アリアナ・デボーズに注目！『ウエスト・サイド・ストーリー』でアカデミー賞助演女優賞候補に

　スティーヴン・スピルバーグ監督が名作映画を新たに映像化した『ウエスト・サイド・ストーリー』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、この部門の最有力候補として注目を集めているのが、現在31歳のアリアナ・デボーズ。映画やドラマの出演作品数は少ないが、すでにミュージカル舞台で大活躍している実力派女優だ。

【写真】アリアナ・デボーズ『ウエスト・サイド・ストーリー』で華麗に踊る

　アリアナは、1991年1月25日、米ノースカロライナ州生まれ。父親はアフリカ系プエルトリコ人、母親はイタリア系アメリカ人の中学校教師という家庭で育つ。子供の頃からダンスが大好きで、マドンナのバックダンサーになるのが夢だった。高校卒業後の2009年に、テレビのダンス・オーディション番組「アメリカン・ダンスアイドル」に出演し、すぐにミュージカル舞台で活動するようになる。

　そして、2011年に映画『チアーズ!』が原案の舞台「ブリング・イット・オン」でブロードウェイに進出。「モータウン」「レ・ミゼラブル」「ピピン」などの有名ミュージカルに次々に出演し、2015年の大ヒットミュージカル「ハミルトン」に出演。2018年には「サマー：ドナ・サマー　ミュージカル」でトニー賞ミュージカル部門の助演女優賞にノミネートした、輝かしい経歴の持ち主だ。

　そして、映画ファンの注目を集めたのが2020年のNetflix映画『ザ・プロム』。本作は大ヒット・ミュージカル・ドラマ「Glee」のライアン・マーフィー監督による同名人気舞台の映画化で、メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンらがメインキャストを務め、田舎町に住む同性の女子高生カップルがプロムに行くのを手助けするというストーリー。このカップルの一人、アリッサを演じたのがアリアナだった。

　この映画のアリッサはなかなかカミングアウトできないが、アリアナ自身はかなり前から公表済み。2017年のgaytimes.co.ukのインタビューでも「自分が誰と一緒にいて、誰を愛しているかを隠そうとはまったくない」と発言。newnownext.comの取材では、自分の祖父母にも「男性と女性の両方とデートしてみて、女性とデートすることにした」と伝えたと語っている。

　そんなアリアナだが、実は『ウエスト・サイド・ストーリー』のアニータ役のオーディションへの誘いを4度も断っている。これはキャスティング・ディレクターのシンディ・トランがvariety.comで語ったもの。その理由をアリアナは goldderby.comで「『ウエストサイド物語』でオスカーを受賞したリタ・モレノも、2009年のブロードウェイのリバイバル舞台でトニー賞を受賞したカレン・オリーヴォも、自分とはまったく似ていないから、自分がこの役にキャスティングされるとは思えなかった」と明かした。

　キャスティングが決まったことを聞いた時は、感激して公共の場所にいたのに思わず泣いてしまったそう。harpersbazaar.comのインタビューで「決定の電話が来たのは、小さなネイルサロンでネイルをしてもらっていた時で、電話を持ったまま、声を出さずに泣いてしまった。それを止められなくて、近くにいた女性たちがみんな、『大丈夫？　大丈夫？』って聞いてくるから『大丈夫、本当にハッピーなだけ！』と答えた。本当にスペシャルな体験だった」と語っている。

　こうして出演した映画で、ゴールデン・グローブ賞助演女優賞を初ノミネートにして初受賞したほか、アカデミー賞助演女優賞にも初ノミネート。3月28日（日本時間）に発表される受賞結果も気になるが、彼女にはすでに新作映画が続々決定済み。『キングスマン』シリーズのマシュー・ヴォーン監督のアクション映画『アーガイル（原題） / Argylle』でヘンリー・カヴィル、ブライス・ダラス・ハワード、ジョン・シナらと共演。また『Our Friend／アワー・フレンド』のガブリエラ・カウパースウェイト監督のSFサスペンス『I.S.S（原題）』で『ゴースト・イン・ザ・シェル』のピルー・アスベックらと共演。これからは舞台だけでなく、映画でも大いに活躍が期待されている。（平沢薫）