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2021年 第34回東京国際映画祭コンペティション部門15作品紹介

第34回東京国際映画祭

 10月30日(土)~11月8日(月)に開催される第34回東京国際映画祭。今年は会場を昨年までのメイン会場だった六本木地区から、日比谷・有楽町・銀座地区へと移して行われる。「東京グランプリ」や「観客賞」などを競うコンペティション部門は、113の国と地域から応募のあった1,533本の映画より15本を選出。そのうち約半数の7本がアジア映画となっている。審査委員長は『ピアニスト』『エル ELLE』などの女優イザベル・ユペール。鬼才監督たちと組んできた彼女の鋭い目利きで選ばれるのは、どの作品になるのか!? (文:岩永めぐみ)

≫第34回東京国際映画祭公式サイト

第34回東京国際映画祭ポスター
コシノジュンコがビジュアル監修を務めた第34回東京国際映画祭ポスター -(C)2021 TIFF
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<東京グランプリ/東京都知事賞>『ヴェラは海の夢を見る』

製作国:コソボ、北マケドニア、アルバニア
監督:カルトリナ・クラスニチ
キャスト:テウタ・アイディニ・イェゲニアルケタ・スラ

【ストーリー】
安定した人生を送ってきた中年女性のヴェラのもとに、夫の突然の自殺後、家の所有権を主張する親類たちが現れる。裏社会とのつながりが明るみになり、ヴェラの世界は今にも崩壊しそうになるが、残された家族の命運はヴェラに託されていた。

【ここに注目】
母国コソボとアメリカで映画について学び、ドキュメンタリーを手掛けてきたカルトリナ・クラスニチ監督の劇映画デビュー作。ベネチア国際映画祭のオリゾンティ部門にもノミネートされた。夫を亡くした中年女性を主人公にした本作は、現代まで根深く残るジェンダー問題の生々しい現実をテーマにしているという。

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<観客賞><スペシャルメンション>『ちょっと思い出しただけ』

製作国:日本
監督:松居大悟
キャスト:池松壮亮伊藤沙莉

【ストーリー】
けがを理由にダンサーになることを諦めた照生(池松壮亮)とタクシードライバーの葉(伊藤沙莉)の若いカップルの、新型コロナウイルス流行以前からの過去と今を紡いでいく。

【ここに注目】
東京国際映画祭コンペティション部門に出品された『アズミ・ハルコは行方不明』などの松居大悟監督が、オリジナルとしては初めて手掛けたラブストーリー。ロックバンド・クリープハイプジム・ジャームッシュ監督の映画から着想を得て作ったという楽曲「ナイトオンザプラネット」を聴き、生まれた物語だという。カップルの元ダンサーを池松壮亮、映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』の登場人物を思わせるタクシー運転手を伊藤沙莉が演じる。

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<審査員特別賞>『市民』

製作国:ベルギー、ルーマニア、メキシコ
監督:テオドラ・アナ・ミハイ
キャスト:アルセリア・ラミレスアルバロ・ゲレロ

【ストーリー】
メキシコ北部の町で、シエロの娘が麻薬カルテルに誘拐される。身代金を払ったにもかかわらず娘は返されず、警察も協力してくれないことから、彼女は自ら捜索を始める。ある軍人の協力を得ながら麻薬カルテルのメンバーを追うが、その危険な連鎖に引きずりこまれる。

【ここに注目】
ルーマニア出身の女性監督、テオドラ・アナ・ミハイによる初の長編犯罪スリラー。ミハイ監督が共同脚本のハバクク・アントニオ・デ・ロサリオと共にメキシコでリサーチした実話を基にしているという。プロデューサーとしてベルギーのジャン=ピエール・ダルデンヌリュック・ダルデンヌの兄弟、ルーマニアのクリスティアン・ムンジウ、メキシコのミシェル・フランコという著名な監督が参加し、カンヌ国際映画祭ある視点部門では奨励賞のCourage Prizeを受賞した。

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<最優秀監督賞>ダルジャン・オミルバエフ『ある詩人』

製作国:カザフスタン
監督:ダルジャン・オミルバエフ
キャスト:エルドス・カナエフクララ・カビルガジナ

【ストーリー】
カザフスタンの新聞社で働いている詩人のダニヤルは、カザフの偉大な詩人マハンベト ・ウテミソフの物語に突き動かされ、困難を伴おうと逃れられない詩人としての使命を悟る。そして彼は、作品を発表するチャンスを得る。

【ここに注目】
ロカルノ国際映画祭銀豹賞の長編デビュー作『カイラート(英題) / Kairat』やカンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリの『キラー(英題) / Killer』などで、カザフスタンを代表する映画監督となったダルジャン・オミルバエフによる人間ドラマ。現代に生きる一人の詩人の苦闘を描き出す。主人公が触発される偉大な詩人マハンベト ・ウテミソフは、同国がロシア帝国に支配されていた19世紀の詩人で、反体制派の活動家でもあった。

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<最優秀女優賞>フリア・チャベス『もうひとりのトム』

製作国:メキシコ、アメリカ
監督:ロドリゴ・プララウラ・サントゥージョ
キャスト:フリア・チャベスイスラエル・ロドリゲス・ベトレリ

【ストーリー】
シングルマザーのエレナには、学校で問題児扱いされている息子のトムがいる。トムはADHD(注意欠如・多動性障害)と診断され、薬を処方されるが、ある事故をきっかけにエレナは薬の副作用を疑う。エレナがトムにこの薬を使い続けることを拒んだことから、周囲は彼女からトムを引き離そうとする。

【ここに注目】
ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品してエキュメニカル審査員賞などを受賞した『マリアの選択』や東京国際映画祭に出品した『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』などのウルグアイの監督ロドリゴ・プラが、プラ監督作の脚本を担当してきたプラ監督の妻でもあるローラ・サントゥと共同監督として手掛けたドラマ。アメリカ南部でメキシコとの国境の町エルパソに住む母子の物語で、子供のADHDの診断や子供が精神科の薬を過剰摂取することなどの問題について問う作品となっている。

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<最優秀男優賞>アミル・アガエイ、ファティヒ・アル、バルシュ・ユルドゥズ、オヌル・ブルドゥ『四つの壁』

製作国:トルコ
監督:バフマン・ゴバディ
キャスト:アミル・アガエイファティヒ・アル

【ストーリー】
トルコのイスタンブールに暮らすクルド人音楽家のボラン。彼は妻と子供を呼び寄せる日を夢見て、部屋のローンを返済するために懸命に働いている。そんなボランを悲劇が襲う。

【ここに注目】
東京フィルメックスで審査員特別賞を受賞した『亀も空を飛ぶ』やカンヌ国際映画祭ある視点部門で特別審査員賞を受賞した『ペルシャ猫を誰も知らない』などが日本でも劇場公開されている、イラン出身のクルド人監督バフマン・ゴバディの新作。ロックバンド・ピンク・フロイドのベーシストだったロジャー・ウォーターズがプロデューサーとして参加している。

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<最優秀芸術貢献賞>『クレーン・ランタン』

製作国:アゼルバイジャン
監督:ヒラル・バイダロフ
キャスト:オルハン・イスカンダルリエルシャン・アッバソフ

【ストーリー】
4人の女性を誘拐した罪で投獄された男ダブドについて調査を始めた法学生のムサは、被害者たちが告発しようとは考えていないことを知る。それどころか、彼女たちは新しい真実に巡り合ったかのように感じていた。ムサは犯人とされる男の内面へと潜り込んでいく。

【ここに注目】
前作『死ぬ間際』がベネチア国際映画祭コンペティション部門に選出され、昨年の東京フィルメックスで最優秀作品賞を獲得したアゼルバイジャンのヒラル・バイダロフ監督による人間ドラマ。バイダロフは高校時代に数学オリンピックの国内大会で2度優勝し、大学でコンピュータ科学の修士号を取得した後、サラエボフィルムアカデミーでハンガリーの鬼才監督タル・ベーラに師事したという異色の経歴の持ち主。本作では人が他人に罰を科す意味や法の正義について美しい映像と共に問いかける。

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『アリサカ』

アリサカ
(C)TEN17P

製作国:フィリピン
監督:ミカイル・レッド
キャスト:マハ・サルバドールモン・コンフィアード

【ストーリー】
警察に護衛されていた証人が襲われ、一人だけ生き残った女性警官。なんとか暴漢らから逃げ、先住民の家に隠れる彼女だが、そこにも追っ手が迫ってくる……。

【ここに注目】
『バードショット』が第29回東京国際映画祭アジアの未来部門で作品賞を受賞したミカイル・レッドは、29歳の若さながら本作がすでに長編7作目となるフィリピン期待の監督。太平洋戦争で日本軍の捕虜となった多数のアメリカ軍兵士およびアメリカ領フィリピン軍兵士が収容所への移送中に死亡した事件「バターン死の行進」を題材とした。タイトルは日本軍が使用した三八式歩兵銃「アリサカ・ライフル」から付けられている。

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『カリフォルニエ』

製作国:イタリア
監督:アレッサンドロ・カッシゴーリケイシー・カウフマン
キャスト:ハディージャ・ジャアファリイクラム・ジャアファリ

【ストーリー】
南イタリアに暮らすモロッコ移民のジャミラは9歳の活発な少女。彼女は偉大なことを成し遂げるか、さもなくば大惨事を巻き起こしそうな子供だった。そんな彼女が失敗や回り道をしながら、自分の居場所を見つけるまでの5年間を追う。

【ここに注目】
イタリアのアレッサンドロ・カッシゴーリとケイシー・カウフマンの監督コンビは、共同ではこれまで2本のドキュメンタリーを制作しており、劇映画としては本作が1作目。前作『バタフライ(英題) / Butterfly』の撮影中に出会った9歳の少女に出演してもらい、14歳になるまでの5年間にわたる成長を撮影したドキュメンタリータッチのヒューマンドラマとなっている。

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『ザ・ドーター』

製作国:スペイン
監督:マヌエル・マルティン・クエンカ
キャスト:イレネ・ビルグェスハビエル・グティエレス

【ストーリー】
少年犯罪者の更生施設に入っている15歳の少女イレーネが妊娠する。施設の教師であるハビエルはイレーネが快適な妊娠生活を送れるようにと、彼と彼の妻と共に山の中の家で暮らすことを提案する。イレーネも受け入れるが、それにはある交換条件があった。

【ここに注目】
スペインのマヌエル・マルティン・クエンカ監督は日本でも公開された『カニバル』や、トロント国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞した『ザ・モチーブ(英題) / The Motive』などで評価されてきた。本作は人里離れた山間の閉じられた環境で展開するサイコスリラーで、監督は作品について「人間は最も崇高なことと最も恐ろしいことを同時に行うことができるということを描いている」と説明。施設の教師を『だれもが愛しいチャンピオン』などのハビエル・グティエレスが演じている。

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『その日の夜明け』

製作国:スリランカ
監督:アソカ・ハンダガマ
キャスト:ルイス・J・ロメロアン=ソレンヌ・ハット

【ストーリー】
1929年、25歳のパブロはイギリス領セイロン(現スリランカ)のチリ領事館に着任する。彼は前任地のビルマ(現ミャンマー)で、恋人とのトラウマ的な関係から逃れてきていた。疲れ果て、自由を求めていた彼は、セイロンの海辺の家で孤独に暮らすことにする。

【ここに注目】
ノーベル文学賞を受賞したチリの詩人で、『イル・ポスティーノ』や『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』の題材にもなったパブロ・ネルーダの回顧録を基にした伝記ドラマ。外交官だった若き日々、彼を取り巻く女性たちとの物語が展開される。スリランカのアソカ・ハンダガマ監督は、東京国際映画祭ではアジアの風部門でスペシャル・メンションを受賞した『兵士、その後』などが上映されている。

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『オマージュ』

製作国:韓国
監督:シン・スウォン
キャスト:イ・ジョンウンクォン・ヘヒョ

【ストーリー】
49歳の女性映画監督のジワンは3作目が観客に評価されず、4作目に取り組んでいるものの製作費が集まらずに苦労していた。ある日、1960年代の映画の修復の仕事を依頼され、作業の過程で当時の映画人たちに会いにいく。

【ここに注目】
韓国の女性映画監督が過去の映画人と出会い、女性映画監督がたどってきた道のりを知ることで映画を作り続ける勇気をもらうというストーリー。監督は長編デビュー作の映画『』で東京国際映画祭アジアの風部門最優秀アジア映画賞を受賞し、カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映された『マドンナ(英題) / Madonna』などで注目を集めるシン・スウォン。主演は『パラサイト 半地下の家族』で家政婦を演じたイ・ジョンウンが務める。

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『一人と四人』

一人と四人
(C)Mani Stone Pictures

製作国:中国
監督:ジグメ・ティンレー
キャスト:ジンパワン・ジェン

【ストーリー】
密猟者がのさばる雪山にある山小屋。管理人の前に男たちが次々と訪れてくる。

【ここに注目】
チベットのジグメ・ティンレー監督の長編デビュー作。ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門でSfera 1932 Awardのスペシャル・メンションや東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞した『羊飼いと風船』の監督で、ティンレー監督の父親であるペマ・ツェテンがプロデュース。同作や『巡礼の約束』などのジンパが出演する。

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『復讐』

復讐
(C)Cignal TV, Inc.

製作国:フィリピン
監督:ブリランテ・メンドーサ
キャスト:ヴィンス・リヨンナッシュ・アグアス

【ストーリー】
バイク泥棒のイサークは警察にマークされ、ボスに助けを求めるもぞんざいに扱われたことから、ボスへの復讐を決意する。

【ここに注目】
カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した『キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-』をはじめ作品が次々と国際映画祭で評価されるとともに、東京国際映画祭の常連でもあるフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督の犯罪スリラー。スラム街の犯罪組織に巻き込まれた男の話で、ドラマ「終わりなき麻薬戦争」のヴィンス・リヨンなどが出演する。また、メンドーサ監督は実在の日本人ボクサーをモデルにした『GENSAN PUNCH 義足のボクサー(仮)』が東京国際映画祭ガラ・セレクションで上映される。

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『三度目の、正直』

製作国:日本
監督:野原位
キャスト:川村りら小林勝行

【ストーリー】
兵庫県神戸市のとある街。記憶を失った青年と彼を取り巻く人々の思いが交錯する。

【ここに注目】
濱口竜介監督の『ハッピーアワー』と黒沢清監督の『スパイの妻<劇場版>』で共同脚本として名を連ねる野原位(のはらただし)の長編監督デビュー作。『ハッピーアワー』と同じく神戸が舞台となっており、出演者も川村りらをはじめ出村弘美田辺泰信など同作と同じ顔ぶれがそろった。

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