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金子修介監督、新作映画から「放射能」「東京電力」という言葉が排除され、「犬映画」にされた悔しさを語る!

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苦悩を語る金子修介監督
苦悩を語る金子修介監督

 金子修介監督が東日本大震災を笑いで吹き飛ばそうと製作したコメディー『青いソラ白い雲』が東京・新宿のK's cinemaで公開中だ。この程インタビューに応じた金子監督は、製作から宣伝まで「放射能」や「東京電力」と言った言葉が“自主規制“という名の下、ことごとく排除されていった苦悩を語った。

映画『青いソラ白い雲』場面写真

 映画は、東日本大震災の影響で父親の旅行会社が経営破綻したばかりにセレブからどん底生活を送るハメになったお嬢様(森星)の成長物語だ。当初は、女の子と犬が登場する企画を依頼された金子監督だったが、3.11後の日本の変ぼうぶりをそのまま映画で切り取ろうと、犬を被災犬という設定に変えた。そこから物語が膨らんでいったという。

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 金子監督は「日活時代の先輩・藤田敏八監督が、そうやって時代の空気を作品に取り込んでいくのを見てきたからその手法を取り入れたいと思った。実際に撮影を行った昨年6月には、町中の至るところに“支えあう日本“と書かれたポスターが貼られていたので、それを自然に映すことが出来た」と製作意図を語る。

 そして完成した作品は「人生変わったからね、震災で」と嘆く友人に「なんでも震災のせいにしてない?」とツッコんだり、「こんな放射能だらけの国から逃げ出したいわ」といったボヤいてみたり、日本人の本音を凝縮したようなセリフが散りばめられている。

 だがこの異色コメディーを扱うメディアは少なく、宣伝担当者は苦肉の策で犬映画として売りだそうとした。せっかく出演したラジオ番組でも金子監督が「地震と放射能で大変で…」と語ったところ、オンエアーでは「放射能」が削られていたことも。加えて劇中の「皆、ウソばっかり。政府や東京電力と同じじゃない」というセリフは、監督自身が熟考した結果、完成後に「東京電力」という固有名詞を外すことにした。金子監督は「自主規制する人たちを批判しつつ、僕自身も自主規制せざるを得ない部分もあった。苦しかったし、情けなかった」と顔をしかめた。

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 しかし、作品に込めた思いは変わらない。タイトルは植木等の名曲「だまって俺について来い」の歌詞から取っているが、その歌が本作の支えとなっている。金子監督は「今の日本は東日本大震災という言葉を発しただけでその場の空気が重くなるけど、そのマイナスな感情をそろそろプラスにしていかなきゃいけないと思う。そこで植木のこの曲ですよ。今の日本人の心を鼓舞してくれると信じています」と力強く語った。(取材・文:中山治美)

映画『青いソラ白い雲』は東京・新宿K’s cinemaで公開中
21日には金子監督と細野辰興監督のトークショーが行われる予定

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