シネマトゥデイ

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映画短評

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  • マイ・サンシャイン
    暴動に直面したとき、人に何ができるのか?
    ★★★★

     パリで起こった暴動は記憶に新しいが、13年前にもかの地では暴動が起きた。それを実際に体験した『裸足の季節』のD・ガムゼ・エルギヴェン監督が1992年のLA暴動に注目して本作を製作。

     ひと口に暴動と言っても、そこには多彩な要素がある。ある者は心の底から怒り、ある者は怒りを略奪に転嫁し、またある者はそれに刺激を受けて略奪に執着する。そのような構図の俯瞰に本作の意義がある。

     しかし、多くの人間は暴動そのものから距離を置くものだ。H・ベリーやD・クレイグがふんする主人公はその典型。彼らの間に芽生える人と人のつながりに、非常時でも正気を保とうとする美しさを見た。社会派だが感動的な人間ドラマ。

  • グリンチ
    愛らしさとユーモアに立脚したクリスマス・ムービー
    ★★★★

     ジム・キャリー主演による2000年の実写版はファンタジーとユーモアの他に恐怖色も宿っていたが、イルミネーション製作のアニメーションだから、そちらは控え目。

     前回の映画化ではともすれば不気味に見えたグリンチも本作ではキュートに変身。イヤなヤツでも最終的には魅力を宿らせる、イルミネーションならではのキャラクター作りの妙が活きた。かわいらしい子どもキャラの個性的な役割分担も考え抜かれている。

     大人の観客としては、もうワンパンチ欲しいところだが、クリスマス季のアッパーな気分にフィットするのは間違いない。グリンチの声を担当したB・カンバーバッチのユーモラスな妙演も光り、気持ちよく楽しめる。

  • アリー/スター誕生
    徹底した作りこみで、古き良きメロドラマが現代に復活
    ★★★★

     1937年に製作された『スタア誕生』の3度目のリメイクで、物語は1976年製作版に近い。いわば、これまで何度も目にしてきた成功と悲劇のメロドラマで物語的には新味はないが、それでも魅入ってしまう。

     監督兼主演のB・クーパーとヒロイン、レディ・ガガは映画を支える2本柱。前者の丁寧な演出や堕ちてゆく男の好演、後者のアップに耐える感情面の熱演が噛み合い、グイグイと引き込まれた。

     音楽の作りこみも注目に値する。ニール・ヤングやザ・フーをヒントにしたという劇中のオリジナル曲は、劇中のロックのカリスマという設定に確かな説得力をあたえる。言うまでもなく、ガガ様の歌唱力も素晴らしい。

  • 宵闇真珠
    失われ行く古き良き香港へのノスタルジー
    ★★★★★

     クリストファー・ドイルが「香港三部作」で組んだ女性製作者ジェニー・シュンと共同監督を務めた作品だが、恐らく演出未経験のシュンをドイルがサポートしたというのが実際のところなのだろう。再開発計画の進む香港の古びた漁村で、孤独な美少女アンジェラ・ユンと流れ者の日本人オダギリジョーが出会う。そこは人々が昔ならではの暮らしを守り、携帯もパソコンも存在しない異空間のような世界。古き良き香港へのノスタルジーと、’90年代香港映画へのオマージュが甘美な幻想を漂わせ、無垢な時代の終焉と少女の大人への目覚めが詩情豊かに綴られる。繊細で美しい作品だが、しかし雰囲気先行という面も否めない。

  • シュガー・ラッシュ:オンライン
    メタフィクション的おもしろさもたっぷり
    ★★★★

     シリーズの根底にあるのは"もしもゲームのキャラクターが、ゲーム上では役柄を演じているだけで、別の独自の人格を持っているとしたら"というメタフィクション的なおもしろさ。それをディズニーが描くので、有名なディズニー・キャラや「スター・ウォーズ」のキャラが続々登場。ディズニー・プリンセスたちが、映画とは違う現代的な普段着でくつろぐ姿が見られるだけで楽しい。ピクサー製作の「メリダとおそろしの森」のメリダのことを、「アナ雪」のアナが「あの子は別のスタジオの出身だから」と言ったりするような舞台裏ネタもあちこちに。映画史に残る古典的キャラクター、キング・コングへのオマージュもたっぷり盛り込まれている。

  • こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話
    命懸けのワガママにグッとくる
    ★★★★

    オープニングで、タイトルの件を処理してしまう大胆さに掴まれ、新人ボランティア(になってしまった)美咲同様、主人公・鹿野にイライラさせられながら、知らず知らずに彼の人間力にハマっていく。『グリンチ』同様、寂しがり屋で偏屈者を演じる大泉洋は当然だが、美咲を演じる高畑充希の受けの芝居が絶妙だ。そのため、『パーフェクト・レボリューション』と違い、しっかりコメディとして笑わせてくれる。後半、泣かせ演出による若干の失速感は否めないが、鹿野の“命懸けのワガママ”にグッとくることは必至。まさに“日本版『ブレス しあわせの呼吸』×『最強のふたり』”ともいえる仕上がりだ。

  • 春待つ僕ら
    『トリガール』のメガネ女子が大化け!
    ★★★★★

    気が弱いくせに出るとこ出るヒロインが、“イケメン四天王”にチヤホヤされる原作だけに、「花より男子」フォロワーであることは確か。肝心なときにコケたり、携帯落としたり、最後の最後までドジっコなヒロインだけに、土屋太鳳のキャスティングは、ギリセーフといえるだろう。バスケの試合シーンはそれなりに見応えあるものの、原作のエピソードを繋いだだけの印象は否めない。そんななか、亜哉を演じる小関裕太のエルフ(レゴラス)のような美しさ。そして、『トリガール』のメガネ女子役で、最後にすべてをかっさらった佐生雪のコメディエンヌっぷりが最大の収穫。友人役の本作を機に、ブレイクを期待したいところ!

  • クマ・エロヒーム
    76分の新人監督作――なのに「大作」の匂い
    ★★★★

    『惑星ソラリス』や『インターステラー』と繋いでも違和感がないと思う。何かと盛りがちなSFジャンルにおいて、丹念なロケーション&16mmフィルム撮影で立ち上がる「引き算の発想」で構成された画の力と主演二人の芝居が素晴らしい。「無国籍SF」的な意匠の中で浮き彫りになるのは人間同士の実存や愛の問題だ。

    創世記の一節が冒頭で引用されるようにアダムとイブの物語の変奏だが、この少子化対策が厳格に敷かれた世界ではヤヌーカ(赤ちゃん)が出来ない事が「罪」となる。このプレッシャーは切実な共感を呼ぶはず。他にも現代社会/日本の縮図的エピソードを連鎖させた『ショート・カッツ』のような3時間の大長編版を観てみたい。

  • マイ・サンシャイン
    紛れもなく『裸足の季節』監督最新作
    ★★★★★

    手堅いキャスティングに、ほのぼのなタイトルと、食指が動かないかもしれないが、紛れもなく『裸足の季節』でド肝を抜いた女性監督の最新作である。ある意味『万引き家族』である子供たちの描き方が、今回も腹立つほどに巧い。そこにダニエル・クレイグ演じる、かなりヤバい隣人が怒鳴り込む。恋愛に奥手な長男が憧れのコを寝取られたり、いろいろヤバいことが起こりまくった末、ロス暴動が勃発。巧くいけば、少年版『ドゥ・ザ・ライト・シング』になるのに、そこに大人のロマンスが入って浮きまくるなど、噛み合わせの悪さが面白いことになっている。しかも、大風呂敷広げて、87分という尺も、かなり攻めている。

  • 宵闇真珠
    幻想的な世界へと誘うヒロインの透明感
    ★★★★★

    浅野忠信がクリストファー・ドイルが組んだ『孔雀』をどこかイメージさせながら、本作はジェニー・シュン監督主動の企画だけに、香港返還前後に撮られたドイル作品のカオスな雰囲気や色彩美とは縁遠い。しかも、原題の「White Girl」が示すように、キーワードは白い肌を持つヒロインを演じるアンジェラ・ユンの透明感にほかならない。彼女がウォークマンやカメラを手にし、テレサ・テンの「但願人長久」を口ずさむだけで、画になっていく。完全なアート系と思いきや、漁村で生きる香港人の熱いメッセージや、『九龍猟奇殺人事件』の犯人役で注目を浴びたマイケル・ニンがある意味、敵役である市長役をコミカルに演じる点にも注目。

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