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3月のライオン 前編 (2017):映画短評

3月のライオン 前編 (2017)

2017年3月18日公開 138分

3月のライオン 前編
(C) 2017 映画「3月のライオン」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.8

くれい響

『プラチナデータ』『秘密』の監督とは思えない人間描写

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「ハゲタカ」「龍馬伝」の演出家である以前に、大友啓史監督は「ちゅらさん」「私の青空」の演出家であったことを思い起こさせてくる力作。完全に桐山零と化した神木隆之介の成長&青春ドラマと同時に、陰で彼を支える川本家三姉妹との下町人情ドラマである本作は、とにかく朝ドラ感がハマる。ほかにも、有村架純が魔女っぷりを醸し出すヒールキャラの香子や、高橋一生の存在感がしっかりフックになってる担任教師など、しっかりサブキャラも人間として描かれ、138分の長尺も感じさせない。ただ、対局シーンは狙いすぎた感もあり、染谷将太カブりな『聖の青春』にはかなわず。とはいえ、『後編』は、さらにスゴいことになってます!

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

一人ひとりが人生を背負った人間として息づく感情のスペクタクル

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 居場所を求め、「将棋しかなかった」少年が、プロとして自立する覚悟を描く前編。大友啓史演出は、悩み苦しみ闘い続ける普遍的な青春像を搾り出す。原作マンガからトレースしたキャラクターではなく、人生を背負った個々の人間が呼吸している。主要エピソードを満遍なく盛り込んでも、決して連続ドラマの総集編にならないのは、桐山零に同化した神木隆之介を始めとする俳優陣の一挙手一投足が、“行間”を十二分に埋めているから。対局シーンでは、ただ盤面を挟んで向き合う棋士同士の表情が映し出されるが、それは、横溢する感情のスペクタクルとして観る者を圧倒する。前後編公開という日本独自の興行形態には、このクオリティが必要だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

青春映画としても将棋映画としても抜群の面白さ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 原作の知識ゼロなので比較することは出来ないが、コミックの映画化という素性を殆ど感じさせないリアリズムはさすが大友啓史監督。将棋だけを生きる拠りどころにする孤独な少年の複雑な成長譚として、そしてプロ同士の生き様が激しくぶつかり合う過酷な将棋戦ドラマとして、素晴らしく見ごたえのある作品に仕上がっている。
 筆者は前後編合わせて4時間37分を一気見したが、一秒たりとも飽きることなし。それは脚本の面白さや堂々たる演出もさることながら、役者陣の見事なアンサンブルに負うところが大きいだろう。青春の瑞々しさと痛々しさを体現する神木隆之介の主人公・零を筆頭に、どの登場人物にもしっかりと血が通っているのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

羽海野チカ先生の世界観を疑似体験する至福の時間

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

羽海野チカ先生の漫画に漂う独特の空気感とユーモアをしっかりと反映した映画になっていたことにまず感動。主役を演じた神木隆之介は安定のうまさで零という青年を丁寧に演じ、物語をグイグイ牽引してくれる。作品ごとに成長を遂げる神木を見るのが映画ファンの喜びと言ってもいい。もちろん脇を締める佐々木蔵之介や豊川悦司、伊藤英明らも漫画キャラを自分らしく演じていてお見事! でも最高の驚きは零の心友、二海堂役の染谷将太。実は途中まで「この役者、新人? うますぎる」と染谷であることを忘れていたくらい。特殊メイクの力はもとより、役になりきっているスピリットが素晴らしい。二海堂が主役のスピンオフを作って欲しいくらい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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