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『ギャラクシー街道』恋のあるある大特集:香取慎吾インタビュー

ドラマ、映画、舞台とあらゆるフィールドで三谷幸喜とコラボしてきた香取慎吾が、三谷初というSF作品『ギャラクシー街道』の主演に抜てき。香取が想像以上の刺激をもたらした本作について、また劇中で赤裸々に描かれる「男という生き物」について語った。

ホントの「元カノ」にバッサリ斬られたみたいだった

Q:男という生き物の情けなさを、しみじみ実感させられる映画でした。香取さん演じるノアは、元カノのレイ(優香)に再会して、妙な気を回しますよね。
男って、別れた彼女が自分のことを忘れられないんじゃないかと思ってしまうところがあると思うんです。それをバッサリ斬られて(笑)。この役を通して、僕もバッサリ斬られたような感じでした。優香ちゃんは、女優さんの中でも、僕の恋人役が多い方なんですよ。だから、意識としてホントに元カノのような感じがあって。その優香ちゃんに斬られる感じがたまらなかったです。映画だからと割り切っていたはずなんですけどね。それが「あんた、勘違いしてんじゃない?」なんて言われたら、たまんないですよ……(笑)。

Q:役の上でのこととはいえ、つらかった?
つらかったですね……。ただ、仕事っていいなと思いました。あの後のシーンで、職場(ノアが店長を務めるハンバーガーショップ)に戻らないといけないじゃないですか。一人になってワンワン泣いても、仕事に戻る。それで忘れられるというか(笑)。

Q:男は、よく仕事に逃げ込みます(笑)。そして、男ってああいう思い違いや空回りをしちゃうものなんですかね。
あの空回り具合の、三谷さんの演出がすごく楽しかったです。最初は、ノアが空回りしているということをあまり理解できていないままセリフを言っていたんですよね。そしたら監督が「違うんです、こうです」と。それで「あ、そういうことか!」と。空回っていれば空回っているほど、レイに斬られたときに、かっこ悪く、情けなさが出る。彼女のことを思って、ではなく自分本位の気持ちのほうが強かったんだと。素晴らしい演出だと思いました。

Q:奥さん・ノエ(綾瀬はるか)に対しても、ノアはカッコつけますよね。
ノエがいてこそ、この夫婦が成立しているのに、そんな彼女に対してさえ「オレが守ってやる」とか「オレがいなきゃ、こいつダメだな」と思っているノアは、超ダメなヤツだなと思って(笑)。しかも愛しているのに、素っ気なくしている……ダサいヤツですよ(笑)。でも、こういうカップルっていると思うんです。お互いがお互いのことを必要としているけど、どこかかみ合っていない。そこも含めてハタから見るとかわいらしいカップルだなあと思えました。それにしても綾瀬はるかちゃんはホントにステキな女優さんでしたね。ステキさが本物でした。男女関係なく、みんなが愛しちゃうような方でした。

思わぬ三谷の一面に香取もびっくり!

Q:香取さんは三谷監督とのお仕事が長いですよね。今年は本作のクランクアップの直後、草なぎ剛さんとの二人芝居「burst!~危険なふたり」に取り組まれ、映画、舞台と三谷監督とのコラボが続きました。俳優として、映画と舞台で演出家としての三谷さんに何か違いは感じますか。
どうだろうなあ……変わらないですかね。そう言われると、映画と舞台では違うところもあるかなとは思いますけど、でも、自分にとっては変わらないです。演出家としてのモードは変わらないですけど、作品として、舞台も映画もどんどん変化する人で、初めての部分がたくさん見られて楽しい監督です。今回の三谷幸喜は知らなかったですね。こんな一面があるんだ、と。

Q:思わぬ三谷作品に出会った気がします。
いやあ、びっくりしましたね~。こんなにセクシャル度を前面に出すとは! あえて避けてきたんでしょうね。だから(監督の中には)あったんですよ。

Q:セクシャルな要素がないわけじゃなかった。
ないわけじゃなかった(笑)。

Q:しかも、実は相当やりたかったのでは(笑)。
やりたかったんですよ!

Q:ということは、まだまだ秘めているものはあると。
ありますね。「宇宙人だらけのロマンティックコメディ!!」(映画のキャッチコピー)だけじゃないですもん(笑)。これだけ見て映画館に来ちゃダメですよ(笑)。ロマンティックだけじゃないですから。これも三谷ワールドなんですけど、ある意味、三谷さんが行き着いたところだと思うんです。宇宙が舞台になると、こうなるんだと。もう、行くところまで行っている感じが好きですね。

Q:三谷監督とのお仕事で心掛けていることはありますか。
これは三谷さんに限ったことではないんですけど、監督さんが思い描く通りに(自分が)なれたらいいなと思っています。特に三谷さんとのときを考えると、ニュートラルでいることですね。コメディだからこそ、大げさに、大きな声で、より表情を大きくとか、そういうことをしないようにしています。日常って結構楽しいことあるじゃないですか。会社でも学校でも。あの人だから、面白いよねって。そういうことの積み重ねが三谷作品というか。それがいままで何度かやらせていただいて思っていることです。

監督を信じ、任せるのが基本姿勢

Q:ノアはハンバーガーをキレイに食べるノエを見て結婚を決めました。
ノアほどじゃないですけど、僕もハンバーガーをキレイに食べる女の子は好きです。というのは自分がキレイに食べられるほうだと思っているんですよ。だけど、今回ノアがハンバーガーを食べるシーンがなくて。そのことを(撮影の)後半で三谷さんにボソッと言ったら、「そうですね!(シーンを)作りましょうか?」って。三谷さんって、緻密に作られる方だと思うんですけど、意外に俳優が言う意見をその場で入れたりするんですよね。「作りましょうか?」と言ったら、本当に作っちゃうんですよ。僕は「いやいや、監督が入れなかったんだから、それでいいじゃないですか」と言うと、「言われてみたら、なんで食べるところがなかったんだろう」とスタッフと相談し始めている(笑)。僕は、映画は監督が作るものと思っているので、止めましたけど。

Q:それは香取さんの基本姿勢ですか。
監督を信じる。監督に任せる。その思いは強くありますね。例えば衣装合わせで、ビジュアルを作るときから、一切(自分の意見は)言わないです。衣装合わせに行ったら、パンツ一枚になって、「はい、どうぞ」という状態。髪型もそうですね。

Q:その作品にふさわしい自分になることが香取さんにとっての俳優というお仕事?
僕はあくまでもキャストに選ばれた一人であって、素材でしかない。その僕に「色」をつけてくれるわけです。服も髪型もしゃべり方も声量も。監督がOKならOKだと思っています。

Q:では完成作品を観るのは楽しみですね。
撮影現場ではモニターのチェックもしません。つまりスクリーンで観たとき、ほぼ初めて自分のビジュアルを見るわけです。「え、こんな格好していたんだ」と。撮影中うまくいっているときって、その場で、その役として、生きていられる気がします。その姿を勝手にカメラで撮られているみたいな。だから、完成作を観たとき「わ、こんなふうに撮られている!」と思える。『ギャラクシー街道』もまさにそうでした。

取材後記

SMAPのコンサートの演出も手掛ける香取慎吾は、生粋のクリエイターだ。絵画をはじめとする作品づくりは広く知られるところだし、昨年発売された私服本や、今年発売されたブログ連載をまとめた本は、構成から装丁まで凝りまくっていて、彼がいかに「もの作り」を楽しんでいるかがよくわかる。香取はクリエイションの醍醐味(だいごみ)を知っているからこそ、演出家の意図を正しく理解し、また、監督の「素材」に徹することもできるだろう。冷静に三谷作品を語る姿に、彼の本質を見たような気がする。(取材・文:相田冬二)

映画『ギャラクシー街道』は10月24日より全国公開

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