相馬 学

相馬 学

略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。

相馬 学 さんの映画短評

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  •  「ウマ娘」はプレイしたことはないが、ゲーム画像は見たことがある。興味を引かれたのは筆者が競馬好きだから。

     その視点で観ると、本作が中央競馬の2001年の盛り上がりを再現していて嬉しくなった。TVアニメ版も、その時代、時代の頂上決戦、すなわちG1レースを再現しているが、それに則っているという点ではウマ娘ファンの期待を裏切らない。

     この手のアニメーションでは、煽情的な描写の無駄な挿入によってゲンナリさせられることがあるが、本作にはそれがない。見えない壁にぶち当たったウマ娘が、それを突破する爽快さ。青春ドラマとしても、よくできている。

  • ボブ・マーリー:ONE LOVE
    リデンプション=贖罪とともに生きる
    ★★★★

     レゲエの伝説マーリーの36年の人生のうち、1976~78年の2年間にスポットを当て、その精神や人間像を浮き彫りに。

     ラスタファリを信奉し、自然体で生きるマーリー像は尊敬すべきものがあるが、一方で妻との口論を織り込み、弱さも描きこむ。聖人としてのマーリーに偏ることなく、人間マーリーを見据えている点がいい。

     “贖罪が本作のテーマ”と監督は語るが、しばし挿入される、炎から逃げる少年と馬上の男のイメージがそれを象徴しているかのようで興味深い。「リデンプション・ソング」を歌う場面には、思わずグッときてしまった。

  • ジョン・レノン 失われた週末
    歴史修正に揉み消された(?)哀切な恋の物語
    ★★★★★

     ジョンがヨーコと別居していた時期にスポットを当て、彼ら夫妻の個人秘書だったメイ・パンの視点でこの時期を検証。

     一般的にはジョンの荒れていた時代とされているが、それだけではなくクリエイティブな産物、たとえばエルトン・ジョンやニルソンとの共作など、実り多き時代であったことがよくわかる。

     何より、ジョンとメイの恋愛関係の行方は本作を牽引する大きな要素。我々観客はジョンとヨーコがこの時期を経てヨリを戻すことを知っている。ならばメイとの破局はどのように訪れたのか? これは若い女性の喪失感を見据えた哀切なラブストーリーでもある。

  • シド・バレット 独りぼっちの狂気
    悲劇の奇人に終わらせない、伝説のアップデート
    ★★★★

     ピンク・フロイド結成時の中心人物ながら一枚のアルバムを残してバンドを去ったシド・バレットは謎の多いアーティストだが、その謎を探る試みとして興味深い。

     彼を知る人々の証言が豊富で、それらの食い違いをそのまま並べて多角度検証しているのが面白い。初期フロイドのライブを収めた『TONITE! LET'S ALL MAKE LOVE IN LONDON』のP・ホワイトヘッド監督が当時を語るのも貴重。

     シドが何を考えていたのかは、これまでの書籍や映像作品で提示されたものと同様、よくわからない。それでも証言によりしっかり外堀を埋め、非ウェットな人生物語に仕立てたことに本作の意義が見える。

  • 猿の惑星/キングダム
    代が変われば腐敗も進む!?
    ★★★★

     2010年代の『猿の惑星』トリロジーはサルの指導者シーザーの戦いと成長の物語だったが、この新作は数世代後のドラマ。代が変わるほど腐敗が進むのはサルの国も同様のようだ。

     サルの国が完全に地上を支配し、退化の進んだ人間は迫害されるという社会の構図。人間だけでは飽き足らず、独裁者はサルの世界にもヒエラルキーを築き、下々の者を虐待する。現代の人間社会の擬人化(擬猿化!?)というべきか。

     純真なサル、ノアを主人公に据え、世界の汚れた現実を見据えるつくりはもちろん、人間という生き物の不信をも視野に入れている点が面白い。ノアと、人間の少女ノヴァの関係はこの後どう変化するのか? 次が見たくなる。

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