シネマトゥデイ

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映画短評

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  • ソローキンの見た桜
    "桜"のさまざまな姿がスクリーンに現れる
    ★★★★★

     日露戦争時代、愛媛県松山市に設営された日本初のロシア兵捕虜収容所を描く本作は、タイトルに冒頭と最後の満開の桜の光景が相まって、"桜"をモチーフに、突然この国に来た異国人の目から見た、日本というものの捉えどころのなさを描く物語にも見える。日本人女性に恋するロシア将校は「桜は日本なのですね」とも言う。収容所所長役はソクーロフ監督の「太陽」で昭和天皇を演じたイッセー尾形。桜の美しさは、花ひとつを間近で見ても捉えられず、見渡す限りの満開の花を少し離れたところから見て初めて伝わってくる。桜は何度か画面に現れるが、映画の最後、人物の背後で焦点が合わずに白くぼやけている姿がもっとも美しく感じられる。

  • ビリーブ 未来への大逆転
    男女同権を勝ち取ってくれた諸先輩に感謝!
    ★★★★★

    実在するスーパーヒーローRBGことジャスティス・ギンズバーグの誕生を描く痛快作だ。ハーバード大教授が女性を“嬢ちゃん”扱いする時代なので、前半は頭に血が上るシーン多数。二等市民扱いに耐えながら戦うヒロインをF・ジョーンズが手堅く演じ、共感度大。後半の軸となる裁判は有名な案件なのでハラハラはしないが、男女平等が当然と考えさせるシーンをいくつも挟み込み、RBGが決意を新たにする過程をわかりやすく伝える演出もいい。男女同権を勝ち取った諸先輩に感謝する気持ちが湧く映画だ。とはいえ、日本では政治参画や企業の重役ポストにおける女性比率が圧倒的に低いわけで、「日本の夜明けは遠いぜよ」と思ったのも確か。

  • ダンボ
    リアルなゾウさんに、不安と期待が入り混じったが
    ★★★★

    ディズニーキャラとしてのダンボはアニメらしい「かわいさ」があり、本物の象と印象は異なる。この作品では、CGとはいえリアルに近い象を追求。観る前は不安もあり、実際に登場しても違和感はあるのだが、その「違和感」こそが「作り物としての映画」であると高らかに宣言しているよう。ダンボの飛行もスムーズではなく、ややぎこちなかったりして、CGなのに単に美しいファンタジー映像になっていないところが、ティム・バートン流。違和感に映画の魔法が宿った奇跡、とは言い過ぎか。独特のカラフル美術から、お姉ちゃんを演じる子役の顔まで「バートン印」は健在で、子供時代に、心ざわめく魔界に足を踏み入れた感覚が、ちょっぴり甦った。

  • レゴ(R)ムービー2
    映画パロディも自虐ギャグも山盛り増量!
    ★★★★

     前作が名作なので、その続編というだけで期待値が上がってしまっているところを、この続編は"とにかくありとあらゆるネタを山盛りにする"という作戦で、前作に負けない楽しさを目指す。
     まず、前作で感嘆させた"現実世界とのリンク"も山盛りで、今回は何度もある。人気映画のパロディも増量、しかも今回の元ネタは超有名映画だけでなく"そのジャンルのファンには有名"系の作品も。さらに大ネタとして、主人公エメットの声を演じるクリス・プラットが、新登場の別キャラの声を2役で演じて、そこにも楽しい仕掛けをプラス。そのうえ主人公の成長物語でもある。シッポの先までネタがギッシリだ。

  • ダンボ
    オリジナル作品への愛情が感じられる実写化!
    ★★★★

    1時間弱のアニメをどのように実写化するのか? 仔象をどうやって飛ばすのか? 見る前から興味津々だったが、予想を超える愛らしい作品に仕上がっている。CGIで描いたダンボの可愛い仕草や青い瞳、細部までこだわった華麗な映像美はT・バートン監督なら当然とはいえ、それだけでウキウキさせてくれる。しかも動物愛護やアウトサイダーの悲しみ、親子愛、アンチ拝金主義といったテーマが盛り込まれていて、オリジナル作品をリスペクトしながらもさらなる深みを加えている。夢の国へのディスを許したディズニーの懐の深さに感心したが、バートン監督に是非『バンビ』実写化をお願いしたいところ! 子役ニコ・パーカーの将来が楽しみ。

  • バンブルビー
    『トランスフォーマー』第一作以来の出来、あるいはそれ以上
    ★★★★★

    87年のカリフォルニアで、プリテンダーズのC・ハインド(米生まれだがロンドンに渡った姉御)が見守る下、ザ・スミスの「ビッグマウス・ストライクス・アゲイン」で目覚め、パジャマ替わりはE・コステロのTシャツ。UKロックに自我を託すヘイリー・スタインフェルドは高濃度なジョン・ヒューズ的ヒロイン像だ。デジタルコーティングのおばけと化していた本シリーズが久々に程よいアナログ感とティーン物の瑞々しさを取り戻した。

    スミスでは「ガールフレンド・イン・ア・コーマ」が大ネタで、そこにも絡めた「DJバンブルビー」のアイデアも最高。女子とビートルのコンビはリンジー・ローハン主演の“ラブ・バッグ”=『ハービー』的!

  • 翔んで埼玉
    距離感と温度感の大勝利
    ★★★★

    満員御礼の劇場で鑑賞。国民的ヒット作へと伸びてる気配だが、まあ大きく言うと、トランプ風刺にも思えますね(笑)。バックラッシュ時代の身も蓋もなさと現状のフラット化(埼玉化)での挟み撃ちが絶妙。大らかに笑い飛ばすのがおそらく地域差別への最適解で、「程良い解放」に満ちている。『SR サイタマノラッパー』から10年、ある成熟を感じるなあ。

    漫画原作映画という日本の特殊文脈の中で、『テルマエ・ロマエ』に続き結構なスケールでニセ世界をバラエティ的に構築する武内英樹監督の力量は突出。「小倉優子(千葉)、弱い!」とかウケたわ。二階堂ふみは三島由紀夫やヴィスコンティ的にもなるが、BLへの距離感も「大衆的」。

  • コンジアム
    予想以上に怖い韓国版『グレイヴ・エンカウンターズ』
    ★★★★

     コンジアムとは韓国に実在する、最強の心霊スポットとして有名な精神病院の廃墟。人気ウェブチャンネルの取材チームがそこへ足を踏み入れ、呪われた「402号室」の内部をライブ中継しようとしたところ、想像を絶する恐怖のどん底に突き落とされる。『ブレアウィッチ・プロジェクト』以来、もはや出尽くした感のある心霊モキュメンタリーの韓国版。ストーリー的は『グレイヴ・エンカウンターズ』と酷似している。しかし、俳優の装着する小型アクションカメラで撮影された映像の臨場感、湿度の高いアジア的な禍々しさを醸し出す恐怖演出は秀逸。無名の若手で固められた役者陣のリアルな芝居も素晴らしく、特に終盤の展開は予想以上に怖い。

  • ホテル・エルロワイヤル
    タランティーノ風味のスタイリッシュなバイオレンス映画
    ★★★★

     『キャビン』のドリュー・ゴダード監督の最新作は、デジタル配信での日本公開。舞台設定は’60年代末。10年前に殺人事件のあった、今は落ちぶれた田舎の高級ホテルにワケありな人々が集まり、やがてそれぞれの思惑を巡って殺し合いが始まる。ベトナム戦争にケネディ暗殺、公民権運動にマンソン・ファミリー風カルト集団など、当時の世相を巧みに織り交ぜつつ、お洒落でスタイリッシュなネオノワール・タッチのバイオレンス映画に仕上げた作風は、明らかにタランティーノの影響が濃厚。もうちょっと短くまとめられたとも思うが、各人の人生や事情が複雑に絡み合う脚本はよく出来ているし、ジェフ・ブリッジス以下の多彩なキャストも魅力だ。

  • ビリーブ 未来への大逆転
    性差別の解消は、女性だけでなく男性も生きやすくする
    ★★★★

     86歳の現在もアメリカの最高裁判事を務める女傑ルース・ベイダー・ギンズバーグ。ハーバード大学のロースクールを卒業しながらも、女性ゆえ弁護士になる夢を諦めざるを得なかった彼女が、性差別を解消するための第一歩として取り組んだ裁判を描く。その肝となるのは、法律が男女に同等の権利を保障することで、女性だけでなく男性も生きやすくなるということ。この基本原理は、ほかのあらゆる差別に当てはめることが出来るだろう。誰かの権利が向上することで失われるのは、差別主義者の他人を虐める権利だけなのだから。アクション映画のイメージが強いミミ・レーダー監督は、折り目正しいドラマ演出で新境地を開く。実に爽快な作品だ。

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