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JO1・白岩瑠姫「言いたいことは言った方がいい」 過去の経験からたどりついた持論

白岩瑠姫
白岩瑠姫 - 写真:上野裕二

 2020年にデビューして以降、シングル全7作がオリコン週間ランキング1位を獲得しているグローバルボーイズグループ・JO1のメンバーである白岩瑠姫が、『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』(9月1日公開)で映画初出演・初主演を果たした。絵を描くことが好きな銀髪の高校生、深川青磁役で演じることと真剣に向き合って感じたこと、表現者としての心構えについて語った。

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 『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は、小説サイト「野いちご」に連載されシリーズ累計発行部数55万部を超えた汐見夏衛の小説を、連ドラ&劇場版『美しい彼』の酒井麻衣が脚本・監督を手掛けて実写化したラブストーリー。映画は白岩演じる深川青磁が、優等生のクラスメイト・茜(久間田琳加)に「俺、お前のことが大っ嫌い」と伝える、インパクトあるシーンに始まる。「学園モノに出演してみたかった」という白岩は自由な心を持つ青磁に共感し、「原作の段階から親近感が湧いた」そうで、「僕自身がライブで、“今日が人生最後のパフォーマンスだと思って、後悔しないようにやります”とよく言ってきているんです。青磁のセリフはそんな自分と似ていると思うものが多く、セリフを言っているというより、自分の考えそのもののようで。自然に思いを込めることが出来ました」と役柄とのリンクを感じた。

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『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』より白岩演じる深川青磁 (C) 2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

 俳優としては、JO1のメンバー全員初主演を務めた、あだち充による1話読み切りの短編集をドラマ化した「ショート・プログラム」(Amazon Prime Video で配信)でドラマ初挑戦。まだ俳優としての経験が少ないなかでの映画初主演にプレッシャーを感じながらも、「座長として現場の雰囲気をつくり、良い作品にしていくのは僕の責任」という気構えで撮影に入ったという。青磁は一匹狼にして誰からも一目置かれる存在という役柄で、「常に格好よくなくてはいけない」キャラクターでもあり、監督からは「堂々としているということを、セリフではないところで見せるのが大事」と演出を受けたそう。一つ一つの動作について、「“動きをダイナミックにする、ちょっと他とは違うというオーラを放つ”などと、アドバイスをいただきました。他の人が放っておけないような存在感がなければダメなので」と酒井監督と、青磁だからこその格好良さを追求した。

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青磁が描く絵画の数々も必見(C) 2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

 また絵を描くのが大好きな役でもあって、「絵画を描くキャンバスもイチからつくれるように練習しました。長回しで撮影し、本編でも使われています。大きなホッチキスを木に何十回も打ち込むのですが、男の僕でも力が足りないくらいで。家に持ち帰って練習しました。絵の描き方も、絵画監修の先生がつきっきりで教えてくださって。同年代の方で意気投合したこともあって、上達が速かったかもしれません」と役づくりに全力投球。青磁の絵として、白岩自身が描いた作品が本編にも登場するそうで、「ダンスや歌もそうですが、絵画もまた正解がないもの。表現することの難しさを感じました」とJO1の活動との共通点を見いだした。

 それでいて劇中の白岩は青磁そのもの。手先が器用なタイプなのか、キャンバスづくりもさまになっているが、「自分では不器用だと思うんですけど、自分が思う自分と、他の人が描いた僕の肖像画にはギャップがあるかもしれません」と劇中の美術教師(上杉柊平)のセリフになぞらえて自身を分析する。

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久間田琳加演じる茜(右)(C) 2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

 そんな彼だが、実は人見知りの一面も。茜を演じた久間田琳加も同様だったものの、「お互いに少女漫画が好きで。話してみると、僕のしょうもない話にもたくさん笑ってくれたりして。何気ないコミュニケーションが、現場の雰囲気や演技に繋がるのだと実感しました」と俳優としての学びを得た。

 そもそも彼が少女漫画を好きになったのは高校時代。周りの友達が少女漫画好きで、「よく借りて読んでいたんです。少女漫画が原作の映画も、友達と観にいったりして。だから本作の世界にも、すんなり入り込めました」と振り返る。そうして少女漫画からは多くを学んだそうで、「学校で使う教科書は歴史や社会のしくみについて教えてくれますが、少女漫画は、女性の気持ちの教科書だなと思います」と笑う。

 その“教科書”は今回、演技にも役立ち「茜と自転車で二人乗りするシーンで、茜の手を握るとは台本に書かれていませんでした。リハーサルでやってみると監督が“すごくいいね”と。ふとインスピレーションが湧いたのは、少女漫画を読んでいたおかげかもしれません」と予告編にも使われたシーンの撮影秘話を明かした。

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 あまりに端正な顔立ちのせいか、どこかクールな印象があるが、実際の白岩はとても親しみやすく饒舌。そんな彼が茜のような女の子、学校でも家庭でもイイ子を演じ、マスクをつけることで周囲に壁を築いてしまう人物にどう声を掛けるだろう? そう尋ねるとさして考え込むこともなく、「人生は一度しかないのに、本当の自分を隠しても仕方がないですよね」と言い切る。それでいて「決して、自分さえよければいいという考えではなくて」と前置きしつつ、「誰でも、自分以外の誰かにはなれません。他の人が、僕になることも。つまりは誰もが唯一無二の存在なのだから、自信を持っていいと思うんです。周りに合わせなくてはいけない空気を感じることもあるかもしれませんが、誰に何と言われても、言いたいことはやっぱり言った方がいい。自分の人生なのですから」という考え方は、確かにどこか青磁を思わせる。

 彼の場合、そうした考えに至ったのは過去の経験から。JO1になる前に組んでいたグループでは、「デビューできなかったら、芸能界を辞めようと思っていた」というが、やがて解散という結末を迎える。それはちょうど学校に入学すれば卒業するようなもので、「始まったら、終わりがくるのだと実感しました。それなら、やっているうちは終わることを気にしない。まして始まる前から終わりを考える必要はありません。そうではなく、心から楽しもうと思っているんです」と言葉に力を込める。そんな彼が、白岩瑠姫という一人の表現者として、これからどう“楽しんで”いくのだろう? その姿を見届けたい。(取材・文:浅見祥子)

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