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松重豊、松本潤にエール「涙が出そうになるほど『松本くん頑張れ!』と」

第34回「豊臣の花嫁」より松重豊演じる石川数正
第34回「豊臣の花嫁」より松重豊演じる石川数正 - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)で、徳川家康(松本)の古参の家臣・石川数正を演じる松重豊が、1年以上に及んだ撮影を振り返りながら、数正が家康のもとから出奔した理由について解釈を語った。

数正に一体何が…?涙の名場面集 「どうする家康」第34回

 松重演じる石川数正(石川出雲守吉輝)は、酒井忠次(大森南朋)と同じく徳川のベテラン家臣で、家康が最も信頼する常識人。カミソリのような切れ味鋭い頭脳の持ち主で、家康に対して常に冷静に、時に厳しく進言。外交役も務めるなど、家康にとってなくてはならない存在だったが、前話・第33回「裏切り者」のラストでは家康のもとを去り秀吉(ムロツヨシ)の家臣となる衝撃的な展開を迎えた。

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 1年以上にわたる撮影を、主演の松本をはじめ徳川家臣団を演じた大森南朋、山田裕貴杉野遥亮小手伸也音尾琢真らと共に向き合ってきた松重。家臣団のLINEグループなどで連絡を取り合っていたと言い、「昨年の夏、名古屋でクランクインしてから1年以上が経ちました。甲冑の重みに耐えながらの長時間撮影や、土砂降りの中で戦うなど過酷なシーンもあったりする中で、いつの間にか家臣団の絆も深まっていました。一丸となって乗り越えようという意識で作品と向き合ってきましたが、家臣団の関係性は、現場外でも続いています。家臣団のLINEグループなるものが出来て、そこでも日常的に情報共有し合っています。撮休の人が『今日も頑張って』と送ってくれたりもしますし、コミュニケーションを重ねながら、みんなで支え合って乗り越えてきたという思いでいっぱいです」と語る。

 第32回「小牧長久手の激闘」では平八郎(山田裕貴)、小平太(杉野遥亮)、直政(板垣李光人)ら徳川四天王のファインプレーにより秀吉の大軍に劇的な勝利を収めたが、ここで一人だけ浮かぬ顔をしていたのが数正だった。みなが勝利に酔いしれる中、数正は家康に「秀吉には勝てぬと存じまする」とつぶやいた。松重は数正の思いをこう分析する。

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 「最初は小さな会社だった“徳川商店”。今川家の人質時代から家康を支えている古参の家臣たちに、平八郎・小平太・直政のような若いメンバーも加わってきました。小さな会社がじわじわと大きくなり、運良くどこにも飲み込まれず、何とかここまでやってきた。家康は本当に運がいいなと思います。演じる上でも、家臣団内の位置関係、上下関係、人間関係を、僕らが生きている現代に落とし込み、『もし“徳川商店”に務めていたら・・・』とリアルに考えていました。大河ドラマといえど、決して昔話ではないと思うんです。社会の在り方も変わり、僕らがここ20~30年の間に経験して“当たり前”と思っていたことが、既に“当たり前”ではなくなっている。まして1600年前後には、更に大きな変革期があったでしょうし、それにどう対応していくか、どうすれば生き残れるかというのは、まさに現代を生きる僕らも突きつけられている現実だと思います。大河ドラマを見て『俺たちの会社のことを言ってるかもしれない』と思えたり、時代は違えど身につまされる思いになったり。そういう視点でご覧頂くことも出来るのかなと思っています。そう考えていくと、34回で描かれた出奔に関しても、数正にとっては “組織で働く”ことの葛藤や難しさがあったのだろうと。小牧長久手の戦いで勝利はしたものの、勝ったのは偶然と捉えていたのは、家臣団の中で数正だけだったのかもしれません。 天下を取る戦国大名がどれだけ海外と交流し、どれだけの武器を手に入れ、どれだけ強大な勢力になっているか。現実を見極める力が、家臣団にはまだそれほどなかったのかもしれません。だからこそ、色々なことに気づく目を持っていた数正は、苦しさや葛藤も抱えていただろうと想像しました」

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 秀吉に家臣になるよう命じられた数正は葛藤のすえ、出奔を決めた。ネット上では「家康を守るための行為だった」との見方もあったが、松重自身はこの展開について以下のように振り返る。

 「今川家人質時代、家康は15歳、恥ずかしながら僕は24歳の設定で演じていました。どう考えても24歳には見えなかったと思いますけど。(笑) ようやくここにきて、みんな月代ができて髭も生やして、実年齢に近付いてきました。数正の出奔が53歳頃かと言われていますが、当時の53歳と言えば、現代の感覚よりはるかにおじいさんだと思います。 人生50年と言われている頃の53歳ですから、鎧を着て戦うのも大変だったでしょう。それでも昔の武将は日没までで戦を追えますが、「どうする家康」の武将達は日没関係なしに夜遅くまでスタジオで戦います。鎧の重みに耐えながら動くと身体的に大変で、僕自身、本当に『合戦はもうこりごり』という気持ちにもなりました(笑)。53歳にもなれば、『心の底から平和な世が来て欲しい』『もう鎧を脱ぎたい』と思うのは、数正のリアルな気持ちだったのかもしれないと思いました」

第34回より家康(松本潤)

 そう歳を重ねたことでの身体的な能力の衰えも指摘しながら、第34回「豊臣の花嫁」で浮かび上がった数正の出奔の理由については「これしかない」と思える出来栄えだったという。

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 「史実から考えられることは色々あるでしょうけれど、あくまでドラマはフィクション。作品によって異なる解釈があり、それによって人物像も演じ方も変わってきます。数正に関しても、金に目がくらんだとか、完全に調略されたとか、嫌になったとか、実は家康側のスパイだったとか・・・史実から想像すると出奔の理由には色んな考え方があると思います。ですが、今作には今作なりの、映像では描かれていない裏設定も含め、家臣団が積み上げてきた時の流れや絆がある。それを踏まえてどう描くのか、僕自身も楽しみにしていましたが、実際かなり悩まれたそうです。34回の原稿があがってくる度に拝読し、台本が完成する過程を見ていましたが、描かれ方が少しずつ変化していました。演じる上では、数正が出奔するというのは動かせない史実としてあるので、それを視聴者の皆さんにどう納得してもらうかというのを軸に考え、現場で色々やらせていただきました。 松本くんともコミュニケーションをとりながら進めましたが、最終的には家康と数正、松本くんと僕の関係性がリンクするような形になったかなと思っています。僕としては“これしかない”と納得する形で終えることが出来ました」

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 クランクアップを迎えた心境について、座長の松本への思いと共に「僕は一足先にクランクアップしましたが、アップした今でも、松本くんや家臣団がどうしているかなというのはずっと心の中で考えていて。心のどこかでは、心残りな部分もあります。今後どうなっていくか心配な部分もありますが、ただ、松本くんはお世辞抜きで、本当に頑張っていると思っています。僕含め、年長組がどんどんいなくなり、撮影現場はじきに彼が年長者になるでしょう。今日も現場を引っ張って作品と向き合っているのだろうと想像すると、涙が出そうになるほど『松本くん頑張れ!』と思っている自分がいます。徳川家康という人は、運良く、天下をとるまで生き残る人です。天下をとった家康、そして演じきった松本くんの晴れやかな顔を、日本中の人たちに見守って頂けたらと思います。最後までどうか、あたたかく見守って下さい」と視聴者に呼び掛けている。(編集部・石井百合子)

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