シネマトゥデイ

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映画短評

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  • ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男
    対極の人間は誰にもわからないことを知る唯一の相手だった
    ★★★★

    副題のとおり、ボルグとマッケンローは対極。ボルグはジェントルマンで、すでに勝利を収め続けている。ここで負けることは許されない。マッケンローは急に出てきた、マナーを知らぬ暴れん坊。失うものは少ないが、嫌われ者の扱いだ。そのふたりのウィンブルドン決勝戦を描くこの映画は、スポーツ映画を超えた人間ドラマ。パパラッチもネットもない時代ながら、ボルグはセレブであることのプレッシャーに耐えかねていた。マッケンローも、記者会見で、「実際にやらないお前らにはわからない」と言ったりする。そんな彼らは、ほかの誰にもできないところでつながれる相手だった。スポーツにまったく興味がない人も、きっと感動する一作。

  • 私の人生なのに
    職人監督がふたたび女優・知英の可能性を引き出す
    ★★★★★

    知英が性同一性障害の留学生を演じた「片想いスパイラル」(『全員、片想い』の一編)の原桂之介監督作だけに、ふたたび彼女の女優としての可能性を引き出す本作。一言でいえば、ラノベ原作の難病モノだが、長回しのカットが多いうえ、状況や経過をセリフで説明するのではなく、画で語る演出が目を惹く。そのため、かなり淡々した印象も持つが、それがリアルさを増し、胸に響く。車椅子のヒロインと稲葉友演じる幼馴染との距離感も興味深く、そのツンデレ感や違うかたちで障がいを抱えた2人の仲間意識も作品を引っ張る結果に。知英は今後『レオン』のようなコメディよりシリアス路線を突き進んでほしいところだ。

  • BLEACH
    福士蒼汰らキャスト陣は好演なのだが…
    ★★★★★

     霊感を持つ男子高校生がホロウと呼ばれる悪霊を退治する死神となり、愛する家族や友人を守るため最強のホロウと戦うことになる。原作コミックのことはよく知らないが、出来上がった映画に関して言うならば、設定のわりにスケールが小さくて盛り上がりに欠けるという印象は否めないだろう。
     福士蒼汰や早乙女太一らキャスト陣の剣劇アクションはかなり頑張っていると思うし、相変わらず達者な杉咲花の芝居にも感心するが、しかし脚本・演出・VFXにおいて、予算や時間の限界がだいぶマイナスに働いているであろうことは想像に難くない。

  • キリング・ガンサー
    シュワちゃん久しぶりのコメディは殺し屋VS殺し屋の珍対決
    ★★★★★

     伝説の殺し屋ガンサーを倒して世界最強の称号を得るべく、各国から若手の殺し屋がアメリカに結集。新旧の殺し屋対決が繰り広げられるわけだが、誰も素顔を見たことがない上に変幻自在&神出鬼没なガンサーに、挑戦者たちはことごとく振り回されていく。
     そんな凄腕アサシンのガンサーをシュワちゃんが嬉々として演じているのだが、残念ながら本人が顔を出すシーンはごく僅か。監督・脚本を兼ねたタラン・キラムを筆頭に、『サタデー・ナイト・ライブ』OBを中心とした共演陣は芸達者揃いだが、初期タランティーノ風味のバイオレンスとユーモアはいまひとつ噛み合わず、モキュメンタリー形式の演出にもひねりが足りない。

  • ルームロンダリング
    死をテーマにしながらも重くなり過ぎない演出は好感度大
    ★★★★★

     ヒロインの仕事は、自殺や事件などで人が死んだ部屋に住み、事故物件の履歴を消すこと。で、実は彼女には霊感が備わっていて、この世に未練を残した死者たちと交流するうち、殻に閉じこもっていた生き方を変えていくことになる。物語の設定自体は結構ユニークだが、全体的な流れは予定調和の連続。感動のツボもちょっとベタ過ぎるように思う。
     ただ、死をテーマにしながらも決して重たくならず、ほのぼのとした雰囲気ととぼけたユーモアで軽やかに見せていく演出は好感度大。随所でさりげなく、現代日本社会の暗部を垣間見せる構成にも、作り手の真摯な姿勢が感じられる。そういう意味で、これが長編処女作の片桐監督の今後に期待したい。

  • ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス
    人生の最後まで音楽を愛し音楽に生きるという幸福
    ★★★★

     キューバ音楽の魅力を世界に知らしめた前作から19年。その間にアメリカとキューバは国交を回復し、当時既に老齢だったミュージシャンたちの多くが鬼籍に入った。今回は残されたメンバーたちによる最後のワールド・ツアーをカメラで追いつつ、同時にキューバ音楽の知られざる歴史、そして故人を含めたメンバーたちの波乱万丈な人生の軌跡が語られる。いや、むしろそちらが主軸だろう。
     恐らく映像作品としての完成度は前作の方が高いが、しかし中身の濃さでは全く引けを取らない。まさに生涯現役。人生の最後まで音楽を愛し音楽に生きるレジェンドたち、そんな彼らの奏でるサルサのリズムに身を委ねる老若男女。なんと幸福な光景だろう。

  • ルームロンダリング
    「閉」から「開」へ向かう成長のファンタジー
    ★★★★

     いわくつきの不動産物件を浄化する職業=ルームロンダリングという設定が、まず面白い。住人が悲劇的な死を遂げた部屋に住んで、動じずにいられるのは本作のヒロインくらいだろう。

     他人と話すくらいなら幽霊と話していた方がマシというほどの彼女だから、その心の閉じっぷりは相当なもの。そんな彼女と、幽霊との交流がユーモラスで、またシミるものもある。幽霊の声に耳を傾けるうちに開いていく心。人間ドラマのナチュラルな展開が魅力。

     セリフの少ない難役ながら「閉」から「開」へといたる心模様を体現した池田エライザに女優としての大きな可能性を見た。悪党であっても悪ではないオダギリジョーの好助演も光る。

  • きみの鳥はうたえる
    なんだかすげえいい映画になっちゃって
    ★★★★★

    星10個ぶん。『やくたたず』と並べれば監督・三宅唱の一貫も刷新もはっきり判る。原作を叩き台に、柄本佑=石橋静河=染谷将太扮する三人が全く新しい人物として立ち上がり街を回遊する。函館の“CITY”としての魅力、ナイトクラビングのめっちゃいい時間。期間限定の幸福と淡く確実な不安。

    骨組は「男2・女1」というクラシックな青春映画の神話形だ。それをいまの普通の日常に馴染ませ、脱構築しているわけで、作り方はある種アンビエント音楽に近いのではないか。佐藤泰志シリーズの過去三作とはまるで異なる成果となったが、この作家が良き触媒として、各々を新しい境地へとゆるやかにジャンプさせる働きを持つ事は確かなようだ。

  • もしガチのコメディアン主演なら戯画系ギャグの商品タグがついたはずだが、ルイ・ガレルなもんで「えっ、本気のほう?」というか党派性を混乱に招いてるような(笑)。あと辛いのはゴダール画の再現度がえらい甘いこと。もっと美的に鋭ければ説得力が違ったのに(アンヌは可愛いよ)。

    とはいえ、本作は1つの重要な真実を語っている。それは偉人も天才も、恋愛など私生活の関係を介せば「ただの男」だってこと。偶像化のでかい男ほど、女子目線のミもフタもない破壊からは逃れられない。デモの最中にコケて眼鏡が落ち腰を強打する彼は、むしろウディ・アレンみたい。そしてアレンは「ただの男」イズムを常に踏まえてる事が逆によく判った。

  • BLEACH
    『るろ剣』『銀魂』に及ばない再現度の低さ
    ★★★★★

    下村勇二によるアクションシークエンスや悪霊・虚(ホロウ)の造形は評価できるが、愛が感じられない羽原大介の脚色など、原作ファンの怒りを買いそうな再現度の低さが際立つ。さらに、手抜きにしか思えないyU + coのタイトルデザインに、日中のクライマックスバトルで露呈されてしまったハンパないコスプレ感。総じて、近年の安定感は目を見張るものだった佐藤信介監督作にして、『万能鑑定士Q』以来といえる残念な結果になってしまった。これでは殺陣を頑張ったキャストが気の毒になるほどで、さすがにこの仕上がりでは、『るろ剣』『銀魂』に続くシリーズ化は難しいだろう。

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