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『チェイサー』のナ・ホンジン監督、最新作『哀しき獣』は「外国人労働者全ての人たちに通じる物語」【第24回東京国際映画祭】

『チェイサー』のナ・ホンジン監督、最新作『哀しき獣』は「外国人労働者全ての人たちに通じる物語」
本当は『チェイサー』で朝鮮族の物語を取り入れるはずだったと明かしたナ・ホンジン監督

 26日、現在開催中の第24回東京国際映画祭でアジアの風部門に出品されている映画『哀しき獣』の鬼才ナ・ホンジン監督によるティーチインが東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ行われ、予定されていた時間を大きく越えて、バイオレンスに込めた思いや作品のルーツについて熱く語った。

 終始和やかなムードで行われたティーチイン。時折冗談も飛ばして会場からは笑い声も起こったが、前作『チェイサー』に続き暴力性の強い作品となっている理由を聞かれると「あえて取り入れて見せるやり方に意味があると思うんです」とバイオレンスへのこだわりを告白。「現実の中には明らかに存在しているけど、認めたくないものがある。認めたくはないけど、存在している以上はなくらない。なくならない以上は認めたくなくてもあるんです」と避けるのではなく、あえて暴力を描く理由を明かした。

 また、韓国から来ている留学生の女性からは「なぜ朝鮮族の人物を描いているのですか?」というデリケートな質問も飛んだ。これに対してナ・ホンジン監督は元々『チェイサー』で取り入れるはずだったと明かし、「当時、朝鮮族の人たちが殺し屋に雇われたり、暴力事件が多発していたことから、興味を持ちました」と理由を述懐。取材を重ねて朝鮮族が居住している延辺へも行ったというナ・ホンジン監督は「まるで主のいない廃墟になった家のようだ」と当時の心境を振り返った。「みんな出稼ぎなどで出て行ってしまって、残っているのが老人と子どもだけで、家庭や社会そのものが破たんしているのを見て胸が痛くなりました」と衝撃を受けたという。そして、「この作品は外国人労働者全ての人たちにいえる物語です。故郷があるにもかかわらず働きに出て、どんなふうに生きて、どんな苦労をして、傷ついて、涙を流したのか。そしてどんな思いで故郷に帰って行くのか、そういう過程を描こうと思った」と胸の内を明かし、バイオレンスだけではなく外国人労働者の苦労や姿を描いた作品でもあると力強く語った。

 『哀しき獣』は、『チェイサー』で韓国映画賞を総なめしたナ・ホンジン監督が放つ衝撃のノワール・スリラー。延辺朝鮮族自治州で借金返済と引き換えに殺人をもちかけられた男が直面する、想像を超える闇を描く。すでにハリウッドがリメイク権を手にしている注目作で、通常のおよそ2倍の300日間を費やした撮影から生み出されたしびれるバイオレンスシーンも要チェックだ。(取材・文:中村好伸)

映画『哀しき獣』は2012年1月7日よりシネマート新宿ほか全国公開
第24回東京国際映画祭は30日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内の各劇場などで開催中


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