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今週のクローズアップ ピクサーのこだわり!『モンスターズ・ユニバーシティ』キャラクターの魅力

 12年ぶりの新作となる『モンスターズ・ユニバーシティ』は、『モンスターズ・インク』の「その後」ではなく「その前」を描いた物語です。

 大学を舞台にしているとあって、たくさんの新キャラクターが登場している本作。その数、実に300体以上! もちろん全てがメインキャラクターというわけではありませんが、ストーリーに絡んでくるキャラクターだけでも10体以上いるというから驚きです。

 今回はそんな本作ならではの新キャラクターに注目しちゃいます!

かわいい!新キャラクターたち

 本作の中で最も注目したいのが、マイク&サリーと共に「怖がらせ大会」優勝を目指す学生サークル「ウーズマ・カッパ」のメンバーたち。それぞれ「怖くないから」という理由で落ちこぼれてしまったメンバーだけに、その外見はキュートでバラエティーに富んでいます。

 日本人スタッフが持ってきたという餅をモチーフにして作られたのが「スクイシー」。見た目がふにゃふにゃしているのは、「まだ確固たる自分がない」という彼の状態を表しているのだそう。ダン・スカンロン監督は、スクイシーについて「どんな学校にも、まだ成長しきれていない若い生徒がいる。彼らは学校にいる間に、自分がどういう人間なのかを発見して、進化していくんだ」と語っています。

 一つの体に二つの頭があるのが、双生児のテリ&テリー・ペリー。「兄弟というのは、他の誰よりもイライラする」というコンセプトが基になっています。双子でありながら性格が正反対という設定を生かしたギャグも随所に盛り込まれています。

 社会人学生として入学してきた元セールスマンのドン・カールトン。そのため、ほかのキャラクターよりも年長であることを外見からもわかるように入念にデザインされました。おなかが出ているのですそがちょっと短くなっているのはそういう理由なのです。ちなみにモデルとなったのはドラゴンとタコ。口ひげはコウモリの翼をモチーフにしています。

 プロダクションデザイナーのリッキー・ニエルバさんさえ「どうしてこのデザインになったのかわからない」と明かしているのが、アート。そのせいなのかどうか、作中でもあまりその素性が語られることがないという不思議なモンスターです。大道芸やコントから、この形状を思い付いたとのことです。

ピクサー史上最も大変だった……“最恐”モンスターが誕生するまで

 本作でキャラクター・アニメーションディレクターを務めたジェイソン・ディーマーさんはピクサーで15年働き、『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『ウォーリー』を手掛けた大ベテランですが、その彼をして「デザインするのが最も難しいキャラクターだった」と言わしめたのが、本作でマイク&サリーに立ちはだかるディーン・ハードスクラブル学長です。

 ハードスクラブル学長は作中、モンスター史上最も恐いモンスター、伝説の怖がらせ屋として描かれます。当初は2年以上にわたって男性という設定だったハードスクラブル学長ですが、締め切りのわずか6週間前に女性にすることを思い付いたとのことでした。

 
男性バージョン   アイデアスケッチの数々…ニエルバさん(左)の迷走ぶりがうかがえます

 実は、前作『モンスターズ・インク』にも女性の怖がらせ屋は出てきませんでした。ダン・スカンロン監督は「そこで本作では、素晴らしい女性の怖がらせ屋を登場させることで、世界を広げることができると強く感じたわけです」と変更した理由を説明します。ただし、ギリギリの変更だったため、デザイナーたちは相当な苦労を強いられたとか……。

 そんな彼女のモチーフになっているのは、スコロペンドラ・ジャイガンティア(SCOLOPENDRA GIGANTEA)という巨大ムカデ。

 「僕たちがそれを見たとき、すごく気味悪く、みんなとても怖がった。でも、その足が動くと美しく優雅なんだ。そういういろんなことがうまくまとまり、彼女の美しいデザインが出来上がったんだよ。気味が悪く、エレガントなものがね」と明かしたのはニエルバさん。そのエレガントさを表現するためには、ココ・シャネルも参考にしたということです。


ハードスクラブル学長のデザインの参考にしたもの一覧

 ちなみにハードスクラブル学長や「ウーズマ・カッパ」のメンバーを含む、新キャラクターを全て生み出すまでには約2年半かかったとのこと。
 なぜ、そこまでキャラクターにこだわったのでしょう?
 実は、そこにこそピクサーの、本作最大のチャレンジがあったのです。

ピクサーならではの職人芸を堪能!

 「この作品はモンスター世界の大学が舞台だから、そこら中にモンスターがいる。それも一体一体姿形の違う、バラエティーに富んだモンスターが背景に描き込まれているんだ」というのはダン・スカンロン監督。前作『モンスターズ・インク』では全体で20体のキャラクターしかいなかったため、背景全てをキャラクターで埋め尽くすことができなかったといい、前作にも関わった本作のプロデューサー、コーリー・レイさんは「背景のキャラクターに関しては思い通りに作り上げることができなかったの。だから、今回はこの物語の世界をどうやったらモンスターで埋め尽くすことができるのか、たっぷり時間をかけて研究したわ」と明かします。

 そのため注意して見ると、どの場面にもメインキャラクターのほか、背景に多くのキャラクターが映り込んでいることがわかります。そのこだわり故、あまりにも多くのキャラクターのせいで、サリーやマイクといったキャラクターが埋もれてしまい、目立たせることに苦労したとか。

 そこまで苦労してでも表現したかったのは、大学ならではのゴッタ煮感。背景のキャラクターはストーリーに直接絡んでくるわけではありませんが、モンスターの世界を表現する上では欠かせないものです。「モンスターの世界」という架空の世界を舞台にしていても、その世界観をしっかり構築しているからこそ、ストーリーが生きてくるのでしょう。ディテール一つを取っても手を抜かない、まさにピクサーらしさが感じられる職人芸なのです。

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取材・文・構成:編集部 福田麗

(C) 2013 Disney / Pixar.All rights reserved.

映画『モンスターズ・ユニバーシティ』は7月6日より2D・3D同時公開

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