宮崎あおい、忽那汐里ら人気女優を魅了してやまない石川寛監督の即興演出、その秘けつは？

　宮崎あおい、忽那汐里ら人気女優の共演が話題の映画『ペタル ダンス』の石川寛監督を講師に迎えたセミナー「石川寛　想いを映像にする」が29日、池袋コミュニティ・カレッジで開催され、女優たちを魅了してきた演出術の一端が明かされた。

　フランス映画『男と女』の名匠クロード・ルルーシュに「素晴らしい才能を発見した」と言わしめたという石川監督は、登場人物の日常の一コマを、ナチュラルに切り取った作風で人気を集めている。

　この日は、資生堂「マシェリ」（出演：高橋マリ子、黒澤優、吉川ひなの）、トンボ鉛筆・企業CM（出演：しりあがり寿、谷村美月ほか）、TOYOTA「GOAください。」（出演：本上まなみ、鈴木慶一）、TOYOTA「プログレ」（出演：本木雅弘、佐伯日菜子）といった、CMディレクターとして彼が手掛けた作品のほか、プロモーションビデオ「逢いたい」（Kiroro）などを上映。その制作裏話を振り返りながら、役者たちから自然体の演技を引き出す秘けつについて語った。

　自身の名刺の肩書は「導演」にしている、と切り出した石川監督は「導演というのは、中国語で監督の意味。これには出演者を導くという意味があり、監督という仕事において大事なこと」と解説。さらに「出演者に言ってほしい一言はあるのですが、言葉そのものは知らせず、設定だけを話します。そうやって感情を登場人物に近づけてもらって、僕が言ってほしい言葉に近い、もしくはそれ以上の一言が出てくれば、観客にハッとしてもらえるのではないか」と緻密な演出スタイル、こだわりを明かす。

　このエチュードのようなスタイルは『ペタル ダンス』でも踏襲しているという。「台本のセリフをリハーサルやオーディションで何度も練習してしまったら台無しになってしまう。人間が発する言葉はその場限りのものだし、言われた側だってそれを初めて聞くはず。そのやりとりから生まれる表情は掛け替えのないものなんです」と石川監督は説明する。女優の息吹が伝わってくるような石川作品の演出術に、受講生も熱心に耳を傾けていた。（取材・文：壬生智裕）

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