シネマトゥデイ

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映画短評

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  • ゼニガタ
    荒々しさの中にも豊かな人情味を漂わせた闇金ムービー
    ★★★★

     表向きは居酒屋の看板を掲げた地方都市の闇金業者を主人公に、金を巡って入り乱れる欲望の群像ドラマを通して、疲弊し衰退する日本の田舎の底辺を炙り出していく。セックスとバイオレンス満載のハードな描写を含め、『ナニワ金融道』や『闇金ウシジマくん』の系譜に連なる作品と言えるだろう。
     とはいえ、その視点はあくまでも閉鎖的な地域社会で行き場を失った弱者側に寄り添っており、立ち振る舞いから優しさの滲み出る主演俳優・大谷良平の個性とも相まって、荒々しさの中にも豊かな人情味を漂わせた作品に仕上がっている。ウシジマくんの後味の悪さが苦手…という人にもおススメ。

  • 犬ヶ島
    日本文化への愛と日本社会への警鐘が同時に感じられる
    ★★★★★

     江戸・明治・大正・昭和が混在する摩訶不思議な近未来ニッポン。確かに独特の合わせ技は奇抜だが、しかし一つ一つのパーツを見ていくとウェス・アンダーソン監督が日本文化を極めて正確に熟知していることが分かる。オモチャ箱をひっくり返したような賑やかさも楽しい。視覚の情報量が多いため目で追うのもやっとだが、それゆえ繰り返し見るたびに新しい発見があるはずだ。
     大衆を巧妙に欺き権力を私物化する独裁者に少年と犬たちが反旗を翻す物語には、フランク・キャプラの昔から変わらぬアメリカ映画の良心とトランプ時代への風刺が感じられる。それは、現代日本社会の全体主義的な戦前回帰の風潮に対する警鐘とも受け取れるだろう。

  • ファントム・スレッド
    見えない糸で結ばれた男女の、支配と依存が反転する歪んだ愛
    ★★★★★

     導入は、ドレス作りに取りつかれた狂気のデザイナーによって見出される、凡庸な女性がミューズへと変わりゆくシンデレラストーリー。50年代英国オートクチュールの端正な美術と華麗な衣装ばかりに眼を奪われていてはならない。全てを統制したい男と従属に甘んじていた女の関係が、次第に変容していくプロセスこそが神髄だ。独善的な男に対し、非力な女は“毒を以て(盛って)毒を制す”。支配と依存が反転するスリルと快楽。優しさや慈しみや思いやりだけが愛の形ではないことを、2人を結び付ける“見えない糸”が教えてくれる。「歪んだ愛」と呼ばば呼べ。たとえ屈折していようとも、互いに求め合う強度に魅了され、愛の多様性を実感する。

  • 50回目のファーストキス
    リメイクとしても、福田雄一監督作としても大成功!
    ★★★★

    主人公2人ら、オリジナルが醸し出すキャラクターの愛おしさを、日本人キャストで再現できた時点で大成功! 主人公が天文学の研究者という脚色もロマンスを盛り上げるなど、福田雄一監督には今後、“海外コメディのリメイク路線”も極めてほしいと思わせる一作となった。しかも、福田作品の常連・ムロツヨシ&佐藤二朗に至っては、オリジナルの世界観を壊さない程度に、自身のフィールドにも持って行くのだから天晴。唯一惜しむべきは、『月とキャベツ』『秒速5センチメートル』に続く、“「One more time, One more chance」映画”でありながら、オトナの事情からか、平井堅の主題歌が流れてしまうことだ。

  • OVER DRIVE
    真剣佑マジックに酔え!
    ★★★★★

    哀川翔の『SS/エスエス』など、これまでもラリーを扱った日本映画はあったが、羽住英一郎監督作だけに、ザッツ・ハリウッドなアプローチ。ドローンを活用したダイナミックな撮影に、兄弟やライバル、相変わらずミスキャストな森川葵演じるヒロインなどのキャラ、強引に感動へ持っていく展開など、ベタの応酬だ。とはいえ、『パシリム2』では残念な結果に終わった新田真剣佑主演作として観ると、見え方が変わってくる。日本人がやると、様にならない何気ない仕草やポージングを決めまくり、スターオーラが出まくっているのだ。そんな真剣佑マジックは、吉田鋼太郎ら、あの『ワイルド7』のキャストが放つ負のオーラが消えてしまうほど!

  • ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
    「スター・ウォーズ」世代であることの幸せを感じる
    ★★★★★

    「スター・ウォーズ」シリーズをリアルタイムで観続けて来られたことの幸せがわきあがってくる1本。ハン・ソロの始まりの物語が丁寧に描かれ、こんなに長い間ハン・ソロを知っていたのに、こんなことも知らなかったんだ! と目からウロコな場面にたびたび遭遇する。チューバッカとの出会い、ミレニアム・ファルコン号との出会い、そしてハン・ソロの名前の由来まで、人間ドラマの名手ロン・ハワード監督だけにそれぞれに説得力のあるドラマがあり構成は超一流。若きハン・ソロ役のオールデン・エアエンライクはハリソン・フォード演じるハン・ソロと銃の構え方までそっくりなオーバラップ度100%で完成度の高さは文句なし。

  • 私はあなたのニグロではない
    『マルクス・エンゲルス 』と合わせて鑑賞したい
    ★★★★★

    監督は『マルクス・エンゲルス』のハイチ出身ラウル・ペック。共産党宣言の彼らを描いた後に黒人差別問題?と思ったが、確かに両作は繋がっていた。
    同作のエンディングではボブ・デュランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」の曲と共に20世紀に起こった暴動やテロ事件などの映像が流れる。
    若きマルクスらが目指した平等な社会という理想が砕けていくようで、泣けて仕方がなかった。その中には、本作に繋がる公民権運動の映像も。
    本作は黒人差別史だけでなく、2作を通して広く差別や偏見が生まれる背景と、悲しくも育んでしまっている社会の構造をも読み解こうとする。
    それを提示された我々はもう無自覚ではいられなくなるだろう。

  • レディ・バード
    ミュージカルの隠れた名作、その引用も完璧
    ★★★★

    一定の年齢に達し、十代の自分を振り返ると、小っ恥ずかしい思い出の宝庫と化している。これは、そんな記憶のスイッチを入れる作品で、主人公と自分に境遇や性格、ジェンダーの違いがあっても、そこかしこに共感の入口が提供される作り。魅力は、これに尽きる。

    主人公たちが演じる「メリリー・ウィ・ロール・アロング」は、ミュージカル界の至宝、ソンドハイムの隠れた名作で、改めてメロディの美しさとダイナミズムに魅了されるが、挫折や成功を味わった友人たちが、過去の青春時代へさかのぼる同作の展開は、『レディ・バード』で観客が味わう感覚とシンクロする。こうした巧みな引用もあり、観た後も主人公の未来へ想像は広がるのだった。

  • 犬ヶ島
    カリカチュア? ホワイトウォッシュ? でも無問題!
    ★★★★★

    ポスタービジュアルの少年を見て「動いたら可愛いかも?」と思ったけど、否。ただし犬の人形はチャーミングで、キャラも立っている。そして、この寓話はウェス・アンダーソン監督の政治意識が盛り込まれている点でも興味深い。犬が島は一種の収容所だし、猫LOVEな市長はトランプ風、しかもセーラー服のJKは学生運動で堂々主張! 愛犬を探す少年の冒険譚は陰謀がらみの社会問題へと肥大化し、どう決着をつけるのか最後までワクワクした。欧米では日本文化を正しく伝えていないとか、ホワイトウォッシュとの批判もあったようだが、ロボットレストランを誇る国の人間としては無問題。ゆる~い和風キッチュをしっかり堪能しました。

  • ゲティ家の身代金
    重要なのは資産で、愛なんて不要!
    ★★★★★

    誘拐事件をめぐる攻防が犯人VS被害者家族だけでなく、被害者の祖父VS母親となるのが富豪一族ならではで、庶民の想像を超えるドラマが展開する。圧倒されたのは富豪ゲティで、奇人並みの言動に目が点。「テロリストとは交渉しない」アメリカ政府のような頑なさで身代金支払いを拒否する一方、訳ありの母子画に大金をポンと支払う金銭感覚にはうすら寒さを覚えた。演じたC・プラマーはリア王を彷彿させる人間的弱みも盛り込んだが、愛を求めない姿勢が逆に天晴れ! 資産が莫大だと次々に心配事が増え、自分しか信じなくなるのも仕方なしと納得する。プラマーの解釈が面白かったので、K・スペイシー版にも俄然、興味が湧いてきた。

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