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外国人監督が撮った“日本”映画2本、ロッテルダム国際映画祭で上映!

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マレーシア出身のシャーマン・オン監督
マレーシア出身のシャーマン・オン監督 - Photo:Harumi Nakayama

 第38回ロッテルダム国際映画祭で現地時間25日、外国人監督による日本を舞台にした映画2本が、共に新鋭作家の作品を集めた「ブライト・フューチャー」部門で上映された。
 
 マレーシア出身のシャーマン・オン監督『はし/hashi』は、福岡アジア美術館が行っている、アジアのアーティストと地元の人たちとの美術交流を目的とした「レジデンス・プログラム」から誕生した作品だ。同ブログラムに映画製作の企画が通ったオン監督は、リサーチから撮影、編集、完成までのすべてを3か月間で行った。オン監督は「日本に行ったのはそのときが初めて。日本のことは、北野武や塚本晋也の映画でしか知りませんでした。撮影を前に、台湾のホウ・シャオシェン監督が日本で撮った『珈琲時光』を参考にしましたね」と振り返る。

 映画は、オーディションで選んだ14人の出演者の体験談から脚本を執筆し、不妊治療でパートナーとの関係に悩んでいるキャリアウーマン、元恋人からの「会いたい」という突然の電話に戸惑う熟年女性、アルバイト生活で根無し草のように生きる若者など、現代を生きる女性たちの姿をリアルに写し出して行く。「本当は、余命いくばくもない元恋人から電話があって……というエピソードを映画にしようと思い出演者を募集したら、90%が女性だったんです(笑)。ならばと、女性たちの話にしました。そのときに応募してきた男性は、無条件で採用です」と秘話を明かした。

 タイトルの意味は、同じ「はし」という言葉でも、日本では「橋」「箸」「端」と意味が異なることを知った監督が、「一人の女性でも他人から見れば違う面がある」という映画のテーマにピッタリと名付けたもの。ところが実際に本作は、3人のキャラクターを7人が演じるという大胆な手法を取っている。オン監督は「実はキャストのほとんどがアマチュアで、皆、仕事やバイトがあるから”撮影に2日しか来られない”と(苦笑)。時間もなかったし、2、3日来てもらえばそれでいいと判断し、最高で1人の役を4人が演じてます(笑)。夢と現実がミックスした作品でもあるから、同じ役をいろんな俳優に与えたらどうなるのかチャレンジしたかったという意図もあるんですよ」と説明した。

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 オン監督は現在、シンガポールを拠点に映画監督のほか写真家としても活動しているが、「また日本で映画を撮ってみたい。今度は、北海道を舞台にしたいね」と意欲を見せていた。一方、イギリス人のローレンス・スラッシュ監督の『扉のむこう』(英語タイトルは『レフト・ハンディッド』)は、ロサンゼルス在住の齋木貫郎プロデューサーが手掛けている。社会問題となっている「引きこもり」をテーマに、家族の在り方を問う人間ドラマだ。引きこもりは海外でもニュースなどで報じられており、その関心の高さからか上映会場は満席となった。

 映画は、長男が引きこもりを始めたことをきかっけに家庭が崩壊し、母親が青少年自立センターに協力を求める過程をドキュメンタリータッチで追っている。モノクロ映像の中で繰り広げられる俳優たちの迫真の演技に、上映後には会場から拍手が沸き起こっていた。

 また、島田雅彦の短編小説「ミイラになるまで」を原作にした、スイスのピーター・リエヒティ監督『ザ・サウンド・オブ・インセクツ~レコード・オブ・ア・マミー』も同監督の特集で上映されている。(取材・文:中山治美)

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