アカデミー賞作品賞最有力候補のサイレント映画『ジ・アーティスト』とは?ミシェル・アザナヴィシウス監督を直撃!

第84回アカデミー賞

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ミシェル・アザナヴィシウス監督

 現在、アカデミー賞作品賞のノミネートが確実視されている話題のサイレント時代を描いた映画『ジ・アーティスト(原題) / The Artist』について、ミシェル・アザナヴィシウス監督が語った。

 同作は、サイレント時代のハリウッドで人気を博していたジョージ・バレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、トーキー映画が到来したことで人気を失ってしまい、妻とも離婚するが、エキストラの無名女優からスターダムに駆け上がったペッピー(ベレニス・ベジョ)に助けられ、人生の転機を迎えるというサイレントでモノクロの映画。主演のジャン・デュジャルダンは、今年のカンヌ国際映画祭で男優賞を獲得している。

 サイレント映画を描こうと思った経緯について「実際には、映画『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』を監督した後に、あるプロデューサーから次はどんな作品を作りたいと聞かれ、サイレント映画を作りたいと答えたが、“わかったよ、それで次は何を製作したい”と再び聞かれたことがあった……」と全く最初はサイレント映画の製作を受け入れてもらえなかったそうだが、その後「『OSS 117 私を愛したカフェオーレ』の続編を製作し、その2作の成功で、再びこのサイレント映画を持ちかけたが、そのプロデューサーとは結局反りが合わなくて、最終的にこの映画にかかわったプロデューサー、トマ・ラングマンの助けを得て、その彼の無謀ともいえる資金繰りのおかげで製作することになったんだ」と長い道程を経て、ようやく製作に至ったようだ。

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 だが、実際に脚本のページに記された内容はどんなものだったのか。(台詞が無いため)「大抵、普通の脚本では台詞を読むだけで、俳優はろくに仕草や行動を読んでいないケースがあるが、ここではその仕草や行動だけが脚本に記されているんだ。そこで、僕らは(台詞が無いため)脚本のページに(俳優がイメージできるような)写真を特別に貼り付けたんだ」と工夫して脚本自体を興味深いものにして、俳優に渡したそうだ。

 演技だけでなく、顔の表情などが大切になるサイレント映画で、主演のジャン・デュジャルダンとベレニス・ベジョのキャスティングについて「実は彼ら二人のことを頭の中で想像しながら脚本を書いていて、それはすごく役に立ったんだ。彼らは年齢不詳の顔をしていて、時代物の作品には適していたんだよ。彼らに衣装を着せたら、(この映画の時代設定に入り込み)普段とは違ったサイレント映画に合わせた動きを見せてくれたんだ」と明かした後、助演や脇役を演じる英語圏の俳優のキャスティングについては「キャスティング・ディレクターのハイジ・レヴィットが表現力のある俳優を探し出してくれたんだ。例えば、過去にスティーヴ・マックィーンのような素晴らしい俳優がアメリカに居たが、彼の石のような表情とポーカーフェイスは、もし声のトーンを変えたりしたら、彼の表情だけからどんな演技をしているのか汲み取ることができないと思うんだ。だが、(この映画に出演している)ジョン・グッドマンのように、喋るだけで体が動き出すような表現力のある人は(サイレント映画には)適しているんだ。だから今回、素晴らしい俳優が参加してくれたことは本当に幸運だったと思っているんだ」と語る通り、このほかにマルコム・マクダウェルジェームズ・クロムウェルペネロープ・アン・ミラーなどの演技派が脇を固めている。

 最後に、サイレント映画製作の障害については「誰もがサイレント映画なんて観たくないと口にするし、モノクロ映画もそれと同様な位置づけなんだ。それらの映画は人々にとって古いものなのは、1920年代に制作されていたからで、サイレント映画とモノクロの映画の形態が古いからではないんだよ。ただ、そんな特別な形態があえて特別な映画を製作させてくれたと思っているんだ」と語った。

 今のところ批評家の間では評価が高く、アカデミー賞作品賞のノミネートはほぼ確実視されていて、完成した作品も映画を愛する人たちにとってはノスタルジアを感じさせてくれる秀作に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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