福地桃子＆河瀬直美が最優秀女優賞！『恒星の向こう側』親子役でダブル受賞
第38回東京国際映画祭
第38回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが5日、TOHOシネマズ日比谷にて行われ、映画『恒星の向こう側』の福地桃子と河瀬直美が、最優秀女優賞をダブル受賞した。最高賞にあたる「東京グランプリ／東京都知事賞」にはアンマリー・ジャシル監督の『パレスチナ36』、観客賞には岩田剛典（三代目 J SOUL BROTHERS）が主演した『金髪』が選ばれた。
母の余命を知り故郷に戻る娘・未知を演じた福地は「1年前のこの季節に撮影し、主人公の道を見つめ、追いかけ、溶け合っていくような時間は一人で乗り越えられるような時間ではありませんでした。中川監督はじめ、大変な撮影の中、理解を深めてくださったチームの一人一人、母である河瀬さんなど、本当に多くの人に支えられ、（ヒロインの）内面を引き出してもらえた瞬間がたくさんありました」と感謝の気持ちを述べ、「この先、自分がどんなふうに歳を重ね、どんな役者になるかはわかりませんが、この経験を糧に1つ1つの作品に真っすぐ向き合い、頑張っていきます」と受賞の喜びを語った。
未知と衝突する母・可那子役の河瀬も「監督として映画祭に参加したことはあっても、俳優としてこの映画に立たせてもらったことは、中川監督がこういう場を設けてくださったことに尽きます」とメガホンを取った中川龍太郎監督に感謝しきり。「自分自身の全てを出し切れたと思います。難しい役でしたけれど、娘役の福地さんにはカットがかかっても冷たい態度をとっていて、嫌われたかなと……。最後の最後で彼女の優しさを感じた瞬間に涙が出ました。人はその温かみを感じられた時に生きていてよかったと思える、そういう生き物なんだと思いました」と撮影を感慨深げに回顧。観客賞を受賞した『金髪』の坂下雄一郎監督も、トロフィーを受け取ると「観客の皆さんから広く受け入れられたことを光栄に思います」と笑顔を見せて受賞を喜んだ。
「東京グランプリ／東京都知事賞」の『パレスチナ36』は、1936年の英国委任統治下のパレスチナを舞台とした作品で、アラブ人がユダヤ人入植者や英国の支配に反発した民族主義的反乱を描く歴史ドラマ。ジャシル監督はビデオメッセージを通じて「作品を評価してくださって感謝しています。素晴らしい知らせをいただきました。この作品、この受賞は全ての人に大きな意味を持つことだと思います。本当に素晴らしいことです。サンキュー、サンキュー、ありがとう」と喜びを伝えた。
今年の東京国際映画祭は、10月27日から11月5日までの10日間にわたって日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催され、全184作が上映された。コンペティション部門は108の国と地域から応募された1,970本の中から、『金髪』『恒星の向こう側』を含む15作品が出品された。審査委員長はカルロ・シャトリアン、審査員を俳優のグイ・ルンメイ、齊藤工、編集者マチュー・ラクロー、監督のヴィヴィアン・チュウが務めた。
小池百合子東京都知事は「東京グランプリ／東京都知事賞」のプレゼンターとして登壇し、「第38回東京国際映画祭が盛大に開かれていることを大変嬉しく思います。都民を代表して皆さんを歓迎したいです。映画は文化の壁を越えることが出来ます。東京から発信される映画の魅力が多くの人に届き、創造性と多様性に満ちた文化の祭典として今後も発展することを期待しています」と話していた。（取材・文：名鹿祥史）
第38回東京国際映画祭コンペティション部門受賞結果
東京グランプリ／東京都知事賞：『パレスチナ36』（アンマリー・ジャシル監督／パレスチナ、イギリス、フランス、デンマーク）
審査員特別賞：『私たちは森の果実』（リティ・パニュ監督／カンボジア、フランス）
最優秀監督賞：アレッシオ・リゴ・デ・リーギ監督、マッテオ・ゾッピス監督『裏か表か？』（イタリア、アメリカ）
チャン・リュル監督『春の木』（中国）
最優秀女優賞：福地桃子、河瀬直美『恒星の向こう側』（日本）
最優秀男優賞：ワン・チュアンジュン『春の木』（中国）
最優秀芸術貢献賞：『マザー』（テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督／ベルギー、北マケドニア）
観客賞：『金髪』（坂下雄一郎監督／日本）
「アジアの未来」作品賞：『光輪』（ノ・ヨンワン監督／韓国）
アジア学生映画コンファレス作品賞：『フローティング』（イ・ジユン監督）
アジア学生映画コンファレス審査員賞：『永遠とその1日』（チェン・リーシュエン監督）
『エンジン再始動』（チョン・ヘイン監督）