中山忍、姉・中山美穂さん思い涙ぐむ “一緒の登壇”導いた『ガメラ』に感謝

女優の中山忍が22日、丸の内ピカデリードルビーシネマで行われた『ガメラ 大怪獣空中決戦』4K HDR ドルビーシネマ 復活上映記念舞台あいさつに、金子修介監督と共に出席。姉・中山美穂さんと最初で最後となった“一緒の登壇”への思いを語り、涙ぐむが一幕があった。
ガメラ生誕60周年を記念して、ガメラの新たな魅力の発見をスローガンにプロジェクトを発足。その企画の一つとして、平成ガメラ3部作の記念すべき第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』が、21日から4K HDRドルビーシネマで復活上映されている。
中山は本作で鳥類学者の長峰真弓を演じ、第19回日本アカデミー賞優秀助演女優賞をはじめ数々の映画賞に輝いた。第38回ブルーリボン賞では、金子監督が監督賞、中山が助演女優賞を受賞したが、そのときの主演女優賞が、映画『Love Letter』に出演していた姉の美穂さんだった。
中山は「私がデビューしたときから、姉妹共演というのが夢だったのですが、結果的にそれは叶わなかったんです」と静かに語り出すと「同じ公の場で、姉妹で揃って登壇したのは、ブルーリボン賞が最初で最後になってしまったんです。あの当時、女優として頑張っていけるのか……という迷いがあった時期で、芸能界に入って初めていただいた賞が助演女優賞でした。そのことにとても勇気をもらえたんです。いま振り返ってみると、助演女優賞をいただける映画に出会えたこと、姉と共に晴れやかな場に立てたこと、『ガメラ』という作品に出会えたこと、長峰という役に出会えたこと、姉と共に舞台に立てたこと、30年の時を経て、改めてお礼を言いたいです」と語り、目に涙を浮かべていた。
そんな運命ともいえる役だったが、オファーではなくオーディションで勝ち取ったものだった。中山は「オーディションも、私のマネージャーが、当時の大映さんに足繁く通って『中山忍という人間がいます。オーディションを受けさせてください』と頑張ってお願いして受けることができたんです。そして長峰という役がすごく格好良く感じ、いままで自分が演じたことがないキャラクターだったので、どうしてもやりたいという思いをオーディションにぶつけたんです」と秘話を明かす。
強い思いで掴んだ長峰役。しかし、撮影初日からかなりハードな内容だったという。中山は「初日が姫神島での撮影で。上司の平田先生がペリットという形で発見され、そこに躊躇なく手を入れるというシーンでした。いまだから言えますが、じゃっかん気持ち悪くて……。演出部の皆さんがいい感じでフナムシを集めてくれて。長峰としては当たり前に手を入れるのですが、中山忍としては『あー気持ち悪い』と思いながらやっていました」と懐かしいシーンの裏話に会場が湧く。
さらに中山は「好きな怪獣」というトークに「私は鳥類学者という立場なので、ギャオスに一番愛着があるのですが、あえて昭和ガメラから選びますと、ギロンが好きなんです」と発言すると、会場からは歓声が。その理由について「あの刃物の形で、割とスパスパといろいろなものを切っていくなかで、ガメラと戦うときは、なぜか岩に刺さってしまって動けなくなるというところが、とても愛おしくて好きなんです」とマニアックな回答で客席を沸かせていた。
最後に中山は、5年前のイベントで「令和版ガメラ」をぜひやりたいと懇願したことに触れ「いい加減にしてください! いつまでこの状態でいるんですか」といまだに“令和版ガメラ”が世に出ていないことを嘆く。続けて中山は「今日はKADOKAWAの方もたくさんいらっしゃっていますよね。私の声というより、多くのガメラファンの代表として言います。『令和ガメラ』が観たい!」と声を張る。すると会場一体となって「令和ガメラ観たい!」コールが巻き起こり、大きな盛り上がりを見せていた。(磯部正和)


