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世界的プロジェクト、一度だけしか上映しない映像 「零年における60秒の孤独」作家に河瀬直美監督、青山真治監督、石井岳龍が選出

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「零年における60秒の孤独」に参加する河瀬直美監督
「零年における60秒の孤独」に参加する河瀬直美監督 - Photo:Harumi Nakayama

 今夏、北欧のエストニア共和国タリン市で行われる一大映像イベント「零年における60秒の孤独」の概要がこのほど、第64回カンヌ国際映画祭に参加しているNPO団体「60sec」から発表された。同プロジェクトにはタイのペンエーグ・ラッタナルアーン監督ら地元の映像作家など世界から約30人のアーティストが参加する予定だが、日本からは河瀬直美監督、青山真治監督、石井岳龍(聰亙改め)監督の3人が選ばれた。

第64回カンヌ国際映画祭コンペ部門紹介

 欧州連合では毎年、年間を通して文化事業を行う「欧州文化首都」が加盟国の一都市の中から選ばれるが、2011年はタリン市。ちょうど今年、同国では映画製作100周年を迎えることから本プロジェクトが誕生した。

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 その内容は、実に大胆かつロマンチックだ。各監督それぞれが「35mmフィルムへの愛」をテーマに60秒のラブレターを映像で製作。それらをコラージュして1本の映画に仕上げるのだが、映し出されるのはタリン海に特設された幅20m×高さ12mの巨大スクリーン。天候を見ながら8月23日から25日のうちの一夜に、エストニアの現代音楽家ウロ・クリグルの奏でる音楽にノッて、たった一度だけ上映し、そのままスクリーンは海中へと沈められるという。つまり、現地に行かねば決して観賞することは出来ない、2,000人限定のスペシャル上映会なのだ。

 プロジェクトを運営するのはタリン市の支援を受けて設立された「60sec」。プロジェクト・アシスタントのマリア・レインナップさんは「独自の視点を持つ、アーティスティックな映像作家たちに声を掛けた」という。

 記者会見で河瀬監督は「特別なカタチでの映画製作に興味が沸きました。それが、たった一度きりの上映という、まさに奇跡的な一瞬。映画と人生をすごく近いところに結びつけている企画に思えました。実は私は映画を作る前はバケッットボールの選手だったんですけど、最後の試合でラスト60秒がカウントされ始めたとき、涙が止まらなくなってしまった。コーチには『負け試合で泣くな』と怒鳴られたけど、負けるのが悔しくて泣いたのとは違う。それから映画と出会ったのですが、その時の、時が過ぎることに涙したことへの意味をずっと問い続けてきました。なので今回のプロジェクトとは、奇跡的な出会いをしたのではないかと思ってます」と賛同した理由を語った。

 60秒の映像は自由なフォーマットで制作可能で、5つのサブテーマ(大地、水、風、火、精神)の中から一つ選ぶことになっている。そして参加監督たちには、各自のパートを切り取ったフィルムが後日、記念の贈られるという。

 河瀬監督は今回のカンヌ滞在中に映像製作を考えているそうで「ここでの日常を撮ろうかな」とアイデアを練っていた。(取材・文:カンヌ・中山治美)

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