シネマトゥデイ

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10月20日(土)~10月28日(日)に第25回東京国際映画祭が開催される。注目されるコンペティション部門には、日本人監督から奥原浩志監督、松江哲明監督がノミネート。コンペティション部門に選出された全15作品から東京サクラグランプリを獲得するのはどの作品だ!?

In Competition コンペティション部門

『アクセッション-増殖』

『アクセッション-増殖』
© Mirror Mountain Pictures

制作国

南アフリカ

監督

マイケル・J・リックス

出演

ペトロ・テンバ・ムボレ、ヴズムズィ・ンドゥモ

ストーリー

あてもなくぶらぶらと過ごし、後先も考えずに女たちとセックスをするジョン。ある日、関係を持った女性の一人がHIVに感染していることが発覚。ジョンは、病気を治すには処女とセックスすればいいと聞き……。

ここに注目!

南アフリカ初の長編クレイアニメ『Tengers』が30を超える国際映画祭に招待され、高く評価されるマイケル・J・リックス監督が、製作、監督、脚本、撮影、編集を手掛けた問題作。HIVについての知識不足から起きた、実際の連続レイプ事件を題材にしている。10月10日からのロンドン映画祭、続いて本映画祭にて披露される予定で、世界に衝撃を持って受け止められることは確実だろう。

『天と地の間のどこか』
最優秀女優賞(ネスリハン・アタギュル)

『天と地の間のどこか』

制作国

トルコ、ドイツ

監督

イェシム・ウスタオウル

出演

ネスリハン・アタギュル、バルシュ・ハジュハン

ストーリー

ゼーラとオルグンは寂れた町のサービスエリアにあるカフェで働いている。退屈な仕事と頭の固い母親との暮らしから逃れる日を夢見るゼーラは、年上のトラック運転手マハールに夢中になり……。

ここに注目!

トルコの女性監督、イェシム・ウスタオウル監督が手掛ける本作の原題『アラフ(原題) / Araf』は、トルコ語で天国と地獄の間に位置する煉獄(れんごく)を意味する。田舎町に身も心もがんじがらめの、煉獄にいるかのような少女と少年を中心に物語は進む。ウスタオウル監督は、長編2作目『遥かなるクルディスタン』が第49回ベルリン国際映画祭でベストヨーロピアンフィルム賞と平和賞を受賞した実力派。登場人物の心を繊細にすくい上げる、その手腕に期待したい。

『ティモール島アタンブア39℃』

『ティモール島アタンブア39℃』
© MILES Films

制作国

インドネシア

監督

リリ・リザ

出演

グディーノ・ソアレス、ペトゥルス・ベイレト

ストーリー

1999年の東ティモール独立の混乱に乗じて、ジョアンは父とアタンブアに流入し、母や兄弟と離散してしまう。その後、父は酒に溺れ、バス運転手の仕事をクビになってしまった。そんなある日、ニキアという名の少女が祖父の葬儀のためアタンブアに帰ってくる。

ここに注目!

インドネシア映画を特集する東京国際映画祭アジアの風部門で、旧作の上映が行われるリリ・リザ監督。2008年にはブリュッセル国際インディペンデント映画祭で『永遠探しの3日間』が受賞するなど、国際的な舞台で精力的に活動している。本作は、アタンブアの東ティモール難民の実話に基づくものなのだとか。家族の物語であり、社会性の強い問題作でもあり、非常に見応えのある作品となりそうだ。

『黒い四角』

『黒い四角』

制作国

日本

監督

奥原浩志

出演

中泉英雄、丹紅

ストーリー

北京郊外の芸術家村。画家のチャオピンは上空に浮かぶ謎の黒い物体を追う。すると、見知らぬ男に遭遇。チャオピンが遠い過去の記憶をたどるうちに、妹リーホワも男の面影を追い始める。

ここに注目!

釜山国際映画祭グランプリを受賞したデビュー作『タイムレスメロディ』や、『青い車』『16[jyu-roku]』など青春映画のイメージの強い奥原浩志監督がメガホンを取ったシュールなラブストーリー。北京郊外や市内で撮影され、言語も北京語を使用。キャストやスタッフは中国と連携した。映像もストーリーもユニークな世界観が築かれている、奥原監督の大きなチャレンジを歓迎したい。

『風水』

『風水』

制作国

中国

監督

ワン・ジン

出演

イエン・ビンイエン、ジアオ・ガン

ストーリー

1990年代、中国湖北省の東部に位置する武漢市。40代の李保利ら一家は、憧れの高層アパートに入居した。李保利は市場で売り子をし、愛息の学費や生活資金を稼ぐために奔走する。

ここに注目!

主にスリラーを得意とするワン・ジン監督が臨んだ女性賛歌。湖北地方の地域特性が色濃く、湖北の方言を用いてつづられる人間ドラマが魅力だ。家族思いのヒロイン李保利だが、その頑固な性格が負に作用してしまうさまを、中国版アカデミー賞の金鶏百花奨を受賞した女優イエン・ビンイエンが体現している。

『フラッシュバックメモリーズ 3D』
観客賞

『フラッシュバックメモリーズ 3D』
© SPACE SHOWER NETWORKS.inc

制作国

日本

監督

松江哲明

出演

GOMA、辻コースケ

ストーリー

オーストラリアの民族楽器ディジュリドゥ奏者のGOMAは、首都高速で交通事故に遭い、記憶障害の後遺症があると診断される。彼の10年間の音楽活動、事故の再現アニメ、愛妻の日記を通してGOMAの今をカメラが追う。

ここに注目!

昨年は本映画祭の日本映画・ある視点部門に映画『トーキョードリフター』を正式出品した松江哲明監督による実録ドラマ。主人公が外傷性脳損傷のため体感するという、突然異なる映像が頭の中に現れるフラッシュバックをアニメーションで表現したり、記憶という時間経過を3Dで描写したりと創意工夫を凝らしている。スタジオライブの模様と過去映像も加え、その人物像に迫る。

『ハンナ・アーレント(原題) / Hannah Arendt』

『ハンナ・アーレント(原題) / Hannah Arendt』
© Heimatfilm

制作国

ドイツ

監督

マルガレーテ・フォン・トロッタ

出演

バルバラ・スコヴァ、アクセル・ミルベルク

ストーリー

舞台は1960年から1964年までのイスラエル、エルサレム。女流哲学者ハンナ・アーレントは、第2次世界大戦中にナチス・ドイツの親衛隊(SS)に属しホロコーストに関与したアドルフ・アイヒマンの裁判を基に、傍聴記事を書く。

ここに注目!

ドイツ出身で後に欧米に亡命したユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントの信念を描く歴史劇。フォン・トロッタ監督と主演女優のタッグは本作で6度目。監督自ら共同脚本も手掛け、実像に近い知性あふれるヒロイン作りを心掛けたという。そのためには配役も重要で「主演バルバラ・スコヴァなしでは完成しない」と断言。劇中に2度登場するヒロインのスピーチシーンが物語の要となっている。

『シージャック』

『シージャック』
© Nordisk Film 2012

制作国

デンマーク

監督

トビアス・リンホルム

出演

ヨハン・フィリップ・アスベック、ソーレン・マリン

ストーリー

貨物船MVローゼン号がインド洋沖でソマリアの海賊たちに襲われた。コックのMikkelとチーフエンジニアのJan以外の船の乗組員は全て人質に。船を所有するデンマークの海運会社のCEOは身代金をめぐる不毛な交渉を強いられる。

ここに注目!

『光のほうへ』などの脚本家として批評家やカンヌ国際映画祭でも注目されたトビアス・リンホルム監督。彼の長編第2作は、身代金目的の海賊と企業オーナーとの心理サスペンスだ。臨場感を出すために実際に洋上の貨物船で撮影を敢行し、海賊との交渉シーンも双方の距離を隔てて撮ることにこだわった。監督の実父が船員であったことが着想のもととなり、本作を制作するに至ったという。

『未熟な犯罪者』
審査員特別賞&最優秀男優賞(ソ・ヨンジュ)

『未熟な犯罪者』
© 2012 NATIONAL HUMAN RIGHTS COMMISSION OF KOREA & SOUTH PARK FILM All Rights Reserved.

ストーリー

何度も少年院で過ごしている16歳のジグには、この世で祖父だけが家族だった。しかし、その祖父が急逝。少年院の面会室に、幼い頃に死んだはずの母親ヒョスンが現れる。彼女は17歳でジグを出産後、育児放棄したのだった。

ここに注目!

高麗大学校社会学科出身の実力派監督カン・イグァンが、第二の『トガニ 幼き瞳の告発』と評される衝撃的な物語を映像化。13年ぶりに実母と再会した少年が冷酷な真実と向き合う物語。脚本とシングルマザー役に魅了された女優で歌手のイ・ジョンヒョンがノーギャラで出演したことが本国で話題に。先に出品されたトロント国際映画祭においても、彼女の演技は強烈なインパクトを残した。

『ニーナ』

『ニーナ』
© 2012 Magda Film, Paco Cinematografica

ストーリー

ニーナは夏休みだというのにどこにも行かず、ローマの外れで歌を教えたり、犬の世話をしたりして過ごしていた。

ここに注目!

1981年生まれのフレッシュな女性監督、エリザ・フクサスの長編デビュー作。監督の生まれ故郷でもあるローマで、夏休みを一人で過ごすヒロイン、ニーナを映し出す。ローマをスクーターで走るヒロインの姿は『ローマの休日』のようでかわいらしく、一方で大胆な構図など新人監督の遊び心が垣間見える。ダニエレ・ルケッティ監督『マイ・ブラザー』のヒロイン役で注目された、魅力あふれるディアーヌ・フレリの演技にも期待大。

『NO』

『NO』
© FABULA

制作国

チリ、アメリカ

監督

パブロ・ラライン

出演

ガエル・ガルシア・ベルナル、アルフレド・カストロ

ストーリー

1988年のチリ。ピノチェト大統領は強硬に任期を延長し、独裁政権の座に居座ろうとしていた。存続か否かは国民投票に委ねられることとなり、反対派は広告マンを使って民主主義と自由をチリ国民に訴えるキャンペーンを展開する。

ここに注目!

今年のカンヌ国際映画祭監督週間でC.I.C.A.E.賞を受賞し、アカデミー賞外国語映画賞チリ代表にも選ばれた注目の作品。チリのピノチェト独裁政権の裏で活躍する広告マンを、『バベル』のガエル・ガルシア・ベルナルが演じている。パブロ・ラライン監督は、同じくピノチェト独裁政権時代を描いた『ポスト・モーテム(原題) / Post Mortem』『トニー・マネロ(原題) / Tony Manero』でも国際映画祭の受賞歴があり、本作も間違いなく見応えある作品だろう。

『もうひとりの息子』
東京サクラグランプリ&最優秀監督賞(ロレーヌ・レヴィ)

『もうひとりの息子』
© Rapsodie Production - Cite Films

制作国

フランス

監督

ロレーヌ・レヴィ

出演

エマニュエル・ドゥヴォス、パスカル・エルベ

ストーリー

イスラエル人のジョゼフは兵役に就く直前、実は両親の子どもではなく、出生時にパレスチナ人の家族の息子ヤシーヌと取り違えられていたことを知る。突然の出来事にどちらの家族も混乱し、アイデンティティーや価値観、信念が揺らぎ始める。

ここに注目!

イスラエルとパレスチナという困難なテーマに取り組み、家族の姿を描き出す本作。舞台でも活躍する監督のロレーヌ・レヴィは、『The First Time I Turned Twenty』、自身の兄で人気作家のマルク・レヴィの小説を映画化した『London mon amour』に続く3作目となる。『キングス&クイーン』などの演技派女優エマニュエル・ドゥヴォスが主演を務め、完成度も折り紙付きだ。

『テセウスの船』
最優秀芸術貢献賞

『テセウスの船』
© 2012 Fortissimo Amsterdam

制作国

インド

監督

アーナンド・ガーンディー

出演

アイーダ・エル・カーシフ、ニーラジ・カビ

ストーリー

盲目の女流写真家は角膜移植を受けると、それまで大事にしていた直観的なひらめきを失うのではないかと感じていた。僧侶は製薬会社が行う動物実験に反対を表明し、ハンガーストライキに参加。しかし自らが病となり投薬治療が必要になる。

ここに注目!

監督のアーナンド・ガーンディーは、臓器移植をテーマにした哲学的な本ストーリーを病院で想起。タイトルはローマ帝国の著述家プルタルコスによるパラドックスを選んだ。インドのムンバイを主舞台に臓器移植を必要とする写真家、肝臓が弱った僧侶、腎臓を患う株式ブローカーを捉えた3編のオムニバス映画だ。この物語を通して、物事を真っすぐに見つめ、現実をありのまま理解することの大切さをうたっている。

『メイジーの知ったこと』

『メイジーの知ったこと』
© Red Crown Productions USA

ストーリー

少女メイジーは両親が離婚し、6歳にして結婚生活の悲劇を知る。大好きな乳母のマーゴットは父親の新居へ、母親はバーテンダーと再婚。何かあると大人は「あなたのため」と言うが、そのたびにメイジーは困惑する。

ここに注目!

ヘンリー・ジェイムズの同名小説を基に、物語の舞台を現代のニューヨークに翻案して『綴り字のシーズン』の監督コンビが映画化。離婚後の父親と母親の住まいに、裁判所命令で半年ずつ滞在するメイジー役のオナタ・アプリールは注目株の子役。彼女の魅力が発揮される、母親の再婚相手役アレキサンダー・スカルスガルドとのシーンは一見の価値あり。脚本の完成度に引かれ、豪華キャストがそろった。

『イエロー』

『イエロー』
© medient 2012

制作国

アメリカ

監督

ニック・カサヴェテス

出演

ヘザー・ウォールクィスト、シエナ・ミラー

ストーリー

小学校の代理教員メアリー・ホームズ。彼女の幻覚の世界でならば、ハリウッド・ミュージカルに革命を巻き起こした伝説的な演出家兼振付師バスビー・ バークレイのダンサーでも家畜でも共に等しくいられた。

ここに注目!

ドラッグ頼りのヒロインの独創的で刺激的な幻覚の中に潜入する物語。『きみに読む物語』『私の中のあなた』のニック・カサヴェテス監督が、本作の主演女優であるヘザー・ウォールクィストとの共同脚本によるオリジナル作品でコンペに参戦。祖母役は監督の実母で大女優のジーナ・ローランズが務めている。ヒロインが疎遠だった家族と向き合えたとき、彼女に変化が訪れる。

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