゾンビになっていく住人たちと、逃げ惑うレポーターの姿をとらえた映像は臨場感があり過ぎて超怖い! 少ない登場人物と隔離されたアパートという、ある意味密室という設定をうまく利用した、ジャウマ監督の新境地的傑作だ。ハリウッド・リメイク版は現在公開待ちである。

 

最近、プチブレイク。ジャウマ・バラゲロ監督
Pascal Le Segretain / Getty Images

アレックス・デ・ラ・イグレシア監督 『ビースト/獣の日

 スペインの巨匠、ペドロ・アルモドバル監督も認めるスペイン人監督、アレックス・デ・ラ・イグレシア。抑圧されたブサイク集団がテロを起こすアナーキーな映画『ハイル・ミュタンテ!/電撃XX作戦』で鮮烈なデビューを飾ったイグレシア監督が、満を持して放った長編第2弾が映画『ビースト/獣の日』だ。


 反キリスト誕生をかぎつけた司祭アンヘルが、自ら悪魔を召喚して反キリストが誕生する場所を探し出そうとするブラック・コメディー。アンヘルと行動を共にするのがヘビメタ・ショップ店主ホセ・マリアとエセ超能力者のカヴァン博士。前半はこの3人によるドタバタ悪魔召喚劇が展開されるのだが、クライマックスのストーリーは黙示録的世界観に変ぼうを遂げ、一級スリラーとして見ごたえたっぷり! 見事に張られた伏線とパワフルなバイオレンス・アクション描写に、イグレシア監督のただならぬ才能を感じることができる。


 その後も、映画『ワイルド・アット・ハート』の姉妹編的映画『ペルディータ』、互いを殺したいほど憎み合っている漫才師を描く映画『どつかれてアンダルシア(仮)』、1970年代に世界的ブームとなったイタリア映画のジャンルの一つ、マカロニ・ウエスタンへの思いをつづった映画『マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾』など独特かつ良質な作品を連発! 新作はイライジャ・ウッド主演の映画『ザ・オックスフォード・マーダーズ』(原題)だ。

 

イライジャ・ウッドに抱き付かれる、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督
Eduardo Parra / FilmMagic / Getty Images

ミヒャエル・ハネケ監督 『隠された記憶』

 ドイツ生まれのミヒャエル・ハネケ監督は、4年間ドイツの国営放送局でプロデューサーとして活躍した後、映画『セブンス・コンチネント』で長編デビューを飾る。この作品はドイツのテレビ局から放映拒否されたことで、劇場公開されたという経緯がある。オーストラリアへ移住を夢見る家族の悲劇の死を描いた内容なのだが、長回しや、説明されない登場人物たちの背景、明確に提示されない原因とあいまいな結末など、ハネケ監督独特の作風がすでに確立されている作品だ。タイトルは「第7の大陸」という意味で、地球上には6大陸までしか存在せず、作品のテーマを暗に物語っている点が素晴らしい。続く『ベニーズ・ビデオ』『71フラグメンツ』と合わせ、“感情の氷河化3部作”と呼ばれている。


 ハネケ監督の名を世界に知らしめたのは、後に自らハリウッドリメイクすることになる映画『ファニー・ゲーム』。とある家族のもとに卵をもらいにきた少年二人が、その家族を侮辱し、死に至らしめるという異色ドラマで、カンヌ国際映画祭上映の際は、ヴィム・ヴェンダース監督が途中退場したという逸話がある。ハネケ監督いわく、『ファニーゲーム』は暴力映画をエンターテインメントととらえるアメリカの観客のために製作した映画で、暴力に対して警鐘をならしているとのこと。「暴力で暴力を制する」とはこの映画を表すのにぴったりの言葉だろう。


 そして2005年。ジュリエット・ビノシュダニエル・オートゥイユといったフランスを代表する演技派を迎え、カンヌ映画祭で監督賞を受賞した作品が映画『隠された記憶』だ。夫婦のもとに送りつけられた、夫婦の家を監視するかのような映像の入ったビデオテープとグロテスクな絵。単なる陰湿な嫌がらせのように思えたが、その映像には夫ジョルジュの消し去りたい過去との共通点があった……。誰がビデオを撮ったのかという最大の謎を描かない異質なミステリー作品で、ロン・ハワード監督によるハリウッド・リメイクも決定している。

天才か、変態か。ミヒャエル・ハネケ監督
Rob Loud / Getty Images

アレクサンドル・アジャ監督 『ミラーズ』

 映画『ハイテンション』で、その名を世界中のホラー・ファンに知らしめたアレクサンドル・アジャ監督。イタリアが誇る特殊メークアップアーティストであるジャンネット・デ・ロッシを起用して描く残酷描写は、公開時に一部カットされるなど、そのビジュアル・インパクトは100点満点だ。その才能をハリウッドが放っておくわけがなく、ウェス・クレイヴン監督の映画『サランドラ』をリメイクした映画『ヒルズ・ハブ・アイズ』でハリウッドデビューを飾る。アメリカ公開初登場1位を記録しながらも、倫理的にOUTな描写の数々が原因で、日本公開が遅れに遅れた問題作でもある。


 アジャ監督が、現代に1980年代のスプラッター・ホラー映画をよみがえらせようとしているのは明らかで、サイコ警備員vs.巨乳美女の追いかけっこ映画『P2』をプロデュースするなど、イーライ・ロス監督、ロブ・ゾンビ監督同様に、ジャンル・ファンの喜ぶツボを心得ている監督の一人である。そんなアジャ監督が満を持して放つ新作が、韓国映画『Mirror 鏡の中』のリメイク版である『ミラーズ』だ。


 警備員のベン(キーファー・サザーランド)が、廃デパートにある大きな鏡の邪悪な力に翻弄(ほんろう)されながらも、鏡の脅威から愛する家族の命を守ろうとする作品。テレビドラマ「24 TWENTY FOUR」のジャック・バウアーで再ブレイクを果たした元青春スターであるキーファーが主演と製作総指揮を務め、ジャックとは180度違う元警官の落ちぶれた男を熱演している。はっきり言って、アジャ監督でなかったら本作は普通のスリラー作品になっていただろう。だが、アジャ監督の手にかかればスリラーテイストの前半から一転、後半は映画『バイオハザード』のようなモンスター・バトルへと変ぼうを遂げる。アジャ監督ならではの残酷描写も健在で、寒い冬にはもってこいの激アツ映画である。

ウェス・クレイヴン監督とアレクサンドル・アジャ監督
Michael Buckner / Getty Images

映画『ミラーズ』より
(C) 2008 TWENTIETH CENTURY FOX

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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