ベルリン国際映画祭で最年少監督!23歳の東京藝術大学大学院生の出品作は大学での卒業制作

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廣原暁監督

 第61回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に参加した『世界グッドモーニング!!』の廣原暁監督は、今回の最年少監督となる23歳で、現在、東京藝術大学大学院生だ。第29回バンクーバー国際映画祭で、東アジアの新人監督による作品を対象としたドラゴン&タイガー・ヤングシネマ・アワード・グランプリも受賞している本作について話を聞いた。

 録音ダイアリーをつける男子高校生の主人公を取り巻く世界を描いた本作、通学路で見かけるホームレスの男、自殺してしまった学友、忙しく働き出張もこなす母との2人暮らしなど、主人公に寄り添うように見せていく中からさまざまな問題について考えさせる秀作だ。

 ベルリン参加の感想を「とにかく映画祭がでかい! 41館も上映館がある中で、自分の作品にたくさんのお客さんが来てくれたり、ほかの上映でも大きな劇場が満席だったりと、こんなにたくさん映画の観客がいるということに感動しました」と言う廣原監督は、主人公と同世代の息子を持つドイツ女性の「映画と通じるものを感じた。日本でもドイツでも全く関係ない」という感想にも励まされたようだ。

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 若い監督だが、本作に青臭さは感じられない。予定調和ではないストーリーが、より深く考えさせる完成度の高い作品だ。ふとしたきっかけからホームレスの身元調査を始める主人公だが、意外な地点に行き着いてしまう。「大学の授業で自分の作品をプレゼンする時に、いや、やっぱり、こうします、と急に口をついて出ました。その人が何者であるか、持ち物などからは、ほんとうの意味では何もわからないんじゃないか、という思いがどこかにあったのかもしれない」と、武蔵野美術大学での卒業制作だった本作の、大方の予想を裏切るであろうストーリーを急転直下で決めた状況を語る。小道具の使い方も上手い。「音の場合は認識よりも実感が先に来る」と監督が説明する録音ダイアリー、「ドキュメンタリーで見た、気球が上がりカメラをぽかーんと見つめる人々がだんだん小さくなっていく姿が印象に残った」という気球などが、効果的に登場する。主人公を等身大の高校生として見せているのが、新人の小泉陽一朗だ。監督は選んだ経緯を「まったく演技もしたことのない素人ですが、最初に喫茶店で会った時『コーヒーでいい?』と聞いたら『オレンジジュースがいいです』で決めました」とこちらも直感が働いての配役だったようだ。

 「人間の存在を証明することに対して強い興味があります。だから録音や記憶に関することが多く出てきます。でも人間の存在を証明するのは難しい。トラックの運ちゃんが叫ぶ『こんなとこにいたら精神が腐る!』がこの映画にとって、とても重要な台詞だと思います」と廣原監督が解説してくれた本作は、この後、同じフォーラム部門参加の廣末哲万監督映画『FIT』などとともに香港国際映画祭にも参加する。今回のベルリンで2冠に輝いた『ヘヴンズ ストーリー』の瀬々敬久監督は「低予算の作品の中で、若い人たちが大きな予算の作品に対抗するように自分たちの力で映画作りするような波が今来ていると思う」と日本映画界の状況をベルリン観客に語った。その言葉を証明するような若手監督たちの海外での活躍だ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

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