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悪役に反響の柳俊太郎、役とのギャップ「武器にしたい」

柳俊太郎
柳俊太郎

 映画『東京喰種 トーキョーグール』シリーズ(2017・2019)のヨモ、ドラマ「今際の国のアリス」(2020)のラスボス、「ヒル」シリーズ(2022)のヨビなど、エキセントリックな役柄を演じることが多い俳優の柳俊太郎(31)。新作映画『神は見返りを求める』(公開中)でも、ムロツヨシふんする主人公を小ばかにして追い込むイケメンデザイナーを小気味よく演じているが、どのように“いけすかないキャラクター”を作り上げたのだろうか……。柳が、役へのアプローチ方法と共に自身のキャリアについて、これからの俳優としてのビジョンを語った(柳俊太郎の「柳」は木へんに夘が正式表記)。

【動画】柳俊太郎が絶妙なリアクション…『神は見返りを求める』本編映像

 新作映画『神は見返りを求める』は、“神”のようにイイ人とされるイベント会社勤務の主人公・田母神(ムロ)と、合コンで出会った底辺YouTuber・ゆりちゃん(岸井ゆきの)の愛憎を描くラブストーリー。「もともと吉田(恵輔)監督の作品が大好きだったんです」と目を輝かせる柳(※吉田監督の吉はつちよしが正式表記)。念願だったという吉田組で柳が演じたのは、田母神とゆりちゃんの関係をかき乱していく面々の一人で、気鋭のイケメンデザイナーの村上アレン。黒のロングコートといった服装にもセンスが垣間見えるカリスマ的な存在である一方、垢ぬけない田母神をさげすみ、精神的に追い込んでいく役柄だ。

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柳俊太郎演じるイケメンデザイナーの村上(C)2022「神は見返りを求める」製作委員会

 脚本を読んだ際「ハードルが高い」と感じたという柳。しかし「多分、村上というキャラクターは、イケメンという部分ではなく、僕の見た目を含めたキャスティングではないかと。淡々と性格の悪いことをするキャラクターをしっかり演じられるように心掛けました」と役の解釈を述べる。

 求められていることがはっきりとしていたという役。基本的にはクールで淡々としているが、ある場面で激高する瞬間がある。「結構キーになるシーンだったのですが、怒る芝居には難航しました。吉田監督が時間をかけてゆっくりと撮ってくださったのがありがたかったです」と撮影を振り返る。

 現場では、吉田監督から「柳くんはあまり怒ったことがないんだね」と指摘されたことも。柳自身「確かにこれまでプライベートでも、あまり感情を高ぶらせて怒った記憶がない」そうで、人の本質を見抜く吉田監督の眼力に脱帽したという。

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 本作の村上をはじめ、近年柳が演じるキャラクターは、前述した「今際の国のアリス」のラスボス役や「ヒル」の他人に寄生する不法滞在者“ヒル”役など、エキセントリックな役柄を演じることが多い。柳も「役のイメージが強いのか、結構怖い人と思われることが多いですね(笑)。役を通じてそう思ってもらえるのは、とてもありがたいことなんですけれど」と述べつつ、「でも吉田監督にもバレていたように、普段は怒らないですし、どちらかというと穏やかというか、おしゃべりも好きだし、結構バカなんですよ」と笑う。

 さらに柳は「結構普通なんです」と続けると「これからはパブリックイメージとのギャップを強みにしていきたいです。コミカルな役なども挑戦してみたいです」と未来に思いを馳せる。

 昨年、今年と映画やドラマへの出演が相次ぐ。柳と言えばパリコレでのランウェイモデルも経験し、2021年に12年間務めてきた「MEN'S NON-NO」の専属モデルを卒業したが「モデルという仕事は、自分のスタートでもあり、どこかで“ホーム”のような位置づけで落ち着く場所だったんです。それがメインではなくなったことで、役者としてしっかり結果を出さなければという覚悟を決めたタイミングになったと思います。ちょっと遅いんですけれどね」と自身にとって大きな変化だったことを明かす。

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 モデルと俳優業の大きな違いについて「あくまで主役は服なので、自分はマネキンという認識。俯瞰で自分を見ている感じなんです。一方、役者の場合、別の人の人生を生きるのですが、どうしても自分のパーソナルな体験を役に染み込ませようとする部分はあるので、より自分らしさが出ているのは役者の仕事のような気がします」と語る。表現という言葉は同じだが、その方法はまったく違うという。

 それでも12年間モデルを経験したことは柳にとってかけがえのない武器となった。「今回の役もそうですが、モデルをやってきたからこそ配役いただいた作品も多かったと思うし、誰でも経験できることではないので、その部分には自信を持ってこれからも臨んでいきたいです」

 30代に突入し、ホームと呼んでいたモデル業から俳優業へとフィールドが変わった。「今回念願だった吉田監督の現場に参加することができました。素晴らしい作品と出会えることが、役者にとって本当に幸せなんだなと実感しました」としみじみ語ると「またこうした作品に出会うためには、まずは目の前の作品に丁寧に向き合って結果を出すこと。そのなかで、年齢を重ねるにつれていただく役も変わってくると思うので、どんな役にでも対応できるように自分自身も魅力的にならないと」と気を引き締めていた。(取材・文・撮影:磯部正和)

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