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『岸辺露伴は動かない 懺悔室』井浦新の顔に異変!2種の仮面、何を意味する?

映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』より
映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』より - (C) 2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

 荒木飛呂彦の人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ「岸辺露伴は動かない」を高橋一生主演で実写化する映画の新作『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(5月23日公開)。パリ・ルーヴル美術館を舞台にした映画第1作『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』に続く本作では全編イタリア・ベネチアでロケを実施。原作にはない「仮面」が物語を象徴する小道具として登場するが、その裏側を渡辺一貴監督が語った(※一部ネタバレあり)。

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 相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気漫画家・岸辺露伴。高橋一生主演の連続ドラマが2020年から2024年にかけて全4期、計9エピソードを放送。キャスティングや世界観など原作ファンの満足度も高く、2023年5月に公開された『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』も興行収入12億5,000万円(日本映画製作者連盟調べ)のヒットを記録。足掛け5年に渡る人気シリーズへと成長した。『岸辺露伴は動かない 懺悔室』は、露伴が取材旅行でベネチアを訪れ、教会の懺悔室で一人の男の奇妙な告白を聞くところから幕を開ける。

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 映画の新キャラクターの中でも原作から大幅に膨らんでいる、あるいは変更されているのが、露伴に自らの犯した「あやまち」を告白する謎の男・田宮(井浦新)と、露伴が出会う仮面職人のマリア(玉城ティナ)だ。この二人はそれぞれ仮面を着用、あるいは手にしており、マリアが露伴にペスト患者の治療にあたっていた医師たちがつけていた鳥型の仮面を紹介する場面もある。仮面を用いた理由を渡辺監督はこう語る。

 「まずはベネチアらしいということがありますが、何よりも露伴の世界に合うアイテムだなと感じたんです。露伴の能力であるヘブンズ・ドアーの特徴が、仮面と似ているというか。人はおそらく何重もの仮面をつけていて、いろいろな表情を隠している。ヘブンズ・ドアーで人の記憶を読んでいくというのは、その人の仮面の裏を暴いていく行為にも似ている。仮面の取材をしていくにつれて非常に親和性があるなと感じたので、フィーチャーして取り入れたいと思いました」

 ロケハンでは、複数の仮面工房を見学し、そのうちの一つが仮面職人のマリアが働く店として使われている。

 「最初にベネチアにロケハンに行った時に数件の仮面工房を見学させていただきました。その中の1つを撮影でお借りしたのですが、無暗に流行を追わずにクラシックな仮面を作り続けている姿勢に感銘を受けました。お店の壁の内装もクリムゾンレッドで、今作のテーマカラーにも通じる。ご主人はユーモアがあって優しい方で、玉城さんにも丁寧に実技指導してくださいました」

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 田宮はゴールドと白、マリアは赤と白を基調にした仮面。劇中、露伴はマリアの仮面について「見る者によって笑っているようにも怒っているようにも見える。日本の能面にも似ている」と話しているが、この2種類の仮面にはそれぞれ意味があるという。

 「田宮がつけている仮面は、ベネチアでマスクを作るようになった初期の頃からあるもので、主に演劇で使われていたらしいんです。露伴のセリフにも出てくる能面のような形というか、怒っているようにも見え、泣いているようにも見え、時には笑っているようにも見えるという、すごく不思議な表情で。あの仮面も、ロケで使わせていただいたお店でご主人が作っていたものです」

『岸辺露伴は動かない 懺悔室』より井浦新演じる田宮

 井浦に関しては、監督も予期せぬ奇妙な出来事が巻き起こった。

 「撮影も終盤に差し掛かったある時に気づいたのですが、井浦さんが仮面をつけてお芝居をしていると、不思議なことに仮面を取った後の井浦さんの顔も仮面と同じ表情になっているんですよ。井浦さんに“表情が仮面にそっくりですね”と言ったら、“自然とそうなっちゃうんです”っておっしゃっていて。仮面をつけているとだんだん本体が侵食されていくというか、どちらが自分なのかわからなくなる感覚があったらしいです」

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仮面職人マリアの仮面

 田宮の仮面とは打って変わって、マリアの仮面は華やかなデザインと色味だ。

 「幼少期のマリアが手に取りそうなものを探したときに、カラフルで可愛いというか、ノーブルな表情だったので選びました。あとはあの仮面も能面に近いと感じて。穏やかに見えるんですけど、どこか悲しげで切ない表情にも見えて、少女のマリアの心情に合うのではないかと。一番欲しかった仮面を父親には買ってもらえず、お店の主人にもらった。でも、父親に見つかってすぐに燃やされてしまう。大人になってからそれと同じ仮面に巡り合い、仮面職人の道を選んだという設定です」

仮面職人のマリア(玉城ティナ)

 劇中、マリアはとある理由から、田宮と同じく幸福の絶頂を迎えてはならない、少しずつ幸せを手放しながら生きなければならない宿命にあり、この仮面はマリアにとって数少ない「本当に欲しいモノ」だ。

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 「結局、マリアは人生における大事な選択のひとつである就職に関しては、自分の一番興味のあるものを選んでいるし、もうひとつの大きな選択である結婚においても自分の一番好きな人を選んでいる。自分の宿命に抗おうとしている人なんだと思います。宿命を凌駕できるかどうかはわからないけれども、それに抗おうとして生きている人というのは善人であっても悪人であっても尊く見えるのではないでしょうか」

 田宮、そしてマリアは果たして自らの宿命に打ち勝つことが出来るのか。露伴をも巻き込んでいく恐ろしい呪いの連鎖は、映画版では思いがけないかたちで結末を迎える。(取材・文:編集部 石井百合子)

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