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アカデミー賞スペシャル 授賞式会場レポート

うわさの現場潜入ルポ

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こはたあつこのアカデミー賞 ノミネーション会場レポート ~菊池凛子が来た! 来た!!~

2月25日の朝9時(ロサンゼルス現地時間)近く。ハリウッドの住宅街の道端を、お姫様のようなふりふりのロングドレスで歩く女性がいた。長くて広がるスカートのすそを両手でたくし上げ、つんのめりそうになりながら、ハイヒールで歩いている。朝っぱらからそのフォーマルな格好は、かなり浮いている。隣には黒いパンツスーツの女性が荷物を持ちながら、一緒に小走りしている。

そう、これはドレスを着たわたしと、日本から、アカデミー賞の取材のためにロス入りしたマネージャー。アカデミー賞当日の朝、コダックシアター前のレッドカーペットに急いで向かう途中なのだ。

今日はいよいよアカデミー賞当日! このために、半年前からいろいろ準備してきたのだ。早朝からドレスに着替えて、まずはレッドカーペットへ直行!

やったね! マーティン・スコセッシ監督!!
今年、受賞者の中で一番拍手が多かったのが、スコセッシ監督。彼は、今まで監督賞に5回もノミネートされていたのに、「絶対に取るでしょう」と予想された年でも、結局は受賞できなかった。授賞式会場でも拍手喝さいだったが、プレスルームに入ってきたときも、大拍手だった。それだけ、アカデミー賞会員だけでなく、多くのアメリカ人が「そろそろ彼にあげたい」と思っていたのだろう。スコセッシ自身も受賞スピーチで、「街を歩いていても、医者に行ってもエレベーターに乗っても、いろいろな人が、オスカーはあなたがもらうべきだ、と言ってくれる。」と言っていたほど、彼へのねぎらいの雰囲気が強かったのだろう。そのせいか、スコセッシは今年は監督賞だけでなく、作品賞まで受賞することになった。本人もこれには相当驚いていた。

もう一人、プレスルームで人気が高かったのが、『不都合な真実』に出演したアル・ゴアだ。元副大統領である彼は、環境問題を力説してアメリカ中を駆け回っている。プレスルームでは、作品を作った監督よりも、出演者のアル・ゴアに、環境問題について質問する人が多かった。

また、今年は“地味系ベテラン俳優”が受賞した年だと言える。主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィッテカーも、主演女優賞のヘレン・ミレンも、助演男優賞のアラン・アーキンも、長年、地道に仕事をしてきたベテランだ。

プレスルームではたくさんしゃべってくれるので、彼らの素顔が楽しめた。フォレスト・ウィッテカーは「ご先祖様が助けてくれた」などのスピリチュアルな発言が多かったし、ヘレン・ミレンはフランスからの記者にぺらぺらのフランス語で答えて才女ッぷりを見せていた。また、アラン・アーキンにいたっては、オスカーを受賞したからといって、何も変わらない、というような職人気質的なところを見せていた。皆ベテランだけあり、それぞれ独特の個性を持った俳優たちだと思った。

そんな中で、助演女優賞のジェニファー・ハドソンだけが新人だった。アメリカの人気テレビ番組に出ていたため、彼女の人気はさすがに高く、記者の質問が殺到した。それを一つ一つ丁寧に答えているところが、新人らしく、初々しかった。

菊地凛子と渡辺謙へのエール
今回は助演女優賞はジェニファー・ハドソンに持っていかれてしまった菊地凛子だが、わたしとしては、今回の菊地のアカデミー賞の出方は100点満点だったと思う。逆に、あまり急に賞を取ってしまうと、その重みにつぶされかねないので、今回はそのプレッシャーはジェニファーに任せて、菊地はどんどん良い仕事をすることに専念すればいい。あと3年後ぐらいのオスカーの授賞式で謙さんのようにプレゼンターを務められるようなキャリアの積み上げをしていけばいいと思った。

プレゼンターといえば、授賞式で渡辺謙さんがカトリーヌ・ドヌーヴと登場したときは感動した。日本人がプレゼンターとして登場するのは、大きなことだ。謙さんがハリウッドで着々と地位を築いているのを感じた。欲を言えば、英語をしゃべるとき、もう少しゆっくりと、低い声で、堂々としゃべってほしいと思った。そうすれば、渋さが出て魅力が増すのではないか。

今年は、オスカーのラインナップを見ても、とても国際的な年だった。取材をしていて実感したが、これはハリウッドやアカデミー賞が、内側、外側の両方から国際化しているということだ。インターネットの普及などで、外国にいる映画人でも、ハリウッドとやり取りしやすくなったことも要因の一つだろう。そんななか、今年は、「アメリカのハリウッド」が「みんなのハリウッド」に変わりつつある光景を目の当たりにしたような気がする。

これは日本の映画人にとってもチャンス! やがては、メジャーリーグのように、日本や諸外国からの映画人が、アカデミー賞のコアな部門でもっとノミネートされてくることだろう。今、日本の映画界も勢いづいてきているので、ぜひ、日本の映画関係者にがんばってもらいたい。

一日を終えて
ラジオの生放送や受賞者のスピーチなどを取材していたら、会場を離れるときにはすでに深夜近くになっていた。

スターも観客もいない、がらんとした、さみしそうなレッドカーペットを尻目に、マネージャーのステイするホテルの部屋に戻った。

すると、先程まで元気だったマネージャーが、急に放心したようにボーっとしてしまった。ニュース原稿のやり取りや、写真の撮影、日本への送信など、てんてこ舞いだったのだろう。マネージャー以外の仕事も、本当によくやってくれたと思う。

彼女のぽけーとした表情をみながら、それだけ、大勢の人たちを巻き込んでしまうアカデミー賞というすごい式典に、今年も参加したのだなあ、としみじみと思った。

さあ、来年もがんばるぞー!

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アメリカのCMで人気の原始人。
レッドカーペットを歩くレオナルド・ディカプリオ。『ブラッドダイアモンド』で主演男優賞にノミネートされていたが、今年も受賞は出来なかった。
(C) A.M.P.A.S.
今年のベストドレッサーのペネロペ・クルス。ピンクのアテリエ・ベルサーチのドレスは賞賛の嵐。でも、誰ですか? スカートの羽が「ダチョウみたい」、なんて言う人は!?
(C) A.M.P.A.S.
レッドカーペットでボースを撮る菊地凛子さん。シャネルの黒のドレスはプレスの間で大評判!レッドカーペット・デビュー、おめでとう、凛子さん!
(C) A.M.P.A.S.
ご高齢のピーター・オトゥール。今まで何回もノミネートされているのに、一度も受賞したことがない。これが最後かもしれないと思うと、ちょっとお気の毒。
(C) A.M.P.A.S.
受賞式まであと一時間。レッドカーペットの熱気が伝わってくる。
今年のアカデミー賞の司会、エレン・ディジェネレス。彼女はゲイなので、いつもパンツ姿。彼女の司会は毒がないので安心して見ていられた。
(C) A.M.P.A.S.
プレゼンターの渡辺謙さんとカトリーヌ・ドヌーヴ。これを見て、感動した日本の映画ファンも多いはず。
(C) A.M.P.A.S.
助演女優賞を受賞してハッピーなジェニファー・ハドソン。
(C) A.M.P.A.S.
主演男優賞を受賞したばかりのフォレスト・ウィッテカー。近くで見ると、大きなくまちゃんのようだった。
(C) A.M.P.A.S.
主演女優賞を受賞したヘレン・ミレン。フランス語がぺらぺらで、気品漂う彼女の祖父はロシアの貴族だったそうだ。イギリス人の彼女は2003年にデイムの称号を授かっている。
(C) A.M.P.A.S.
やっとの受賞で喜びを隠し切れないスコセッシ監督。早口で高めの声なので、意外とひょうきんに見える。
(C) A.M.P.A.S.
わたしの大好きな写真! 仲良し4人組。左からコッポラ、ジョージ・ルーカス、スコセッシ、スピルバーグ。それにしても、いくら仲良しだからって、スコセッシの頭の上にピースサインは無いでしょう(笑)! いくつになっても少年の心を持つクリエイターたち?
(C) A.M.P.A.S.
アカデミー賞後の晩餐会で。『硫黄島からの手紙』の渡辺謙さんとクリント・イーストウッド監督。
(C) A.M.P.A.S.
夜の11時をまわったレッドカーペット。人も少なくなってしまった。
第79回アカデミー賞もこれで終わり。最後までレッドカーペットを見守るオスカー像。本当にお疲れ様でした!
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