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米国議会史上最悪のスキャンダル!アカデミー賞受賞監督のアレックス・ギブニーに聞く!

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アレックス・ギブニー
アレックス・ギブニー - Photo:Nobuhiro Hosoki

 ドキュメンタリー映画『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』で注目を浴び、映画『「闇」へ』でアカデミー賞を受賞したアレックス・ギブニー監督が、新作映画『カジノ・ジャック・アンド・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・マネー/Casino Jack and the United States of Money』(原題)について語ってくれた。同作は、米国議会史上最悪のスキャンダルと言われたワシントンで影響力のあった大物ロビイスト、ジャック・エイブラモフ議会わいろ事件を描いたドキュメンタリー映画。共和党の下院の前院内内総務であったトム・ディレイ議員の逮捕劇を含め、アメリカの政界の汚職を深く追求した映画になっている注目の作品だ。

 ロビイストとは、個人または団体が、政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動をしている人物のこと。ジャック・エイブラモフ事件とは、カジノを運営するアメリカ先住民民族から横領し、政府高官へのわいろ、さらにフロリダ州でのカジノ関連詐欺を行った事件だ。

 この映画を企画した時点で、刑務所にいたジャック・エイブラモフにインタビューをしようとしたというアレックス。しかし、政界を揺るがした事件だけに、映画化への圧力がかかったようだ。「司法省から圧力がかかったのは明らかだった。ジャックは当初インタビューに同意していたのに、司法省はジャックがインタビューを拒否したと言ってきたんだ。つまり、司法省はわれわれの刑務所への出入りを認めなかったんだよ。弁護士を雇って、過去のケースを持ち出し、もう一度許可を求めようとしたけど、結局許されたのは面会だけだったんだ」と明かしてくれた。

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 面会した際のジャック・エイブラモフの印象について聞いてみると、「僕自身、どんな人物か興味を持っていたんだ。会ってみると、彼は政界のシステムを完ぺきに理解し、鋭い視点を持っているという印象を受けたよ。それに、彼はカリスマ性があるだけでなく、非常に話がうまい、面白い人物だった。彼に会ったおかげで、何となく、政界の大物たちのつながりも理解できた気がするんだ」と話してくれた。

 ジャック・エイブラモフは、映画『レッド・スコルピオン』で、製作として映画にかかわったこともある。それについては、「彼は、おそらく政界をハリウッドのような華やかなものにしたかったんじゃないかな(笑)彼自身も、政治は、年寄りのショービジネスだと断言しているくらいだからね!(笑)僕自身も、ワシントンとハリウッドは姉妹都市のようなものだ思っているよ。その理由には、この2つの都市は、まるで鉱山を開発している町のような感じなんだ。要するに、一つのことにその町全体が動いているという仕組みなんだよ。きっと、ハリウッドもワシントンもそうだと思う。それに、ワシントンもハリウッドと似ていて、ナルシストな連中が結構いるんだ! 常に人の注意を引くことを気にしている連中がね。だからワシントンは、映画製作者だったジャックにとって、完ぺきな場所だったんだよ」と映画製作者から政界トップのロビイストに転身したジャックを、アレックスは理解しているようだった。

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 さらに、ジャック・エイブラモフは、2000年の大統領選でジョージ・W・ブッシュのために政治資金を集めた有力ロビイストの一人でもあるが、それについては映画では描けなかったそうだ。「その点について、もっと映画で触れたかったんだけど、焦点から少し外れるから、リサーチできなかったんだ。彼は、ブッシュがジョン・マケインと共和党の指名を争っていた時に、かなり資金集めに役立っていたんだ。サウスカロライナ州の予備選で、マケインがブッシュをクリントンと同一視するような発言をしたことで、共和党員が問題視した出来事があり、その汚い報道を広めるために資金活動に従事したのが、ジャックだったんだ」と話した。

 今作は、政界を揺るがした事件を、アカデミー賞受賞監督が見事に描き出した力作。この一本で、アメリカの政界の仕組みをだいぶ理解できるかもしれない。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)

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