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「日本は中国へ侵略した、正義の戦争なんてない、人殺しだ」外国人記者の意見に若松監督うなずく

第60回ベルリン国際映画祭

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映画『キャタピラー』主演の大西信満(左)と若松孝二監督(右)-第60回ベルリン国際映画祭にて
映画『キャタピラー』主演の大西信満(左)と若松孝二監督(右)-第60回ベルリン国際映画祭にて - Dominique Charriau / WireImage / Getty Images

 現地時間2月15日、第60回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に選出されている映画『キャタピラー』の記者会見が行われた。記者たちからの戦争をめぐっての問いに、若松孝二監督と主演の大西信満が真剣に答えた。

 本作では、四肢を失い、顔にも火傷を負って戦場から戻る久蔵(大西)と妻シゲ子(寺島しのぶ)の二人のシーンがほとんど全編を占める。村民から“軍神”として敬われる久蔵だが、食べて寝てセックスするだけになった夫の面倒を見るシゲ子は、表向きは“軍神”の妻らしく振舞いながら、夫をイモムシと呼んでしまうほどの鬱屈(うっくつ)も秘めている。
 
 四肢を失った主人公という設定は、映画化もされた『ジョニーは戦場へ行った』や江戸川乱歩の小説『芋虫』など、これまでにも登場してきたものだが、若松監督は「実は12日間で撮っているんですよ。『実録・連合赤軍あさま山荘への道程(みち)』でかかったお金がまだ穴埋めできていない。それでも、気持ちがさめないうちに作りたかった。戦争では、女性や子ども、普通の人々が一番の被害者だということを少ない予算で表すのに、こういう形になった」と内幕を明かし、「レバノンで死体の山を見た。戦争は人殺しだ、正義の戦争なんてない。広島、長崎では30万もの人が死んだ。日本は、それを忘れて、軍拡に向かっている」と訴えた。若い大西も「僕も、僕の親さえも戦争を知らないのですが、だからこそ勉強しなくてはと思います。本作では、特殊な人間ではなく、その当時の普通の人、国に忠義を尽くそうとした男を演じようと思いました」とコメントした。

 「日清戦争という言葉が使われるが、あれは戦争ではなく、日本の中国への一方的な侵略だ」というトルコの記者からの質問に「確かに侵略だった。戦争という言葉は間違いだった」と若松監督が答えるも、「映画中では日清戦争ではなく、日中戦争という言葉を使っている」と憤った口調で話し出す日本人記者も出たシリアスムードの会見となった。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

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