ADVERTISEMENT

「幽☆遊☆白書」戸愚呂役・綾野剛&滝藤賢一「実写化困難」を可能にした先人たちの挑戦に敬服

ついに実写化を実現した「幽☆遊☆白書」の戸愚呂兄弟
ついに実写化を実現した「幽☆遊☆白書」の戸愚呂兄弟 - (C)Y.T.90-94

 実写ドラマ化が発表された際、熱狂的ファンから期待と不安の声が巻き起こったNetflixシリーズ「幽☆遊☆白書」がついに配信を迎える。本作で北村匠海ふんする浦飯幽助らの行く手を阻む妖怪・戸愚呂兄弟を演じる滝藤賢一綾野剛。原作漫画でも大人気の戸愚呂兄弟だが、その風貌は最も実写化困難なキャラクターとも言える。そんななか、2人は、いくつものハリウッド大作を手掛けてきたVFX制作会社に出向き、最先端の技術を体験。「実写化不可能では」と言われたキャラクターを体現した。「非常に大きなチャレンジだった」と興奮気味に綾野と滝藤が、撮影を振り返った。

幽助VS戸愚呂兄弟がバトル!「幽☆遊☆白書」場面写真【15点】

やるなら戸愚呂兄!

 「HUNTER×HUNTER」「レベルE」などの冨樫義博が手掛けた、1990年代を代表する大ヒット漫画を実写化した本作。戸愚呂兄弟は、予定外の事故で死んでしまったことで妖怪絡みの事件を解決する霊界探偵に任命され、霊界を揺るがす事件に挑む主人公・浦飯幽助(北村)の行く手に立ちはだかる。弟は強靭な肉体を持ち、相手の力量によって筋肉量を調整できるという特技を持ち、兄はそんな弟の肩に乗っている身長120センチ程度の妖怪と、ビジュアルだけでも相当なインパクトだ。

ADVERTISEMENT
滝藤賢一が演じた戸愚呂兄(C)Y.T.90-94

 滝藤は「『幽☆遊☆白書』に出演できるのなら、絶対に戸愚呂兄をやりたいと思っていたんです」と相思相愛だったことを明かすが、個性的すぎる佇まいのキャラクターに「なんせ120センチぐらいなので、ビジュアルイメージはあまり想像できませんでした。現場に身長120センチの小学生がきてくれて、その子に『ちょっとここに座って足を組んでみて』みたいなところから始めていったんです」と語る。

 一方の綾野は「戸愚呂弟のお話をいただいたときは、青天の霹靂でした。言葉にならなかったです」と当時を振り返り「連載がスタートしてから30年以上経っているわけですが、ようやく映像技術が『幽☆遊☆白書』の描く世界観に追いついたと考えると、これまで作り手たちのチャレンジには大きな意味があったのだと、感慨深い気持ちになりました」としみじみ語る。

 ビジュアル、能力を含め、人間では説明できない数々の特性を持つ戸愚呂兄弟。滝藤は「戸愚呂兄は肩に乗って登場するわけで」と笑うと「見た目を含めて、原作からいろいろなものをつかんでいく作業はしました。なぜこの男は妖怪になって弟と共に最強の強さを目指したのだろうか。また、なぜ肩に乗っているのか。相手を威圧したいのか、異様な姿で恐怖を与えたいのか、そんなことを想像して臨みました」とキャラクターを深掘りしていった。

ADVERTISEMENT

 綾野も「漫画やアニメから感じとっていたものと、さらに深淵に踏み込んでいくことが必要」と覚悟を決めて役づくりに挑んだことを明かすと「戸愚呂を生きるにあたって、彼はなぜサングラスをかけているのか、という一つの問いが生まれました」と語る。

 戸愚呂弟のサングラスについて、綾野は「眼だけは妖怪になれなかったという解釈にたどり着きました。彼の一縷の人間力がサングラスというフィルターを一つ挟むことで100%妖怪の状態になる。この戦いは守るべきものがある強さと、失うものがない強さの勝負。戸愚呂弟は失うものがない強さですが、そんな彼がはじめて肉眼で幽助を見たとき、どのような眼差しで、どう対峙していくか、その眼差しをめがけて走り抜きました」とアプローチ方法を語った。

互いがいてくれたから…相思相愛の戸愚呂兄弟

 二人の関係性も非常に濃いものとなった。滝藤は「Netflixで『幽☆遊☆白書』、しかも戸愚呂兄弟……どこかお祭りみたいな雰囲気になりがちなのですが、綾野さんがいてくれたおかげで、ただ楽しいだけではいられない撮影になった。現場でも、綾野さんの作品に賭ける思いはとてつもないもので、常に監督と役について話をしている。こちらも締めてかからないと綾野さんに失礼になるし、身が引き締まる撮影でした」と明かす。

 一方の綾野も「滝藤さんが兄者をやられるというお話を聞いたとき、とても嬉しくて」と安堵したことを明かすと「兄者は劇場型。全て感情を言葉に乗せ相手を支配していく。言葉を巧みに操りながら、相手の深層心理に踏み込んで恐怖を刷り込む。それをあっさりやってのける滝藤さんの芝居力と説得力に、圧倒的な安心感がありました。あとは尊敬する役者さんでもありますので、ご一緒できる喜びもありました」と称賛する。

ADVERTISEMENT
最先端の映像技術も「すべては人間のイメージしたものから始まる」戸愚呂弟役の綾野剛(C)Y.T.90-94

 そんな信頼関係を築き上げた二人は、数々のハリウッド大作を手掛けてきたスキャンラインVFXで、最先端の撮影を経験した。その一つが、人物や空間を数十台のカメラでほぼ全方位から撮影し、3Dのデジタルデータを抽出するボリューメトリックキャプチャという手法だ。

 滝藤は「顔だけを固定して行う作業なのですが、日本人は我慢強いし粘り強いので、意外と向いているんじゃないかと思いまいた」と感想を述べると、綾野も「役によっては爪先まで意識して芝居をするものですが、顔だけでいいというのはとても贅沢な作業だと感じました」と追随する。ただ、最先端の技術を駆使した撮影であっても、綾野は「すべては人間のイメージしたものから始まる」と強調。イメージを可視化したいと思った人々の熱意からスタートしたものであり、それが具現化された現場に「ただただ感動しました」と貴重な経験だったことを明かす。

ADVERTISEMENT

今感じる冨樫作品の魅力

 「幽☆遊☆白書」といえば、壮大なアクションシーンも大きな見どころだ。こちらもしっかりと作り手がビジュアルをイメージすることから始まる。当然のことながら、生身のアクションのように一連で撮ることはできない。演じる側も想像力は必要だ。

 綾野は「とにかくワンカットワンカット、丁寧に撮っていくんです」とこだわり抜いた撮影を振り返る。「僕は芝居において、時間を司ることをとても大切にしていて、いつも戦闘中は、体力的にどの状況なのかを把握しながら演じています。今回の現場では基本的に一連ではないので、常にフレッシュな状態での撮影でしたが、このチームは皆さんの求めていることを、ひたすら信じ抜くということで結果が生まれると確信していました」と絶大なる信頼を寄せることができた現場だったという。

 すべてにおいて高いクオリティーを求められる現場。滝藤は「実質2年ぐらい掛かった撮影。こんな長く一つの作品に携われるというのは、非常に贅沢」と異次元な撮影だったというと、綾野も「作品は総合芸術であるということが、本当の意味で結実した現場でした。実写化不可能と言われていた作品が、どんどん映像化されていく時代ですが、それはイメージを具現化し可視化して届けたいと思った方々の情熱から始まっている。そういう方々がいたからこそ、いま僕らは作品に参加できている。ちゃんと繋いでいかなければ」と今後の映画界に思いを馳せていた。

ADVERTISEMENT

 また、「幽☆遊☆白書」で戸愚呂兄弟を演じたことで、綾野は「冨樫先生の作品は、しっかりと人と感情が描かれています。どんな声をしているのか、どんな匂いがするのか、どんなときに感動して、どんなときに怒るのか。そういうことをすごく丁寧に描いているんだと、戸愚呂兄弟を演じていて体感できました」と冨樫作品の魅力を語る。

 滝藤も「子供のころは、アクションが面白くて、派手な部分に惹かれていたのですが、大人になってからあらためて読むと、強さだけを求めて長く生きることは、ある意味で悲しいものなんだ……みたいな違った視点になる。戸愚呂兄は根っからの悪魔みたいなキャラクターですが、剛くんが作った戸愚呂弟を見ていると、もっと深い何かを感じたんです。機会があれば冨樫先生にキャラクターについて話を聞いてみたい」と年齢を重ねるごとに深みを増していく冨樫作品の奥深さを語っていた。(取材・文:磯部正和)

「幽☆遊☆白書」は12月14日よりNetflixにて世界独占配信

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT

おすすめ映画

ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT