シネマトゥデイ

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映画短評

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  • ゲット・アウト
    今年の『ドント・ブリーズ』枠!
    ★★★★

    “モダンホラー版『ミート・ザ・ペアレンツ』”というより、“逆『ゲス・フー/招かれざる恋人』”。DVDスルーだった『キアヌ』でも笑わせてくれたジョーダン・ピールを監督として起用したジェイソン・ブラムの目利きは、さすがの一言だ。オバマからトランプ政権になった現代アメリカにおいて、このテの人種差別ネタを笑いを交えて描けるとは、とんでもない逸材だろう。シンプルなストーリーながら、ジワジワと迫ってくるサスペンス演出も、地味なキャストの芝居も巧く、冒頭に車で轢かれる鹿に始まり、ティーカップ&スプーンや帽子など、脚本も伏線だらけ。リピートしたくなる点など、今年の『ドント・ブリーズ』枠は、これで決まり。

  • ブレードランナー 2049
    “知る覚悟はあるか”はマニアに向けた警告でもある。
    ★★★★★

    年号が付いたことで、アルバトロス感強めだが、ここまでやられると、ぐうの音も出ない。そのスゴさは同じハリソン・フォードのハマリ役復帰作『フォースの覚醒』と比較すれば一目瞭然。“歴史は繰り返す”テーマの下、マニアが観たい場面で構成したJ・Jに対し、ヴィルヌーヴはマニアが観たい観たくないに関わらず、完全な続編で挑んだ。話題になった“デッカード=レプリカント説”を嘲笑うかのように主人公Kがレプリカントである設定を筆頭に、神格化された前作にザクザク切り込んでいく。まさに“知る覚悟はあるか”のコピーそのものだが、これが観たかった、そしてリドリー・スコットが撮ってもおかしくない続編なのだから敬服しかない。

  • あゝ、荒野 後篇
    リングで2人が戦う理由
    ★★★★★

    『ちはやふる』と同様、二部作の罠にハマったか、『前篇』に比べてのパワーダウンは認めざるを得ない。本作も飽きることはないのだが、これだけ時間をかけながら、各エピソードに対して収拾つけることが精一杯なのが伺える。それにより、いちばんの核であるはずの主人公2人がリングで戦わなければいけない理由が、あまりに不明瞭になってしまった。新宿新次はさておき、『前篇』で父親との確執が描かれていたはずのバリカン建二が向かっている道が、新次への「愛」も含めて、見えなすぎる。前作から継続する演者の熱量はもちろんのこと、その後に展開されるボクシングシーンもかなりの迫力で魅せてくれるだけに、とにかくもったいない。

  • ミックス。
    笑いも涙も薄めだが、幸福感をもたらすガッキーの引力には跪く
    ★★★★★

     スポ根にはならないスポーツ・ラブコメ。元天才卓球少女・新垣結衣が再びラケットを持つ動機といい、元ボクサーの瑛太との出会いを始めとした彼女をめぐる人間関係といい、古沢良太脚本は堅実だが破綻もない。普通の人々の内面に深入りしない戯画的な筆致は、傷つけ合わぬよう配慮する今どきの人間関係そのもの。ピンポン球がVFXであろう事実を忘れさせるほど、試合の心理的駆け引きに力点が置かれるわけでもない。1時間20分で終わるストーリーに捻りを加えた1時間59分。収穫は、蒼井優扮する破壊的なまでの中国人キャラ。汗も笑いも涙も薄めの、低温エンタメ。それでも幸福感をもたらすガッキーの引力を前にして、最後には跪く。

  • バリー・シール/アメリカをはめた男
    ムチャな80年代男が絶妙にハマるトム・クルーズ、完全復活。
    ★★★★

     やはりトム・クルーズには、常軌を逸し振り回されても再び立ち上がる、ムチャな男が絶妙にハマる。CIAや麻薬組織を手玉に取ったようでいて実は利用され足蹴にされた、小悪党のパイロット。中南米政策をめぐる国家的迷走と今に至る失策への批判的精神は、ブラックな笑いに包みながらも鋭利だ。70年代後半から80年代前半の実話。挿入される、ざらついたビデオ映像が効果的で、あの時代の狂騒ぶりを想起させる。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』以来のダク・リーマン監督とのコンビ。共通項を挙げるなら、最悪のリフレイン。もっとカタルシスを与えられれば、“空飛ぶウルフ・オブ・ウォールストリート”的傑作になったはずだ。

  • マイティ・ソー バトルロイヤル
    ソーとハルクの筋肉合戦を、作品単体で楽しめる
    ★★★★★

    MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の作品は普通にスッキリ面白い。だから今作も予想どおり面白い。しかも「アベンジャーズ」の本線とあまり深くシンクロしないので、単体作品として楽しめる。ただ、ソーとハルクという2大筋肉キャラをメインにしたのだから、ユーモアや痛快さがもっと突き抜けて良かった気も。
    ケイト・ブランシェットが演じるということで悪役キャラの革新も期待したが、そこも予想の範囲内。キャラが立った悪役が多いDCに比べ、MCUでの悪役の表現はつくづく難しいと実感する。レズビアンのキャラ(一瞬だが、確実にそうだと思わせる描写アリ)の登場は新鮮だった。

  • ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~
    料理人版「ブラック・ジャック」を、もうちょっと見たかった
    ★★★★★

    一応、主人公は二宮和也が演じる現代のシェフなのだが、彼の料理の腕や性格を伝えるドラマが少ないので、料理人版「ブラック・ジャック」とも言える、天才&大金で仕事を受けるという個性的なキャラが生きてこない。そこが、ちょっと残念だった。
    観客に強くアピールする人物は、過去の西島秀俊の料理人だろう。歴史や人間関係に翻弄されながら、世紀のメニューに挑む姿はそれなりにドラマチックだ。現代部分が穏やかなせいか、2つの時代の物語がリンクする結果にも、驚きや大きな感動は感じられなかった。
    もちろんこの作品の最大の魅力は、満願全席の料理や食材の数々。そこだけで満腹感が味わえるのは事実だけれど……。

  • ブレードランナー 2049
    映画史上最高の続編かもしれない
    ★★★★★

    すでに伝説となっている物語の「続き」に、いったい何を期待すればいいのか? しかし35年を経て出現したこの続編は、最初から最後まで極上アートのような映像と、前作の世界観を受け継ぎ、広げる強靭な意識によって、2時間43分、恍惚とした時間に浸らせてくれた。
    そして結末を目の前にしたときの激しい胸のざわめきも言いようがないレベル。人間は何のために生きるのか。虚しさの向こうに人生で待つものは?
    『ラ・ラ・ランド』もそうだったが、表情変化の乏しさゆえの果てしない悲しさを表現できるライアン・ゴズリング。その持ち味がここまで巧妙に生かされていたことにも衝撃を受けた。

  • アトミック・ブロンド
    疲弊した彼女をも輝かせる過激で生々しく果てしない実戦ファイト
    ★★★★★

     長躯の優れたフィジカルで魅せると同時に、自らを傷つけることで逆説的に美貌を際立たせてきたシャーリーズ・セロンにとって、このスパイ大活劇はフュリオサ(マッドマックス~)後の大きな到達点。スタント/アクション指導のプロであるデヴィッド・リーチ監督による、過激で生々しく果てしない実戦ファイトは、格闘後の疲弊した彼女をも輝かせる術を十二分に心得ている。ベルリンの壁崩壊直前の1989年という混沌とした状況下、スパイ暗躍のアングラなムードを醸成する美術&音楽、超絶的キャメラワークも魅惑的。<ジェイソン・ボーン×ジョン・ル・カレ>というコンセプトに誤りはないが、物語の語り口がもどかしいのは何とも残念だ。

  • ロキシー
    ニューシネマ×グラインドハウスのバイオレントなラブストーリー
    ★★★★★

     犯罪組織から逃げるワケありな男女が偶然出会い、寂れた片田舎に身を隠してささやかな愛を育むものの、やがて破滅的な運命が彼らに襲いかかる。アメリカン・ニューシネマを多分に意識した作品だが、しかしそこには反体制的な情熱も自由への渇望もなく、日常の隅々にまで暴力が溢れた現代アメリカ社会の底辺に生きる若者たちの諦めにも似た虚無感のみが漂う。
     全体的には地味なインディーズ系ラブストーリーという印象だが、しかし終盤で突如、グラインドハウス風の復讐バイオレンスへと変貌するのは少なからず意表を突く。さながら『ゼイ・コール・ハー・ワン・アイ~血まみれの天使~』って感じ。ゾーイ・クラヴィッツが好演だ。

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