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映画『ゆるキャン△』大人に寄り添う“観るアウトドア”の魅力 京極義昭監督インタビュー

『ゆるキャン△』の魅力はそのまま、大人になった仲間たちを描く
『ゆるキャン△』の魅力はそのまま、大人になった仲間たちを描く - (C) あfろ・芳文社/野外活動委員会

 キャンプでつながった女子高校生たちの穏やかな日常を描き、キャンプブームの火付け役にもなった人気アニメ「ゆるキャン△」がついに映画化。「特に大人の皆さんに楽しんでもらいたい」という京極義昭監督が、制作を振り返りながら、映画に込めた思いを語った。

観るアウトドア!映画『ゆるキャン△』宣伝プロデューサーに生インタビュー

 あfろの人気漫画を原作に キャンプ好きの高校生たちが、時には1人で、時にはそろって、旅先で美しい景色や料理を楽しむ姿を描いてきた「ゆるキャン△」。映画版では、大人になり離れ離れになっていた、各務原なでしこ、志摩リン、大垣千明、犬山あおい、斉藤恵那ら5人の仲間たちが、山梨県でキャンプ場作りに勤しむ姿を、オリジナルストーリーで描く。

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日常系ではない魅力

出版社で働くリンのエピソードも印象的(C) あfろ・芳文社/野外活動委員会

 高校生の日常を描いてきた「ゆるキャン△」だが、映画は大人になった彼女たちの物語に。京極監督は「難しいチャレンジではあるけど、ちゃんと『ゆるキャン△』になるという予感があっての選択でした。『ゆるキャン△』には、まだまだ僕らが映像化していない魅力があるはずで、それをもっと知ってほしいというか。その可能性のひとつとして、大人のリンたちが働きながらキャンプに関わったときに、どんなことを感じるのだろうと考えながら制作していったら、自然とああなっていきました」と語る。

 「高校生たちのキャンプを描いている時から、『ゆるキャン△』は“終わらない日常”の話ではないと思っていました。リンとなでしこが秋に出会って、距離を縮めていって、クリスマスにみんなでキャンプをする。ひとつひとつのキャンプ毎に、小さくても確実に、彼女たちに変化が訪れる。あfろ先生の原作も、そうやって少しずつ時間が進んでいるんです。テレビシリーズを制作している時も、『日常系』というジャンルだけにおさまらない作品だなと感じてる部分はありました。高校を卒業しても、彼女たちは毎日を楽しく、一生懸命に生きていくはずですから」

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独立した「映画」にしたかった

(C) あfろ・芳文社/野外活動委員会

 『ゆるキャン△』らしい温かな空気感はそのまま。物語は映画らしい起伏に富んでおり、彼女たちが大きな壁にぶつかる、テレビシリーズにはなかった展開も描かれる。

 「映画の構造的に必要な展開でもありますが、壁にぶち当たって立ち止まった時に、ふと自分を振り返ったり、今まで気づかなかった事に気づくことって、誰にでもあると思うんです。そういうシーンが入ることで、より彼女たちに起きる変化が深みを持つんじゃないかと思い、挑戦ではありましたが、しっかりと描きました」と京極監督。

 さらに「それに、なでしこたちは、放っておくとどんどんやりたいことをやってしまうほどパワフルなので、そのままだとキャンプ場もなんとなく出来上がっちゃうなと(笑)。それはそれで楽しいと思いますが、今回は大人になって、今までない形でキャンプに関わるので、テレビシリーズとはまた違う成長を描きたいと思ったんです」と明かす。

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 「テレビの延長ではない、独立した作品として面白い物を作りたかった」という京極監督は、「ただ『ゆるキャン△』の場合、映画の定石通りの作り方だと違和感が出てくるというか。世界観がずれてしまうので、『ゆるキャン△』らしさを出すのはかなり苦労しました」とも。物語の展開に合わせたシーンを考えても、『ゆるキャン△』の世界観にフィットしないこともしばしばだったという。

 「作為的になると、どうしても『ゆるキャン△』ではなくなってしまうというか。テレビシリーズでオリジナル展開をやった時も、頭の中でこういうシーンを入れたいな、と思
ってそのとおりやってもなぜか違和感が出てしまうんです。自分たちがキャラを動かそうとするのではなく、原作では描かれていないけれど、リンたちがキャンプをしている時に、千明やあおいたちは何をやっていたのだろう? というような発想でやらないと、しっくりとくるシーンにならない。それに気付いていたので、映画でも、彼女たちならどう動くだろうという視点を忘れずに脚本作業をしていきました」

大人にも楽しんでほしい

(C) あfろ・芳文社/野外活動委員会

 美しい風景に癒やされ、極上のキャンプ飯でおなかをすかし、“観るアウトドア”としてキャンプの魅力を伝えてきた本作。さらに映画では、社会人としてキャンプ場作りに携わりながら、周囲の支えや仕事への思いを再確認していくリンたちの姿が、働く人々にそっと寄り添うように、ポジティブなメッセージを投げかける。

 「最初から、大人になることに対するメッセージを込めようと思っていたわけではないんです」という京極監督は「ただ、大人になった彼女たちを描くとなると必然的に自分たちの経験がベースになる。僕なんかも、基本的に家と仕事を往復する生活だったのですが、ふと実家に帰って親と話をしたり、古い友達に会ったりすると、一歩離れたところで自分を見つめ直して、また仕事を頑張ろうって思ったりする。そういうことって、誰にでもあると思うんです。彼女たちにとっては、そういう瞬間がキャンプ場作りだったというか。それをきっかけに、大きくはないけど確実に何かが変わったなというものを丁寧に描ければ、いい話になるんじゃないかと思いました」と語る。

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 「キャンプ場を作る理由や思いも、5人それぞれでちょっとずつ違う。人によって共感できるポイントも違って、多様な見方をしてもらえるように作ったつもりなので、特に大人のファンの方に楽しんでもらえるといいなって思います」

 もちろん、テレビシリーズのファンに向けた小ネタやギャグも満載だ。「独立した作品に、という話と矛盾するかもしれませんが、やはりファンの方にも喜んでもらいたかったので。そういう小さなネタは『ゆるキャン△』の魅力の一つですから、入れられるんだったらどんどん入れたいし、それをストーリーに絡められたら最高だなと。その辺りが上手くいったのは、脚本チームのおかげです。本当に良いシナリオをあげていただいて感謝しています」という京極監督。5年以上にわたって付き合ってきた『ゆるキャン△』チームへの感謝は絶えない。

時の流れを感じるちくわの描写も(C) あfろ・芳文社/野外活動委員会

 「初めての監督作でたくさんの経験をさせていただきましたし、制作の過程も含め、きっと一生残る、宝物のような時間でした。大変な事も多かったですが、良いものを作るために、本当に最高のスタッフが集まってくれた。こればっかりは、自分ではどうしようもできないことですから。一緒に仕事をするのが楽しいスタッフばかりで、僕は『ゆるキャン△』のチームが大好きなんです。そういう僕らに作品を預けてくださった、あfろ先生や関係者の皆さんにも感謝しかないです。本当に、本当に最高の作品でした」(編集部・入倉功一)

映画「ゆるキャン△」』は全国公開中

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