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戦いから恋愛に発展、型破りなフランスの恋愛映画とは?

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新しい一目ぼれを描いたトーマス・カイリー監督
新しい一目ぼれを描いたトーマス・カイリー監督

 今年のフランスのセザール賞で主演女優賞を含め3部門で受賞した話題作『ラブ・アット・ファースト・ファイト(英題) / Love at First Fight』について、トーマス・カイリー監督が語った。

 本作は、父親が亡くなり、兄と母親と共に現実的な暮らしをしていた17歳の少年アルノー(ケヴィン・アザイス)が、軍隊を目指して過酷な訓練をする筋肉質で大人びた少女マドレーヌ(アデル・エネル)と出会って惹(ひ)かれ始め、いつしか彼女と共に軍隊のトレーニング・キャンプに参加していくというもの。2014年のカンヌ国際映画祭の監督週間に出品されていた。

 アメリカでは love at the first sight (一目ぼれ)という言葉がよく使われるが、男女が戦いから惹(ひ)かれていく設定は珍しい。「製作前に一目ぼれのアプローチをするコンセプトはあった。でも、あえて典型的な出会いではなく、戦いを通して出会う設定にしたのは、僕自身が通常の恋愛映画の慣例的なものを心地よく思っていなかったからだ。むしろ僕には、バディ映画やアクション映画の方が理解しやすい。今作も恋愛映画ではあるが、典型的なカップルのカリカチュア(人物の性格や特徴を際立たせるための技法)ではなく、リアルに描かれている」と型破りな恋愛設定であることを語った。

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 今作でマドレーヌは大学で修士号を取得したが、軍隊のトレーニングを受けていることについて「現在のフランスの大きな問題は、修士号や博士号を得たにもかかわらず、ちゃんと職に就けていない人がかなり居ることだ。マドレーヌは今作でマクロ経済学を学び、その観点から世界を知ろうとする。でも彼女が学んだマクロ経済学を必要とするフィールドは、誰も彼女を雇ってくれなかった。これは、現在のフランスの大学生や大学院生でも同じ問題だ」と明かした。

 マドレーヌとアルノーについて「彼らは最初は異なった観点を持っていた。だから、撮影前にあえてこの役を演じたアデルとケヴィンを会わせることを避けた。さらに時間の経過ごとに撮影を行い、観客もマドレーヌとアルノーが関係を深めていく姿がリアルに鑑賞できるようにした。唯一、二人を引き合わせ、事前にリハーサルをしたのは、彼らがレスリングで戦うシーンだけだ」と明かした。

 映画は、等身大の少年少女を描くことで、型破りな恋愛設定もリアルに感じられる作品だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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