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伊藤健太郎、芝居への思いを新たに…一生現役

新たな思いを語る伊藤健太郎。
新たな思いを語る伊藤健太郎。

 「撮影現場で笑ってもいいのかな……なんて考えるぐらい怖い気持ちだった」と約1年ぶりの映画撮影となった『冬薔薇(ふゆそうび)』(6月3日公開)のクランクイン前に感じていた率直な胸の内を明かした俳優の伊藤健太郎。復帰作となる今回の撮影現場で伊藤はどんなことを感じ、どんな未来に思いを馳せたのだろうか。

【動画】『冬薔薇(ふゆそうび)』伊藤健太郎インタビュー

自分が委縮してしまってパフォーマンスを下げてしまったら

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(C) 2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

 活動自粛をしていた伊藤が、『十二単衣を着た悪魔』以来、約2年ぶりとなる主演映画『冬薔薇(ふゆそうび)』でスクリーンに戻って来た。メガホンを取ったのは名匠・阪本順治監督。脚本を執筆する前に伊藤と2時間ほど面談し、淳というキャラクターを作り上げたという。

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 淳はなにごとも中途半端で、海運業を営む両親との関係性も微妙。そんな生活から抜け出そうとするが、自身の甘さも災いし、うまくいかず前に進めない人物だ。伊藤は「淳とは育った環境や性格などは自分とは違いますが、不器用なところや、もう少し言葉を足せばうまくいくのに……というもどかしさなど、グルグルと感情がうごめいている感じがすごく共感できました」と語る。

 阪本監督が伊藤のために作り上げた淳というキャラクター。しかも自身にとって、映画という思い入れの強いメディアでの復帰作となる。「正直クランクイン初日を迎えるときはブルっちゃいました」とつぶやくと「約1年ぶりの撮影で、どういう感じで入っていったらいいのかわかりませんでした。撮影現場で笑っていいのかな……なんてことまで考えるほど怖かったです」と胸の内を明かした。

 しかし、そんな伊藤の不安も杞憂に終わった。「過去にご一緒させていただいたスタッフさんや、共演するキャストの方々が、みなさん優しく迎え入れてくれました。なにより阪本監督が、すごく温かい撮影現場の雰囲気を作ってくださったんです」と感謝を述べた。

 周囲のサポートを粋に感じた伊藤は「ここで自分が委縮してパフォーマンスが下がってしまったら最悪だな」と気持ちを切り替えると「撮影期間は作品に集中しようと覚悟を決めました」と作品に向き合った。

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久々の撮影現場で「視野が広くなった」

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 『どついたるねん』『』『闇の子供たち』『大鹿村騒動記』など、数々の名作を世に送り出してきた阪本組。そんな阪本組を経験した伊藤は「とにかく芝居ファーストで考えてくださる監督やスタッフさん。淳という役にも、しっかり寄り添っていただきました」と語った。一番印象に残っているのは、淳が父親に『俺、訴えられたんだよね』と話をするシーンだという伊藤は「僕が感情的にいろいろ考えを巡らせていると、台本上ではカット割りが多いシーンだったのですが、阪本監督が『一連で撮ろう』と提案してくださったんです。しっかりと僕のことを見てくださっていたんだなと、すごくうれしくなりました」とエピソードを披露した。

 約1年ぶりの撮影現場。強く感じたのは、モノ作りの楽しさ。監督、スタッフ、キャストが一つの作品に目一杯の愛情を注ぎ、力を合わせて作り上げる工程にしびれたという伊藤。

 さらに自身を見つめ直す時間があったことで、視野が広くなったことを実感できた。「今回久々に撮影現場に参加させていただき、これまでは結構いっぱいいっぱいで、すごく狭い視野のなかパフォーマンスをしていたなと感じたんです。約1年間、いろいろなことを考えることによって、さまざまな角度から物事を見れるようになりました」。

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大先輩の背中に「もっとしっかり頑張らなければ」

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(C) 2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS

 また、本作に参加したことで、俳優という仕事に対しても、強い思いが胸に去来した。伊藤は「(自粛という)あの時間を経験したからこそ気づけたことなのですが、死ぬまでずっと撮影現場にいられるような俳優になりたい」と今後の俳優人生の目標を一生現役で居続けることだと語った。「いろいろと作品をやらせてもらううちに、ちょっと慣れてしまったというか、撮影現場にいることが当たり前のように感じてしまっていた部分があったと思うんです。でもこうしてこの場にいられるというのは、とても幸せなことなんだなと改めて感じました。ありがたいことです」とサポートしてくれる周囲に感謝を述べた。

 本作に出演している小林薫をはじめ、伊武雅刀石橋蓮司ら大先輩たちの背中は、伊藤にとっても大きな存在となったようだ。「もうメチャメチャ格好いいんですよね」と目を輝かせると「みなさん、出番で呼ばれると、ピンと背筋を伸ばして、颯爽と歩いて行かれるんです。その姿は本当に魅力的でしたし、自分ももっとしっかり頑張らなければと感じさせられた背中でした」と未来に思いを馳せる。

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 作品自体、淳の人生を肯定も否定もしない。伊藤は「僕自身も淳として生きていくなかで、正解を求めていたわけではないんです」と語ると、物語に登場する人たちの表面的な部分だけではなく、心の奥に潜む、うごめくような感情にまで思いを巡らせると、きっと誰かのどこかの部分に共感できるという。

 そして、そんな感情に触れることで伊藤は「勇気とまでは言えないかもしれませんが、気持ちが楽になったり、前に進むきっかけになったりすると思うんです」と作品に込められた思いを語った。(取材・文・撮影:磯部正和)

伊藤健太郎、“ブルった”1年ぶり映画撮影『冬薔薇(ふゆそうび)』インタビュー » 動画の詳細
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