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津波が悪いのではない…自然との共存が常にテーマの河瀬直美監督、世界各国のプレスから東日本大震災について質問攻め

津波が悪いのではない…自然との共存が常にテーマの河瀬直美監督、世界各国のプレスから東日本大震災について質問攻め
(左から)大島葉子、河瀬直美、こみずとうた、明川哲也、小水たいが - Photo:Harumi Nakayama

 第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門作品『朱花(はねづ)の月』の公式会見で河瀬直美監督、出演者のこみずとうた、大島葉子、明川哲也、小水たいが会見に出席し、記者からの東日本大震災に関する質問が相次いだ。

 まず、同映画祭では今回、「頑張れ 日本!」のポスターを掲げて募金活動などの支援を行っていることに対し、河瀬監督は「わたしが代表して語るのはおこがましいけど、いろんな国の方々に支援していただいて感謝しています」と述べた。

 続いて、河瀬監督の作品はこれまで人間と自然の共存をテーマに描いてきたこともあり、「本作を通して、世界にどのような思いを伝えたいか?」という質問が出た。河瀬監督は「奈良に生まれたことも影響していると思いますが、わたしの作品は自然を中心に描いています。ですが人間は自然を破壊したり、閉じ込めたりして発展して、そのすべてを支配しているかのように生きてきました。そんな中で津波が大災害を起こした。それは、まるで悪魔のように思われてますが、自然は悪くない。むしろわたしたちは、その自然の脅威の中で生きていることを認識しなければならないし、だからこそこの命を大切にしなればならないと思います。人間は時に孤独に陥りますが、そんな時でも自然の中にいれば大きなものに守られているという安心感がある。だからわたしたちは昔から、昔から自然に祈りを捧げてきたんです。でも、そういう気持ちを私たち日本人は忘れてしまったのでは? と思うんです。今回の作品も自然との共存を描いていますが、この自然は過去からつながっていて、そしてこの先の未来のためにも、大切にしなければならないと思っています」と持論を展開した。

 また今回は、4年前のカンヌで審査員特別グランプリを受賞した『殯(もがり)の森』に続き、奈良でカレー店を営むこみずと、作家・ミュージシャンの明川という演技未経験者をメーンキャストに起用している。明川は最初、河瀬監督の出演依頼を断ったそうだが、出演するに至った経緯について「もちろん、日本が生んだ天才と時間を共有できればと思ったが、これまで映画に関係ない人生を歩んできたので、俳優なんて務まるはずがないと断ったんです。でもその後、お酒を一緒に飲んじゃった。すると、どんどん河瀬さんの瞳や、雰囲気に引き込まれてしまって、奈良の雲や雨、稲妻なんかと一緒に河瀬さんが(自分のもとへ)降りてきたという感じで仕事をさせて頂くことになりました」と独特の河瀬ワールドに魅了されてしまったことを告白。続いて、「奈良で撮影しているときに雨が降ってきて、虹を見ました。それがすごいきれいだった。そして今回、ニース空港に到着した時にも虹を見たんです。あのときの虹のはじっこは、ここにつながっていたんだなと思いました」と語りだすと、河瀬監督が思わず関西弁で「詩人やなぁ~」とツッコむ一幕もあった。

 その明川は劇中で見事な料理の腕前を披露しているのだが、ここカンヌでもアパート暮らしの河瀬監督たちの胃袋を満たしているようで、河瀬監督は「カンヌに入って時差もあり、人も多くてご飯を食べるにもストレスとなる中、哲也さんの料理で満たされています」とか。その言葉に気を良くしたのか、明川は会場にいる約100人の記者たちに向かって「何か食べたいものがありましたら、ぜひ僕たちのアパートに来て下さい」と呼びかけて会見を盛り上げていた。(取材・文:中山治美)


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