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芸術家として芽が出始めた時に、知的障害の姉と暮らすことになったら?HBO話題のドキュメンタリーについて画家が語る!

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ビヴァリー・マクルヴァー
ビヴァリー・マクルヴァー

 HBOが制作し、現在放送されている注目のドキュメンタリー映画「レイジング・レネー(原題)/ Raising Renne」について、画家のビヴァリー・マクルヴァーが語った。

 同作は、2003年にニューヨークで初めてソロアーティストとして絵画を出展した黒人女性ビヴァリー・マクルヴァーは、その後数多くのコンクールで賞を受賞して、画家としてのキャリアを本格的にスタートさせた。ところがある日、母親の死によって、突如それまで母親のもとで暮らしていた知的障害を患っていた姉レネーと暮らし始めなければならなくなったことで、ビヴァリーの人生が徐々に変わっていくという家族の大切さを描いたドキュメンタリー作品。

 知的障害のレネーを含め、3人の娘を育てたビヴァリーの母親エセルについて「母親はノースカロライナ州で教育を受けていなかった黒人女性であったために、10歳の頃からメイドとして、白人家庭のクリーニングをしていたの。3人の娘をシングル・マザーとして育てていた彼女とわたしたちは、もちろん貧しかったわ。それに、彼女がメイドとして朝から働いていたある白人の家では、彼女のために一度も昼ご飯を用意してくれることはなかったそうなの(もちろん彼女が働いていたすべての家がそうだったわけではない)。だから、夜の8時や8時半くらいにようやく仕事が終わって、彼女がおなかが空き過ぎて家に走って帰ってくるところをよく目撃していたわ」と明かした。

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 KKK(クー・クラックス・クラン)の事件が、ビヴァリーの住んでいた家の近くで起きたことについて、「1979年にわたしが17歳の時に起きた事件で、KKKの活動に反対していた集団のうち5人もの男性が、KKKによって銃殺されたことがあったの。ところが驚くことに、その反対活動をしていた人々が、KKKの銃撃に対してその集団も自分たちを防御するために銃で応戦したということで、殺害したKKKのメンバーは、たったの約一年半で釈放されてしまったの……。もちろん、そのKKKに応戦したという銃はいまだに発見されていないけれどね……」と語り、さらに彼女の住むノースカロライナ州のクィーンズボロは、保守的な人たちが多く、いまだに黒人への差別が多いことも話してくれた。

 知的障害を患っていた姉レネーについて「彼女の世話をすることは大変な忍耐力が必要よ。いろいろあったけれど……。彼女は一時期ボーイフレンドが居て、彼と暮らしていたんだけれど、レネーが生計を立てていた鍋掴みで稼いだお金をその彼に盗まれてから、彼と別れて現在は猫と一人で暮らしていたの。でも最近、姪がレネーとともに住んで彼女の面倒を見ているの」と芸術家として大成した彼女には、レネーの面倒を見ることは難しかったらしいが、お互いが個人の自由を謳歌していると語った。ビヴァリーは、これからノースカロライナのミュージアムで彼女の絵画が出展されるらしく、今はそれで忙しいそうだ。

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 最後に、ビヴァリーはこれまで姉のレネーか自分のポートレイトを描いてきたが、ごくたまに白人の人から、あなたの絵を気に入ったんだけれど、あなたと姉以外を描いた絵画はないのか?と聞かれることがあるらしく、いまだに黒人が描かれた絵画を家には飾りたくないと思っている白人の人たちがいることを嘆いていたことが印象に残った。映画は、人生において家族と全く切り離れた生活をする人々と、家族のために自分の人生を犠牲にする人たちが描かれていて、感動的な作品になっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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