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サンセバスチャン国際映画祭で高評価の映画『エンディングノート』の砂田監督「“生”へのエネルギーを共感して」

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本作のプロデューサーを務めた是枝裕和、初メガホンの砂田麻美監督
本作のプロデューサーを務めた是枝裕和、初メガホンの砂田麻美監督

 1日、新宿ピカデリーにて、第59回サンセバスチャン国際映画祭で新人監督部門にノミネートされた映画『エンディングノート』の初日舞台あいさつが行われ、砂田麻美監督、本作でプロデューサーを務めた是枝裕和監督が登壇。実父の死をテーマにしたドキュメンタリー作品への秘めた思いを強いまなざしで語った。

映画『エンディングノート』場面写真

 初監督作品で「実父の死」という重いテーマに正面から向き合いつつも、軽快なタッチで描ききった砂田監督。先日行われたサンセバスチャン国際映画祭では、現地の女性から「死に迫った家族にカメラを向けることじゃなく、ほかにすべきことがあったのでは?」と批判されるという出来事もあった。観る人にさまざまな感情を湧き上がらせる作品を生み出したきっかけを「父親が亡くなった喪失感がすごくて……。もとの自分に戻りたいと思ったとき、その方法が、わたしは編集作業でした」と語る。砂田監督自身、家族にカメラを回したのは中学校3年生ぐらいからだと言う。「いつも撮り続けていたというわけではなく、どうしても撮っておきたいと思ったときだけ(カメラを)回していました」。その記録映像を編集することが、父を亡くした喪失感からの回復だったのだ。だから「まさかこうやって劇場公開されるなんて、最初は考えていませんでした」と本音を明かす。

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 ただ「父と娘の話だけには終わらせたくないという気持ちはありました。人間のいろんな感情を普遍的な物語として表現したいという気持ちがあったので……」と砂田監督は胸のうちを語ると、本作でプロデューサーを務めた是枝は「父と娘の関係で完結していたら、自分は参加しなかった。しっかりエンタメとして成立していたので、これは公開したほうがいいかなと思ったんです」と追随する。
 
 また「非常に粘り強く、こだわりを持っていて、監督として骨がしっかりしていて太い」と是枝プロデューサーが砂田監督を評価すると「プロデューサーというより、具体的な相談ができるコーチ的な存在でした」と彼女が監督助手として是枝に従事していたという師弟の間柄を強調していた。

 最後に「これは死を段取る人物の話だと思われるかもしれませんが、わたしは限られた“生”へのエネルギーを表現しているつもりなので、その部分に共感してもらえたらうれしいです」と作品に込められたメッセージを強いまなざしで語っていた。

 本作は、仕事に心血を注いで定年を迎えた熱血サラリーマンが、第二の人生を歩み始めた矢先、ステージ4のガンを宣告され、残された人生を家族と共に過ごすべく“エンディングノートを”作成し実行していこうとする姿を、監督自身のナレーションを交えユーモアたっぷりに描いたドキュメンタリー作品。(磯部正和)

映画『エンディングノート』は新宿ピカデリーほか全国公開中

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